2011年も今日でお終い。3・11という未曽有の大震災・原発人災のあったとんでもない年でした。個人的にも大変な年、色々な初めての出来事を経験しました。
東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011122702000059.html)と社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011122802000054.html)。
ブラックアウトと云う人災である。しかもそれを想定しもしなかった、何も対処しようとしなかった二重三重の人災。でも、津波による浸水が無くても、地震によって破断などの致命的な事故が発生していなかったのだろうか。さらに、適切に避難させなかった地域に加えて、避難させてはならないところに避難させて被爆させてしまっている。原発など造ってはならない国に造ってしまった当然の帰結か。原発をまだ動かし続けようとしているわが国は、輸出までも行おうとしている。地震など災害の多い我国でなくとも、こんな制御困難で未完成な技術を行える場所がこの地球上にあるとは思えない。何度も述べてきたが、それにしても、FUKUSIMA後に原発の運転継続・再稼働・輸出を出来る我国、一体どんな神経をしているのだろうか。年の瀬を迎え、新年になろうとしているのに、何も変わっていない我国。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011122702000059.html】
原発事故 人災で拡大 運転員、非常冷却経験なし
2011年12月27日 朝刊
福島第一原発事故をめぐり、国の事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太郎東京大名誉教授)は二十六日、多角的に事故原因を検証する中間報告を公表した。非常用ディーゼル発電機のほか配電盤も地下にあったため津波で水没し、全交流電源喪失を招いたと指摘。吉田昌郎(まさお)所長(当時)ら東京電力側が、原子炉に注水して冷やす非常用装置が稼働していると誤認して代わりの冷却手段の準備が遅れ、被害が拡大した可能性があると述べた。
東電や首相官邸内の情報伝達の混乱や津波への備えの甘さ、避難指示の遅れなど、「人災」の側面にも言及。原子炉の重要設備が地震で壊れた跡は確認できないとして、地震が直接事故につながったとの見方は否定した。今後、菅直人前首相ら当時の閣僚らから聴取し、来年夏に最終報告をまとめる。
中間報告によると、1~2号機は三月十一日、非常用発電機や配電盤が浸水し、交流と直流の全電源を喪失。3~4号機も配電盤が水をかぶるなどして全交流電源を失った。
このため、最初に水素爆発を起こした1号機では、電気を使わずに、原子炉の水蒸気を冷やして水に戻し再び原子炉に入れる非常用冷却装置(IC)で冷却しようとした。
ICに蒸気を送る配管の弁は、電源が失われると自動で閉まる仕組み。この時も弁は自動で閉まったが、ICを作動させた経験のある運転員はおらず、こうした仕組みを十分理解していなかった可能性が高い。弁は開いたままで、冷却が続いていると誤認、代わりの注水の準備が遅れた。
その間に圧力容器内の圧力は上昇。代替手段での注水も難航し、ICが機能不全に陥ってから、継続的に注水できるようになるまでに十四時間を要した。その結果、空だきとなった1号機は同日夕に炉心溶融(メルトダウン)し、翌日には建屋が水素爆発した。中間報告は「原子力事業者として極めて不適切であった」と東電の対応を厳しく批判した。
3号機は十三日未明までは冷却が続いていたが、原子炉の蒸気の力でポンプを動かして炉に冷却水を送る装置(HPCI)を、運転員が手動で停止した。蒸気が弱くなり、過熱した設備が壊れると恐れたためだった。
運転員は炉の圧力を減らす弁を遠隔操作で開けた上で、消火用のディーゼルポンプによる注水に切り替えようとしたが、弁は開かない。このため水が入らず、注水が七時間近く途絶えた。発電所幹部らはHPCIの手動停止を知らなかった。
中間報告は、1、3号機とも誤った認識により注水が長時間止まり、危機的な状況を招いたことを重視。「より早く別の手段で注水すれば、炉心損傷の進みを遅らせ、放出された放射性物質の量を減らせた可能性がある」と指摘した。
政府の対応が後手に回ったことも問題視。放射能の拡大範囲を予測するシステム(SPEEDI)を住民の避難指示に生かせなかった点や、現地の対策拠点となるオフサイトセンターが機能しなかったことを批判した。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011122802000054.html】
原発事故報告 設計欠陥に迫る姿勢で
2011年12月28日
福島第一原発の事故調査・検証委員会の中間報告では、人災面の問題が浮き上がる。だが、全電源喪失や大地震に耐える設計だったのか。疑われている原発自体の欠陥まで踏み込む姿勢が必要だ。
確かに「想定」とは人の頭で枠が決められる。「失敗学」で知られる同委員会の畑村洋太郎委員長は「人間が考える範囲を決めたら、その内側のことは考えるが、外側は考えない」と語った。事故後に政府や東電が繰り返した「想定外」の言葉への批判だろう。
報告書を読むと、全電源を喪失した原発内で、数々の落ち度があったことが分かる。原子炉に注水する非常用冷却装置(IC)が稼働しているという誤認があり、その代替手段の準備が遅れた。そもそもICを作動させた経験のある作業員はいなかった。別の冷却装置も、運転員が手動停止させ、幹部はその事実を知らずにいた。
非常時の仕組みを十分に理解しておらず、爆発事故という最悪の事態を招いたことは深刻で、中間報告も「極めて不適切」と非難した。むろん政府の対応にも多くの問題がある。
放射性物質の拡散を予測する「SPEEDI(スピーディ)」のデータを公表する発想がなかったのは驚くばかりだ。拡散方向に避難する人々の命をどう考えていたのか。憤懣(ふんまん)やる方ない。
経済産業省原子力安全・保安院が「炉心溶融が起きている」と説明しながら、官邸の横やりで「炉心状況は不明」と翻したのは言語道断だ。打つ手なしと判断すれば、口を閉ざすのか。今後、当時の菅直人首相ら政府首脳への聞き取りを進めるが、ただ説明をうのみにしてはなるまい。反証しつつ、正確な状況再現を求めたい。
不可解なのは、「地震動のみによる大きな損傷はなかったと推定」していることだ。東電の解析にすぎないはずだ。原発政策に関わるだけに、専門家を交え、より客観的な検討を行うべきだ。
人災面を強調するだけではいけない。複雑なシステムであればあるほど、人間は失敗を犯すものだ。状況誤認や誤操作があっても、常に安全側に働かせるのがフェイルセーフの思想だ。
原発のような破局をもたらす機械は、地震大国ではより、その思想が徹底されねばならない。原発自体の設計やシステムに欠陥はなかったのか。そこに焦点を当てて検証し、来年夏の最終報告で「失敗学」を生かしてほしい。
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東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011121690070643.html)。一方、十分に控えめな試算だと思いますが、asahi.comの記事(http://www.asahi.com/national/update/1218/TKY201112170581.html)。
冷温停止「状態」ならぬ、汚染物質流出抑止「状態」。こういう詐欺的なことばかり続けていて、本当に大丈夫でしょうか? 世界の信頼をどんどんと無くして行っています。FUKUSIMAで被爆し、被災した人たちはどう感じておられるでしょうか? 経済産業省 原子力安全・保安院の人々が東京電力 福島第一原発の周囲で働き、暮らしすべきではないでしょうか、そいう「状態」に本当にあるのなら。
核燃料が無くなっているのだから炉心の温度を測っても100℃を下回る「状態」にあるのは当たり前。「サンデーモーニング」(12月18日)によると、原子炉直下の温度は400℃近いという。格納容器の底部の温度はいくらなのか? 測ることさえできない「状態」ではないのか? 冷温停止状態にありメルトダウンという緊急事態が回避されたかの如く言い、一方汚染水については緊急事態なので放出しても法的に構わないと言う。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011121690070643.html】
保安院 海への汚染水 ゼロ扱い
2011年12月16日 07時06分
福島第一原発事故で、何度も放射性物質を含む汚染水が海に漏出したが、経済産業省原子力安全・保安院は「緊急事態」を理由に、法的には流出量は「ゼロ」と扱ってきたことが本紙の取材で分かった。今後、漏出や意図的な放出があってもゼロ扱いするという。政府は十六日に「冷温停止状態」を宣言する予定だが、重要な条件である放射性物質の放出抑制をないがしろにするような姿勢は疑念を持たれる。
原子炉等規制法により、電力事業者は、原発ごとに海に出る放射性物質の上限量を定めるよう決められている(総量規制)。福島第一の場合、セシウムなどは年間二二〇〇億ベクレルで、年度が変わるとゼロから計算される。
しかし、四月二日に2号機取水口近くで高濃度汚染水が漏出しているのが見つかり、同四日には汚染水の保管場所を確保するため、東京電力は建屋内のタンクに入っていた低濃度汚染水を意図的に海洋に放出した。
これら二件の漏出と放出だけで、原発外に出た放射性物質の総量は四七〇〇兆ベクレル(東電の試算)に達し、既に上限値の二万倍を超える。
試算に対しては、国内外の研究機関から「過小評価」との異論も出ている。
今月四日には、処理済みの汚染水を蒸発濃縮させる装置から、二六〇億ベクレルの放射性ストロンチウムを含む水が海に漏れ出した。
さらには、敷地内に設置した処理水タンクが来年前半にも満杯になる見込み。この水にもストロンチウムが含まれている。東電はできるだけ浄化して海洋放出することを検討している。漁業団体の抗議を受け、当面は放出を見送る方針だ。
保安院は本紙の取材に対し、事故への対応が最優先で、福島第一は損傷で漏出を止められる状態にない「緊急事態」だった点を強調し、総量規制を適用せず、四七〇〇兆ベクレルの漏出をゼロ扱いする理由を説明した。
「緊急事態」に伴う特例扱いは「事故収束まで」続くとも説明したが、具体的な期間は「これからの議論」とあいまい。
今後、仮に放射性物質を含んだ処理水を放出したとしても、ゼロ扱いを続けるという。
(東京新聞)
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【http://www.asahi.com/national/update/1218/TKY201112170581.html】
2011年12月18日3時2分
ストロンチウム、462兆ベクレルが海に流出
東京電力福島第一原発から事故後、海洋に放出された放射性ストロンチウムの総量は、少なくとも約462兆ベクレルになることが朝日新聞の試算でわかった。水産庁は魚介類への蓄積を調べるサンプリング調査の強化を検討している。
試算は東電などが発表した資料をもとに行った。4月に2号機、5月に3号機から流出した放射能汚染水については、流出源である両号機の建屋内のたまり水に含まれる放射性ストロンチウムの濃度を、流出した水の体積にかけて算出。これらに、今月4日に流出が確認された処理水に含まれていたと見られるストロンチウムの量を足し合わせた。大気から海への降下量は含まれていない。
東電は4~5月に海に流出した汚染水中の放射性ヨウ素とセシウムの総量を推定約4720兆ベクレルと発表した。ストロンチウムの量はその約1割に相当する。
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東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011121701001656.html)。
宇都宮健児さんが会長を務める日弁連が死刑廃止という統一見解の方向を打ち出そうとしているようだ。(宇都宮さんの就任前とはいえ)結果として裁判員制度を許してしまい、市民に〝死刑のスイッチ〟を押させてしまったことに対する名誉回復を期待したい。
「執行を求める動きが強まる中」・・・・・・って、「吊るせ、吊るせ」と叫んでいる訳ね。それでいったい何か状況は変わるのか。思考停止、問題点の解明の放棄。本件ならば、オウム事件の一体何が解決したというのか?
ましてや冤罪で死刑にされてしまった飯塚事件や、忘却で"自然な冤罪死刑"を待とうとしている袴田事件など、本当に救いようがないではないか。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011121701001656.html】
日弁連、死刑廃止で統一見解 オウム裁判終結で懸念
2011年12月17日 17時05分
日弁連(宇都宮健児会長)は17日までに、死刑制度の廃止を求める「死刑廃止検討委員会」を設置することを決めた。日弁連が死刑廃止方針を統一見解として打ち出すのは、1949年の設立後初めて。オウム真理教関連の刑事裁判が終結し、執行を求める動きが強まる中、広く政府や世論に働きかけ、制度見直しを求める。
日弁連はこれまでも、個別の事件で声明を出すなど死刑執行反対をアピール。内部でも制度の存廃を議論する委員会を設け、執行停止に向けた取り組みを進めてきたが、検事や裁判官出身で死刑制度存置を支持する会員も多く、公式な廃止方針は掲げられていなかっ
(共同)
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gendai.netの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/134194)。
相変わらず辛辣な記事。
大阪のメドベージェフ、ハハハッ!? では、大阪のプーチンの運命はどうなるのでしょう? あるいは、彼は大阪の小泉純一郎か? 見掛け上、原発反対派だったこと以外、〝ト〟知事を目指していたことだけは確かだ。
小沢一郎氏も何を考えているのだろうか・・・。
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【http://gendai.net/articles/view/syakai/134194】
天下無敵 橋下大阪新市長の意外なアキレス腱
2011年12月13日 掲載
永田町が一斉ラブコール
<松井府知事は記者と会話が成立しない>
小沢一郎と来週会談するというニュースは永田町を駆け巡った。正式な就任前から、その一挙手一投足が注目されている大阪市の橋下徹新市長。中央政界では、次期衆院選や政界再編含みで政党問わず期待が膨らんでいるが、アキレス腱は足元の身内だ。
「この人で本当に大丈夫?」と地元メディアは、一足早く就任した大阪府の松井一郎知事に首をひねる。“大阪のメドベージェフ”と揶揄されるだけに、オウムのように橋下が言ったことをマネていればいいのだろうが、記者とのやりとりが噛み合わない。政策がないのか、オツムがないのか。会話が成立しないのは日常茶飯事というのだ。
「今月7日、就任後初の定例記者会見でのことです。大阪維新の会の
公約の『教育基本条例』について、文科省が『知事による学校の
教育目標の設定は、法が定める知事の職務権限を超えている』
という見解を出したことから、質問が集中。『具体的にどんな目標を
イメージしているのか』と聞かれた。ところが松井知事はシドロモドロ。
揚げ句に『漢字検定は何級を目指すとか、TOEFLでどの点数を目指すとか、
と思っています』と答えたのです。条例反対派は、『目標設定は
教育への政治介入』と維新の教育理念を批判し、モメているのに、
漢検にTOEFL? あまりのピンボケぶりにズッコケましたよ」(府政記者)
橋下が代表を務める「大阪維新の会」そのものも一枚岩ではない。所属議員55人で過半数を押さえる府議会ですら、内部はグチャグチャだ。
「維新の会の府議は多くが元自民党で、彼らは今回知事になった松井派と
府議会議長を務める浅田派に分かれている。そこに加わった今春当選の
1年生議員は、橋下氏に右向け右のチルドレン。会派内に3つの派閥が
あるのです」(府議会関係者)
松井知事になってからも、府が支給を凍結している朝鮮学校への補助金再開をめぐって会派内は大モメ。「維新の会が〇〇を決めた」という新聞記事が出ると、すぐさま所属議員から「そんなの決まってない」と声が上がる。バラバラなのだ。
世間の関心が集まっている限りは橋下への求心力は続くのだろうが、土台の亀裂はちょっとした振動で広がるものだ。永田町でチヤホヤされるからといって、あぐらをかいてはいられない。
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CMLに出ていた記事で気づきました。河野太郎氏のブログより(http://www.taro.org/2011/12/post-1135.php)。
自民党では珍しく反原発、というか反核燃サイクルかな。原発に関して、こういう良心的な政治家が自民党の中に何とか存在していることは重要。でも残念ながら、主流派にはなりえないのでしょうが。
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【http://www.taro.org/2011/12/post-1135.php】
やっぱり日本の原子力の土台は腐っていた
2011年12月14日 23:15
山本一太特命委員会で、自民党本部に九大、東工大のエネルギー、原子力関係の教授を招いて、原子力関連の人材育成についてのヒアリング。
驚いたのは、学界が果たしてきた原子力ムラのなかでの役割について、二人とも、なんら反省もなく、これからこんな開発をやる、こんな研究をやる、だからそのための人材を育てないと云々と、まるで福島の事故など無かったような能天気なプレゼンテーションだったこと。
事故後に原子力の専門家がテレビで、メルトダウンではない、大きな問題ではない云々とまるで真実と違うことを発言していたのはなんだったのかという質問が立て続けに出されたのに対して、全く答えもしない。
原子力ムラの中でも、特に腐敗がひどい分野かもしれない。
プレゼンテーションの中で、将来の原子力関連の人材の需要に関する予測として、
1.プラントの建設は各電力の供給計画による。プラント寿命は
60年として即刻リプレースすると仮定する。
2.2030年までの新増設を4年に一基ずつに平準化する。
という、二つのケースでの試算が堂々と提示されていた。
あきれるというよりも、その象牙の塔ぶりに笑いが出た。
さらに、海外需要の5%から20%を受注したら技術者数の予測はこうなるという予測までついてくる。
最後のページは「将来の人材育成に関する課題(福島事故後)」という表題で、「世界の原子力利用推進の状況に対応した人材の育成と供給(産業振興と密接に関連する)」そして「電気事業者、メーカー、研究機関への優秀な人材の供給」。
シビアアクシデント対策とか、放射性物質の除去とか、核のゴミの処分や廃炉のために必要な人材を供給しよう等ということは一言もない。
もちろん、使命感や倫理感に欠けた人材を供給してきたことに対する反省など全くなし。
こういう人間達に、原子力を任せたくないし、こういう人間達に、原子力に関わる人材育成を任せたくない。
日本の原子力、根底の根底からおかしい。
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THE JOURNALの記事(http://www.the-journal.jp/contents/jimbo/2011/12/post_135.html)。videonews.comからの神保哲生さんの転載記事。
危険を煽るつもりはない。一方、ニセ科学と非難するつもりもない。
何の対策も打たなくてよいかどうかを判断できない。安全側に対処しておかなくてよかったのか、ということにならないか。たとえ無駄と将来判断されることになったとしても、可能性を否定できないのであれば、実施しておくべきではないのか。あとで後悔しないために。無駄だったという反省は、あとでも出来る。地球温暖化の場合の「予防措置原則」(*1)(『疑似科学入門』、http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/s/%B5%BF%BB%F7%B2%CA%B3%D8%C6%FE%CC%E7)と同じである。「脆弱性(社会の弱いところ)」や「回復性強化(復興を早める)」。原発技術は不完全であり〝脆弱〟そのもので、また、被爆無しには成り立たない原発労働者や都会から遠く離れた僻地という〝社会的弱者〟に押しつけている。放射性物質をぶちまけてしまえば、〝回復性〟など無理な話。
*1: 池内了氏『疑似科学入門』。複雑系の未来予測不定性に対する
新しい原則としての「予防措置原則」。たとえその予想が
間違っていたとしても、人類にとってマイナス効果を及ぼさない。
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【http://www.the-journal.jp/contents/jimbo/2011/12/post_135.html】
内部被曝を避けるために今こそ広島・長崎の教訓を活かそう
マル激トーク・オン・ディマンド
第556回(2011年12月10日)
内部被曝を避けるために今こそ広島・長崎の教訓を活かそう
ゲスト:肥田舜太郎氏(医師、全日本民医連顧問)
プレビュー
12月6日、大手食品メーカー明治の粉ミルクから1キロあたり最大30.8ベクレルの放射性セシウムが検出された。前週には福島市のコメからもセシウムが検出されており、福島第一原発事故によって放出された放射性物質による食品の汚染の深刻さがあらためて明らかになっている。
政府はいずれも基準値を下回るため健康には影響はないと繰り返すが、乳児が摂る粉ミルクやわれわれが毎日食するコメの放射能汚染は、それがたとえ基準値以下であっても、真剣に受け止める必要があるだろう。
特に、食品の放射線基準については、現在の政府の規制値が内部被曝を無視したものであることを念頭に置く必要がある。放射能に汚染された食品を摂取すれば、放射性物質が体内に入る内部被曝が避けられないからだ。言うまでもないが、体内に放射性物質を取り込めば、それが体外に出るまで長期にわたり放射線の被曝を受けることになる。
自身も広島で被爆した経験を持つ医師の肥田舜太郎氏は、原爆投下直後から広島の被爆者の治療・救援にあたった経験から、福島原発事故でわれわれは内部被曝にもっとも気を付けなければならないと警鐘を鳴らす。
肥田氏は、広島に原爆が投下された直後こそ、原爆の熱と放射線の直射によって火傷や急性放射線障害を受けた患者の治療に追われたがその後しばらくして、原爆投下後に救援や親類の捜索のために広島や長崎に入ったいわゆる入市者たちの間で、鼻血、下痢、内臓系慢性疾患などの症状を訴える人が続出していることに気がついた。中でも「原爆ぶらぶら病」と呼ばれる、疲れやすく慢性的な倦怠感に見舞われる症状は、放射線の内部被曝が原因と思われるが、どんなに検査しても異常が発見されないため、単なる怠け者であるとみなされ、仕事も続けられず、周囲に理解されないまま多くの患者が苦しんでいたと肥田氏は言う。
肥田氏が強調する広島、長崎の失敗、そしてその教訓は、直接原爆に被爆しなくても、その後降ってきた放射性物質を体内に取り込むことで、大量の内部被曝者を出してしまったこと。そして内部被曝はその原因が確認できないために、多くの人が長期にわたる原因不明の健康被害に苦しむことになることだと、肥田氏は言う。
広島、長崎で大量の内部被曝者を出しながら、依然として内部被曝に対する政府や社会の認識が甘い原因として、肥田氏は、戦後、アメリカの圧力によって原爆の被害状況を調査できないような状態を強いられたことを挙げる。アメリカは原爆の被害は機密情報であるとして、患者や医師に対して、それを他人に話したり、論文や写真などの形で記録に残すことを禁じた。さらに、アメリカが設置した調査機関ABCC(原爆傷害調査委員会)は、内部被曝の存在を知りながら、事実を隠蔽し続けたと肥田氏は批判する。
しかし、米軍の占領下ならいざ知らず、今日にいたっても内部被曝に対する隠蔽体質はあまり変わっていない。そもそも日本の食品の暫定規制値は、原子力を利用する国々が主導するICRP(国際放射線防護委員会)基準に準拠しているため、内部被曝の危険性を軽視、もしくはほとんど無視している。内部被曝の危険性をまともに考慮に入れると、核開発や原発の正当化が難しくなるからだ。
例えば、チェリノブイリの苦い経験から内部被曝を重視するようになったドイツの放射線防護協会による食品の放射性セシウムの規制値は、乳児・子ども・青少年が4 Bq/kg、成人は8 Bq/kgだが、日本では成人、子供に関係なく200~500 Bq/kgまで容認されている。内部被曝のリスクをまともに考慮に入れると、今の何十倍、あるいは何百倍の厳しい規制が必要になってしまうのだ。
しかし、肥田氏はどんなに微量であっても放射性物質は病気を誘発する可能性がゼロではない以上、食品の規制値にこれ以下なら安全という数値は存在しないことを常に念頭に置かなければならないとしたうえで、今の政府の基準や検査体制では内部被曝から子供を守れないと主張する。
実際、福島原発事故の後、肥田氏のもとに鼻血や下痢を訴える人が出ており、内部被曝の初期症状が現れ始めたのではないかと肥田氏は懸念していると言う。既に今年の6月1日付の東京新聞で、福島県内で鼻血や下痢、倦怠感といった症状が見られる子どもが増えていることが報道されているが、政府はその後、特に内部被曝の基準を強化するなどの対策はとっていない。
自身が広島で被爆し、その後臨床医として長年にわたり多くの内部被曝の患者を見てきた肥田氏に、福島原発事故を抱えたわれわれが、広島、長崎の苦い経験を活かすために今、考えなければならないことなどを聞いた。(今週はジャーナリストの神保哲生、医療ジャーナリストの藍原寛子両氏の司会でお送りします。)
<ゲスト プロフィール>
肥田舜太郎 (ひだ しゅんたろう)医師、全日本民医連顧問
1917年広島県生まれ。43年日本大学専門部医学科卒業。44年陸軍軍医学校卒業。軍医として広島陸軍病院に赴任。国立柳井病院(現独立行政法人国立病院機構柳井病院)、西荻窪診療所、医療生協さいたま行田協立診療所、全日本民医連理事、埼玉民医連会長などを経て、2011年より現職。著書に『広島の消えた日―被爆軍医の証言』、共著に『内部被曝の脅威―原爆から劣化ウラン弾まで』など。
山岡俊介さんのアクセスジャーナル(http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/)の12月20日の記事の一部。
あ~、そういうこともありました(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/778921327abe3a8dc012a7814309c75a)。62,0000,0000円の麻生太郎元首相宅を見学するツアーでした(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/778921327abe3a8dc012a7814309c75a、http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/36155154911a8895c48b6c99792b0633)。あれから何年が経ったのでしょう、何代の首相が交代? 自民党は下野しました。政権が変わっても、何も変わっていませんけれどもね。いや、むしろ悪くなっているかな。
実は、そのツアーの際、事件が起きています。”ゆでダコ坊主”(公安)の公務執行妨害による冤罪逮捕事件です。いわゆる「転び公妨」。YouTube映像で確認できました。たとえば、「薔薇、または陽だまりの猫」さんのココ(http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/54f2406cc3c238ed05c02a06b88596ce)。
今回のツアー参加者の皆さんも十分に気をつけられてください。原子力ムラの住人に嵌められないように。
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【http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/の12月20日の記事の一部】
2011/12/20
<お知らせ>12月25日「クリスマスは東電会長の家へ」とリアリティツアー再来
執筆者: Yamaoka (8:20 am)
野田首相は12月16日、福島第一原発について「事故収束」を宣言したが、福島県をはじめ抗議、撤回を求める怒りの声が広がっている。実際、溶融した核燃料がどこにあるかも不明で、いまだ放射性物質が垂れ流されたままの状態なのだから「事故収束」など、とんでもないことだ。
また東京電力は、事故の真相調査が進んでいないことをいいことに、いまだに自らの責任を曖昧にしている。
こうしたなか、「クリスマスは東電会長の家へ リアリティツアー2011」と銘打った企画がおこなわれようとしている。
“リアリティツアー”と聞いて、思い出した方もいるだろう。そう、2008年10月に「リアリティーツアー 62億ってどんなだよ。麻生首相へのお宅拝見」と題して渋谷区松濤の麻生元首相の家を訪問しようとした若者のうち、3人が逮捕された件だ。・・・・・・。
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YOMIURI ONLINEの記事(http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20111222-OYT1T01081.htm)。読売新聞発なのかな?
検査会社が、九州電力 玄海原発4号機の配管溶接の検査を行ったかのように偽装だってさ! 映画「チャイナシンドローム」に写真を偽装しての、同じような話が出てきます。映画をマネたようにさへ感じます。映画では、ジャック・レモン扮する原子炉の管理責任者が激怒し、管理会社の担当者に怒鳴り込む場面があります。結局、彼は命をかけて、原子炉の危険性を若きジェーン・フォンダやマイケル・ダグラスが扮するジャーナリストを介して告発し、原子炉を停止しようとします。玄海原発には、さて、「ジャック・レモン」は居るでしょうか?
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【http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20111222-OYT1T01081.htm】
玄海原発4号機、配管溶接検査せず記録も改ざん
経済産業省原子力安全・保安院は22日、九州電力玄海原子力発電所4号機(佐賀県)で使用予定の配管の溶接検査で、九電から作業を受託した「発電設備技術検査協会」(東京)が電気事業法で定められた必要な検査を怠ったうえ、実施したかのように記録を改ざんしていた、と発表した。
今年9月に保安院に情報提供があり、発覚した。保安院は協会と九電に厳重注意の処分を下すとともに、他の電力8社に同様の事例がないか調査を指示した。
保安院によると、協会の検査担当者が今年8月、勘違いから検査の一部を実施しなかった。後日、誤りに気づき、書類を改ざんした。協会は「自主的に実施した検査項目もあり、誤記と判断して修正した」と説明したという。九電は不十分な管理体制を問われた。
(2011年12月22日20時34分 読売新聞)
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東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011121202000032.html)。もたもたと、腹立たしくてしょうがない。
ようやく証拠の開示。初だ。あまりに理不尽ではないか。単なる冤罪ではない。味噌樽に仕込まれた、本人が履くこともできない服など、警察や検察に証拠が捏造された冤罪の疑いが濃い。それを正せなかった裁判所。一体どう責任を取るつもりか! 司法は、「スローな死刑」を待っているとしか思えない。司法関係者は、『美談の男/冤罪 袴田事件を裁いた元主任裁判官・熊本典道の秘密』を読んでくれ。
袴田秀子さんによると、精神的にかなり問題が発生しているようだ。絶望感、毎朝が死刑に脅える恐怖で、まともな精神状態でいられるはずがない。しかも、作られた冤罪で・・・。
asahi.comの記事(http://www.asahi.com/national/update/1222/TKY201112220265.html)によると、DNAは不一致だったという。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011121202000032.html】
袴田事件 録音テープを開示
2011年12月12日 夕刊
一九六六年に静岡県清水市(現静岡市清水区)で一家四人が殺害された袴田事件の第二次再審請求で、静岡地検は十二日、静岡地裁の勧告を受け、袴田巌死刑囚(75)の取り調べを録音したテープや供述調書など百七十六点の証拠を、地裁で開かれた臨時の三者協議で新たに弁護団に開示した。
弁護団は開示後に記者会見し、警察官が録音の承諾を求める部分などテープの一部を再生した。
裁判所の勧告に基づく証拠開示は、同事件で初めて。福井の女子中学生殺害事件では、名古屋高裁金沢支部の勧告による証拠開示が再審開始につながったとされ、今回明らかになった証拠も、再審の可否をめぐる地裁の判断に影響を与える可能性がある。
弁護団の西嶋勝彦団長は会見で「大きな前進」と評価。「証拠を基に論点を補充し一日も早く再審決定をしてもらえるようにしたい」と述べた。
開示されたのは静岡県警が起訴後の六六年九月二十一日に取り調べ状況を録音したテープ一本と、起訴前後の同年七月四日~九月三十日に作成された供述調書など約三十通のほか、凶器とされた小刀に関する捜査報告書、血が付いているとされたパジャマの血液鑑定書など。
地検はこれまで、弁護団が請求した捜査報告書など証拠の一部を開示したが、今回の証拠は「再審請求の内容に関連がない」と拒否していた。地裁は今月五日、全てを開示するよう勧告した。
◆取り調べ一部再生 小さな声「はい」
「今日はこれから、きみの話したことを録音しますが、承諾するかね」と質問する警察官。袴田死刑囚は小さい声で「はい、いいです」と答えた。弁護団が十二日、記者会見で再生した録音テープ。確定判決から三十一年、袴田死刑囚が取り調べに臨んだ際の肉声が初めて表に出た。
「言いたくないことは言わなくていいし、嫌なら言わなくていい」と諭すように話し、録音していいか尋ねる取調官に、袴田死刑囚は「はい」と答えた。再生はされなかったが、この後に犯行を認める供述調書を読み上げたといい、弁護団は「自白の任意性を証明しようとしたのではないか」と録音の狙いを分析している。
弁護団は開示された現場写真のネガも公開。小川秀世弁護士は「侵入方法の再現実験など、あるべき写真が欠けている。警察がいかにいいかげんな捜査をしていたのか分かる」と興奮気味に話した。
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【http://www.asahi.com/national/update/1222/TKY201112220265.html】
2011年12月22日14時9分
袴田事件、弁護側「DNA型不一致」 服の鑑定結果
静岡県清水市(現静岡市清水区)で1966年にみそ会社専務一家4人を刺殺したなどとして死刑が確定した袴田巌(いわお)死刑囚(75)の第2次再審請求で22日、検察側と弁護側がそれぞれ推薦した鑑定人によるDNA型鑑定の結果が明らかになった。弁護団推薦の鑑定人による鑑定では、袴田死刑囚が犯行時に着ていたとされる「5点の衣類」に付いていた血痕と一致するDNA型は、被害者のものとみられる衣類からは検出できなかったとされた。
一方、検察側が推薦した鑑定人は「5点の衣類」の一つと、被害者のものとみられる衣類の一部から検出されたDNA型は「同一人に由来した可能性を排除できない」との結論を示しており、見解が分かれた。ただ、二つの鑑定とも被害者のものとみられる衣類から検出されたDNA型には血縁関係が認められるとした。
鑑定結果は、静岡地裁(原田保孝裁判長)が同日、弁護団と静岡地検の双方に通知し、これを受けて弁護団が開示した。弁護団はこれまで「5点の衣類についた血痕は被害者のものではないから、袴田死刑囚がこの服を着て犯行に及んだと認定した確定判決は誤りだ」と主張。弁護側鑑定の結果はこの主張を補強する証拠になる可能性があるが、鑑定結果が異なることから、地裁は今後、鑑定方法などについて慎重に検証することになる。
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MY NEWS JAPANに載っていた三宅勝久さんの記事(http://www.mynewsjapan.com/reports/1526)。
全ての裁判に最高裁判事が関わる訳ではない。部下のフィルターを介して上がってきたものしか判断しない、そういったシステムができているそうだ(『●東京電力、「お前のモノだろう!」』の映像資料後半、青木理さんの発言)。意識の高い部下など望めないだろうし、そういったシステム的な問題も含めて、最高裁の体質はいつまでも変わらないだろう。無責任体質は政治家や官僚、電力会社、警察・検察だけではなく、司法、特にその頂点の組織にあるのではないか。
また、この足利事件でも地裁段階での弁護士の正義感の無さも関連。高裁や最高裁でひっくり返すことは容易ではないので、逆に、地裁段階でよい弁護士に巡り会えるかどうかは大きいのか。
さらに〝作られた〟冤罪は、残された遺族にも大変な裏切り行為であることを警察や検察は理解すべきだと思った。
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【http://www.mynewsjapan.com/reports/1526】
「足利事件」菅家さんを獄中に突き落とした最高裁判事たちの豊かな老後
三宅勝久 17:46 11/25 2011
子どもに好かれた通園バス運転手だった菅家利和さんに「人殺し」の濡れ衣を着せ、17年以上にもわたって獄中に閉じ込めた「足利事件」。罪深い冤罪判決を下した最高裁第二小法廷の判事5人のうち4人は、何のおとがめも受けず、退官後は大企業の役員や大手弁護士法人の顧問、有名私大教授に“再就職”していたことが分かった。人生を破壊された菅家さんなど眼中にないかのように、判事たちは平和で豊かな老後を送っている。昨年3月の再審判決公判で宇都宮地裁の佐藤正信裁判長は菅家さんに謝罪したが、判決を確定させた当時の判事たちからは謝罪の言葉すらない。この5人は、冤罪の疑いが濃厚な「東電OL殺人事件」にもかかわっている。無実の民を陥れた彼らの罪が裁かれない限り、我々もいつ、冤罪で獄中に送り込まれるか分かったものではない。
【Digest】
◇冤罪判決出した最高裁5人組のその後
◇DNA再鑑定を――無実の訴えを無視した最高裁
◇元検事の亀山裁判長は東海大教授に
◇東海大大学院就職は「一宿一飯の恩義」から
◇イトマン代理人もやった河合氏
◇「取材には応じていません」と河合氏秘書
◇外務→最高裁→東京海上・西村あさひの福田氏は大忙し
◇「イーグル工業とは昔からの付き合い」の梶谷玄氏
◇冤罪判決を書いた最高裁5人組のその後
まず足利事件の経緯について触れておこう。概要は冤罪被害者である菅家利和さんの手記『冤罪』(朝日新聞出版)を読めばよくわかる。
〈何の前触れもありませんでした。それはまさに人生で最悪の一日でした。決して忘れない、一九九一年十二月一日のことです。〉
このような菅家氏の告白から同書は始まっている。1990年5月12日、栃木県足利市のパチンコ店駐車場にいた女児(4歳)の行方がわからなくなった。夜になり、女児は付近の河原で絞殺体となってみつかった。約半年後の12月1日、栃木県警は殺人の容疑者として菅家さんを逮捕する。菅家さんにとって「人生で最悪の一日」だった。
この事件に先立ち、足利市では幼女が殺される事件が1984年と89年に相次いで起きていた。いずれも未解決で迷宮入りしていた。菅家さんを逮捕した栃木県警は、これら二件についても菅家さんを犯人だときめつけ、再逮捕・送検する。3連続幼女殺害事件は一挙に解決。犯人は菅家だ――当時の新聞テレビ通信社は、警察発表を基に「連続殺人犯菅家利和」報道を大量に流した。シロじゃないかと疑った人が、この当時日本中にどれだけいただろう。
しかし菅家さんは無実を訴えていた。宇都宮地検は最終的に91年の事件だけを起訴した。裏付ける証拠がなかったからだ。
残ったひとつの殺人事件について宇都宮地裁で公判がはじまったものの、菅家さんの供述は自白と否認の間を迷走する。無実を訴えたと思えば罪を認める。だがまた無実だという――。なぜそんなことになったのか、前掲書に実情が打ち明けられている。菅家さんは一貫して無実を訴えたかった。だが無実を口にするたびに検事や捜査員が圧力をかけた。おまけに弁護人までもが無実の訴えを一向に聞き入れなかった。
こうした四面楚歌の裁判の結果、無期懲役の判決が下される。弁護団が入れ替わって東京高裁の控訴審がはじまった。弁護人は無実を確信し、具体的な証拠を積み上げて無罪を主張する。しかし裁判官は一顧だにせず、棄却した。ただちに上告し、審議の場が最高裁に移された。1996年5月9日のことであった。
上告審で弁護側が訴えた争点は主にふたつ。一審の弁護人の弁護が不当で事実審理が不十分だったこと。そしてDNA鑑定の信頼性である。被害者の女児の下着には犯人の男のものと思われる精液がついていた。栃木県警は精液のDNA型を鑑定して「菅家氏のものと一致した」と結論づけた。これに対して弁護側は、鑑定の方法が旧式のもので結果は誤りである、再鑑定すべきだ――と訴えた。
上告審を担当したのは最高裁第二小法廷だった。判事は5人。亀山継夫(裁判長)・河合伸一・福田博・梶谷玄・北川弘治――の各氏だ。最高裁が結論を出したのは2000年7月17日である。棄却だった。
◇ DNA再鑑定を――無実の訴えを無視した最高裁判決
無実を訴える菅家さんを文字通り獄中に叩き込んだ判決だが、内容は以下のとおりごく簡単なものだった。実質的に中身はない。
〈…記録を精査しても、一審弁護人の弁護任務が被告人(菅家さん)の権利保護に欠ける点があったものとは認められない。――〉
〈…記録を精査しても、被告人(菅家さん)が犯人であるとした原判決に、事実誤認、法令違反があるとは認められない。――〉
信頼性に疑問があると訴えた栃木県警のDNA鑑定についてはこう述べている。
〈なお【要旨】本件で証拠のひとつとして採用されたいわゆるMCT118DNA型鑑定は、その科学的原理が理論的正確性を有し、具体的な実施の方法も、その技術を習得した者により、科学的に信頼される方法で行われたと認められる。したがって、右鑑定の証拠評価については、その後の科学技術の発展により新たに解明された事項等も加味して慎重に検討されるべきであるが、なおこれを証拠として用いることが許されるとした原判断は相当である。〉
検察の言うことを頭から信用して疑おうとしない。「警察のやることに間違いはない」と言っているようなものだ。5人の判事に誰一人としてDNA型鑑定の専門家はいないのだが、「科学」という言葉を繰り返して再鑑定の訴えを退けた。最高裁は反対意見を書くことができる。だが反対意見はひとつもなく、5人全員一致で「DNA再鑑定の必要はない」「菅家は有罪だ」と判断した。
こうして菅家さんの無期懲役が確定する。以後、2009年6月4日まで引き続き菅家さんは獄中で過ごした。東京高裁への再審即時抗告でDNA型の再鑑定が決定され、「不一致」という結果となって釈放されたのがこの日である。拘留はじつに17年半に及んだ。
もし当時の最高裁が慎重を期して再鑑定を決定していれば、少なくとも9年の刑務所生活はせずにすんだわけだ。証拠の再鑑定をなぜそれほど嫌がったのか。最高裁の判事たちも菅家さんが無罪であることを薄々でも知っていたからではないか。そんな気すらしてくる。
そしてここからが本稿の本題である。ひとりの人生を台無しにしておきながら、判決を書いた亀山氏らの退官後の身の振り方が興味深い。以下、5人それぞれに取材を試みた。
北川氏をのぞいて5人のうち4人が、大企業の役員や有名私立大の教授に再就職して報酬を得ている。刑務所で辛い目をしている菅家さんの境遇と比べてあまりにもお気楽というほかない。
判事5人と再就職状況は次のとおりである。
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◇ 元検事の亀山裁判長は東海大教授に
裁判長の亀山継夫氏からみていこう・・・・・・。
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東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011121190071611.html)。
その後の自民党の暴走の源は青年将校・中曽根康弘氏。伝聞とはいえ、「札束でほっぺたをひっぱたいてやる」っていうのがすごいし、それに悠々諾々と従う人々というのも・・・・・・。
この「札束でほほを打つ」体質は、いまも変わらず。東京電力のあの大人災を経ても、原発維持・原発再稼働・原発輸出するのなら何でもやる、この体質はどうしようもない。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011121190071611.html】
学会尻目に電撃予算 政界主導「札束でほっぺたを」
2011年12月11日 07時16分
広島と長崎で大勢の命を奪った原爆の「平和利用」といわれた原発。そのわが国への導入の動きは、独立を回復した一九五二(昭和二十七)年にさかのぼる。原発はどんな議論を経て日本に建設されたのか。安全はどう留意されていたのか。連載第五部では、独自入手した資料や関係者の証言をもとに「安全神話の源流」をたどる。
「今日から出発しないと世界に遅れる」
一九五二年十月の初め、全国の物理学者に向けて一通の手紙が出された。差出人は物理学者で大阪大教授の伏見康治。占領軍の呪縛が解けた今こそ、日本でも原子力研究を準備しようという提言である。
日本人初のノーベル賞を受賞した湯川秀樹の共同研究者で名古屋大教授の坂田昌一の遺品に、その手紙が残されていた。
二年程度の準備期間を経て、三年ほどかけて実験用原子炉を建設する。その後には工業用原子炉と発電施設を建設する。今にも破れそうなわら半紙には、そんな構想とともに(1)軍事目的の研究は行わない(2)研究結果は公表する-など、後に原子力開発の大原則となる「公開」「民主」「自主」の三原則につながる私見もあった。
提言は「科学者の国会」である日本学術会議の副会長茅誠司との共同作戦だった。茅は七月、学術会議の運営審議会で「原子力を考える時機になった」と「原子力委員会」設置を政府に申し入れるよう提案していた。
その素案を練ることになった伏見は、各地に物理学者を訪ね、意見を聞いた。賛成もあったが、被爆国で原子力研究などとんでもない-とつるし上げられたこともあった。
迎えた十月二十二日からの総会。茅と伏見は連名で政府への申し入れを提案する。
翌日の議案審議は荒れに荒れた。学術会議が所蔵する鉛筆書きの速記録に、激論の一部始終が残っている。
急先鋒(せんぽう)は広島大教授の三村剛昂(よしたか)だった。爆心地から一・八キロの近さで被爆し、辛うじて命拾いしていた。
「原爆を受けた者としまして、絶対に反対だ」「相当発電するものがありますと一夜にしてそれが原爆に化するのであります」
米ソの緊張が解けるまで原子力の研究はすべきでない-。迫力ある主張に賛同者が相次ぎ、茅と伏見は提案撤回に追い込まれた。
伏見は後年、長男の譲(68)にこう嘆いた。
「あれは科学的態度でない。情緒だ」
■
軍事転用を恐れ、前に進めない学者たち。それを尻目に、政界が動く。中心は改進党の若手衆院議員で「青年将校」といわれた中曽根康弘(93)だった。
五三年夏に訪米した中曽根は、原子力研究の実情を視察。年末の帰国前にカリフォルニア大に物理学者の嵯峨根遼吉を訪ね、助言を受けていた。
時を同じくして、アイゼンハワー米大統領が国連総会演説で「アトムズ・フォー・ピース(平和のための原子力)」を世界にアピールする。軍事機密としてきた原子力。その技術を提供するという方針転換である。
翌年二月二十日、改進党秋田県連大会に出席した地元衆院議員の斎藤憲三らは、原子力推進で意気投合。新年度予算の修正案を出そうと申し合わせる。
表に立ったのは衆院予算委員会理事の中曽根だった。少数与党の自由党と交渉し、初の原子力予算を三月二日の予算委に共同提案する。原子炉築造費二億三千五百万円を含む予算に学術会議側は仰天し、騒然となった。
「まことに寝耳に水のこと」「そのままにしておくことはできないと考えました」
原子力問題を話し合う委員会の委員長だった藤岡由夫(東京教育大教授)は、翌月の総会でこう報告した。
藤岡らは国会に出向いて反対を訴えるが、予算案は三月四日に衆院を通過。四月三日に自然成立した。本人は後に否定したが、小田原評定を続ける科学者らに、中曽根はこう言ったとされた。
「あんたたち学者が昼寝をしているから、札束でほっぺたをひっぱたいてやるんだ」 (敬称略)
(東京新聞)
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3.11から約1月後のNPJの記事(http://www.news-pj.net/genpatsu/2011/0407-tadano.html)。
随分以前の記事です。
司法が上手く機能していればFUKUSIMAの原発人災を防ぐことができていたのではないか。予想された人災だと言えまいか?
福島県二本松市のゴルフ場の仮処分申請を却下した裁判といい、原発人災後これだけの月日が経っているのに司法に変化が見られない。反省すべきは政治や電力会社だけで良いのか? 司法にも大きな責任が無いか?
それにしても、石橋克彦氏の予言はすごい。FUKUSIMA人災を、ことごとく言い当てている。それに耳を傾けようとしなかった政治、電力会社、マスコミ、さらに中立・公正に司法判断を下せない無能な裁判所。
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【http://www.news-pj.net/genpatsu/2011/0407-tadano.html】
シリーズ 原発
目 次
福島 「原発震災」 は予言されていた
弁護士 只野 靖
浜岡原発運転差止裁判弁護団 2011.4.7
地震から約1ヶ月が経過しようとしているが、福島 「原発震災」 が収束しない。原発のすさまじい崩壊熱は、未だに不安定要因だ。注水しなければ燃料が加熱してしまう。しかし、注水をすればするほど、放射能を含んだ水がそれだけ多く土壌や海を汚染する。これはまさに、現代のシジフォスの神話である。3号機ではプルサーマルを行っていたことが災いし、とうとうプルトニウムまで放出されてしまった。
テレビでは、コメンテーターが 「この危機を乗り越えることができたら、日本の技術やリスク管理のすばらしさを、世界に知らしめるだろう。」 と連呼している。
あえて言おう。バカめ。
現在、福島原発で行われていることは、科学技術やリスク管理の水準の高さとは全く無縁の、強烈な被曝を伴う奴隷労働だ。コンクリートからの水漏れをふさぐ方法は、昔ながらの土木工事だ。これが、私たちが到達した 「科学技術」 の限界なのだ。
この後に及んで、まだ原発を擁護するのであれば、まずは、福島第一での被曝作業に従事してから、言ってもらいたい。
「原発にとって大地震が恐ろしいのは、強烈な地震動により個別的な損傷もさることながら、平常時の事故と違って、無数の故障の可能性のいくつもが同時多発することだろう。特に、ある事故とそのバックアップ機能の事故の同時発生、たとえば外部電源が止まり、ディーゼル発電機が動かず、バッテリーも機能しないというような事態がおこりかねない。」
「(核暴走を)そこは切り抜けても、冷却水が失われる多くの可能性があり(事故の実績は多い)炉心溶融が生ずる恐れは強い。そうなると、さらに水蒸気爆発や水素爆発がおこって格納容器や原子炉建屋が破壊される」
これは、すでに、多くのメディアが報じている、石橋克彦・神戸大学名誉教授 「原発震災──破滅を避けるために」 (科学1997年10月号)の一説である。石橋教授は、今日の破局的事態を、正確に予言していた。岩波書店は、この論文を含む原発関係の論考を無料公開しているので、是非一読していただきたい。
私たちは、石橋教授の指摘を受けて、中部電力の浜岡原発が想定東海地震に耐えられず、大事故を起こす危険性があると訴えて、 2002年に、静岡地裁に運転差止の裁判を提起した。石橋教授は、裁判での証言まで引き受けていただいた。
しかし、2007年10月、静岡地裁判決は、以下のように述べて、原告側敗訴の判決をした。
「(地震について)確かに、我々が知り得る歴史上の事象は限られており、安政東海地震又は宝永東海地震の歴史上の南海トラフ沿いのプレート境界型地震の中で最大の地震でない可能性を全く否定することまではできない」 「しかし、このような抽象的な可能性の域を出ない巨大地震を国の施策上むやみに考慮することは避けなければならない」 (判決114頁)
「(地震時には安全システムも同時に故障するという原告の主張について)しかしながら、全体として本件原子炉施設の安全性が確保されるのであれば、安全評価審査指針が定めるように、安全設計審査指針に基づいて別途設計上の考慮がされることを前提に、内部事象としての異常事態について単一故障の仮定による安全評価をするという方法をとることも、それ自体として不合理ではない。そして、原子炉施設においては、安全評価審査指針に基づく安全評価とは別に耐震設計審査指針等の基準を満たすことが要請され、 その基準を満たしていれば安全上重要な施設が同時に複数故障するということはおよそ考えられないのであるから、安全評価の過程においてまで地震発生を共通原因とした故障の仮定をする必要は認められず、内部事象としての異常事態について単一故障の仮定をすれば十分であると認められる。したがって、原告らが主張するようなシュラウドの分離、複数の再循環配管破断の同時発生、複数の主蒸気管の同時破断、 停電時非常用ディーゼル発電機の2 台同時起動失敗等の複数同時故障を想定する必要はない。」 (原判決106頁)
また、あえて言おう。バカめ。
この判決をした、宮岡章、男澤聡子、戸室壮太郎の各裁判官は、裁判官を今すぐ辞めて、福島第一での被曝作業に従事してもらいたい。
石橋教授が指摘していたことは、残念ながら、福島原発において、現実のものとなってしまったが、地震国日本では安全な場所はない。何時どこの原発でも、福島原発と同じ事故を起こす可能性がある。
とりわけ、浜岡原発は、想定東海地震の震源断層の直上に位置しており、震源深さは約15キロと非常に浅く、世界一危険な原発である。また、その構造も、福島原発と同じで、福島原発の事故を踏まえた対策は、未だ取られていない。
「地震は止められない。でも、原発は止められる。止めなければならない。」
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東京新聞の社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011121702000054.html)。大手新聞でこのスタンスというのは東京新聞ぐらいなのかな? 「あきれ返る」とまで、よく言ったと思う!
山岡俊介さんのアクセスジャーナルの12月17日の記事も(http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/)。
いや~、本当に呆れかえります。いったい何が達成され、何が解決したというのでしょうか? いまだに水を〝かけ流し〟で、周辺の海や地下水を汚しまくっているのに。大気や土壌を汚したままなのに。「事故収束宣言」をFUKUSIMAの人たちはどう思うだろう? 世界に向けては、これは詐欺的行為ではないだろうか? 腹立たしい限りだ。恥ずかしい限りだ。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011121702000054.html】
事故収束宣言 幕引きとはあきれ返る
2011年12月17日
福島第一原発の「事故収束」を野田佳彦首相が宣言した。放射性物質の放出や汚染水の懸念も残り、絶対安全の保証はどこにもない。廃炉までの長き道のりを考えれば、幕引きとはあきれ返る。
「原子炉は冷温停止状態に達し、事故そのものが収束に至った」と述べた野田首相の言葉に誰もが耳を疑ったことだろう。
原発建屋内ではいまだに高い放射線量が計測され、人が立ち入れない場所もある。さっそく現場作業員から「政府はウソばかり」と批判の声が上がったほどだ。
そもそも「冷温停止」という言葉は正常運転する原発で用いられる。「状態」というあいまいな文字を付けて宣言にこだわる姿勢は、幕引きありきの政治的な思惑からだろう。
廃炉へ進める節目とすることや、「いつ戻れるのか」という避難住民を少しでも安心させようという狙いがあろう。全国の原発の再稼働はむろん、世界へ原発輸出を進める底意もうかがえる。
だが、福島第一原発は「収束」どころか、溶け出した核燃料が格納容器内でどうなっているかもつかめず、ただ水を注ぎ込み、冷却しているにすぎない。
循環注水冷却システムが正常に機能すればいいが、大きな地震が襲えば、再び不安定化する心配はつきまとう。綱渡り状態なのが現状ではなかろうか。
放射能汚染水処理も難題だ。建屋への一日四百トンもの地下水流入は続いており、保管タンクはいずれ満杯になる。むろん海への放出など、漁業者や国際的反発などから安易に考えるべきでない。
廃炉となると、核燃料取り出しに「十年以内」、炉の解体など最終的に「三十年以上」かかる見通しだ。その過程で放射能漏れなどの事故が起きる可能性もある。要するに課題山積なのだ。
原発から半径二十キロ圏内の警戒区域と北西に延びる計画的避難区域を新たに三つの区域に再編する予定だ。年間放射線量が二〇ミリシーベルト未満を「解除準備区域」、二〇ミリシーベルトから五〇ミリシーベルトを「居住制限区域」、五〇ミリシーベルト以上を「長期帰還困難区域」に分ける。
「解除準備区域」では除染とともに住民が戻れるようにするというが、子育て世代が安心して帰還できるだろうか。社会インフラの機能回復も見通せないままだ。
収束宣言の内実は、原発事故の未知領域に足を踏み入れる「幕開け」といった方がいい。
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【http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/、12月17日の記事】
2011/12/17
緊急連載:政府関係者激白②「原発事故は収束」は大嘘
執筆者: Yamaoka (8:20 pm)
この連載①に続き、福島原発事故について政府関係者A氏の証言をさらに紹介しよう。(冒頭写真=「毎日」12月17日記事)
政府は12月16日、原子力災害対策本部(本部長・野田佳彦首相)を開き、東京電力福島第一原発の原子炉が「冷温停止状態」になったと発表。大手マスコミは何ら検証せず、それをそのまま報じた。
だが、連載①で見たように、実際のところ、メルトスルーした核燃料はどこにあるのか誰もハッキリとは確認できていないのだ。格納容器内に止まっていると東電などがいうのはあくまで推測、希望的観測でしかなく、そんな状況が「冷温停止」のわけがないではないか。
「いいですか。『冷温停止』の定義は3つあって、(1)圧力容器底部温度が
100℃未満(2)原子炉の放射性物質の管理・抑制が出来ている
(3)放射性汚染水を原子炉の冷却水に再利用する
循環注水冷却システムの安定運転の維持が出来ている、この3つが
揃って始めていえることなんです。
いまの福島第一は(1)がかろうじて出来ているだけ。だから、
冷温停止のわけがない。それなのに、勝手に定義を変え、そうだという。
否、正確にいえば、『冷温停止』ではなく、『冷温停止状態』と“状態”が
付いているが、現状はそんな状態に近くすらない。完全にウソ、デタラメと
いわざるを得ない」(A氏)
それどころか、もし、1~4号機の1つでも原子炉格納容器内の核燃料が漏れ出ていれば(メルトスルー)、未だ首都圏崩壊の懸念さえあるというのだ。
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神保哲生さんのvideonews.com(http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002184.php)。お相手は青木理さん。
法的には色々に論点があるのだろう。でも、一言「お前のモノだろう!」と言いたい。
あまりに非常識な反論で、それを裁判所が無能にも認めてしまうなんて、どうかしている。東京電力だけではないだろうが、電力会社全般に反省する気や、責任を感じる気など何もないのだろう。
政治の無能、企業倫理の欠如、それに加えて司法のあまりの無責任さ。原発問題に関してまともに司法が機能した例はごくわずかで、政治や(公・私)企業の行いへの追随ばかりだ。市民サイドに立てとは言わない、でも、せめて公正・中立であってくれ。神保さんの言うように、政治サイドや企業サイドが言う〝安全神話〟は信じ、住民側の言う危険性は技術的判断の回避として退ける、という自己矛盾に裁判官は気づくべきである。いや彼らは頭がいい訳だから、内心分かっていて、公正さや中立性を意識的に捨て去っているのだろう。そうであるのならば、ますます救いが無い。
井戸謙一元裁判官は、原発に危険性が無いことは電力会社側に立証責任がある、という正論を述べられている。青木さん、「逆ロシアンルーレット」、つまり銃創には5つの弾(救いのない裁判官)がつまっていて、弾のつまっていない銃創(井戸元裁判官のようなまともな裁判官)はわずかに一つというロシアンルーレット。実際には、多数の銃にはフルに弾がつまっていて、一つだけの弾がつまっていない銃でさへもが極僅かでしょう。
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【http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002184.php】
ニュース・コメンタリー (2011年12月03日)
放射能を「無主物」と言い放つ東電と裁判所の責任
福島県内でゴルフ場を運営する会社が、東京電力に対し、敷地内に飛散した放射性物質の除去などを求めていた仮処分の申し立てを、東京地裁は31日、却下する決定を下したが、この申し立てに対し東電は、ゴルフ場に積もった放射性物質は誰のものとも言えない「無主物」であると主張している。
仮処分を申請したのは福島県二本松市でゴルフ場を経営する「サンフィールド二本松ゴルフ倶楽部」。
サンフィールドが、東電が他人の土地の上に放射性物質を付着させ、土地の利用に制限をかけていると主張したのに対し、東電側は放射性物質は誰の所有にも属さない「無主物」であって、飛んでいる虫のようなものだから除去する責任を負わないと主張した。
決定文の中で裁判所は放射性物質が無主物かどうかについては触れていないが、除染技術が確立していないことや、除染は自治体などによって進められるのが適切であることなどを理由に、ゴルフ場側の申し立てを退けた。
自社で運営していた原発で放射性物質を使った発電を行った結果発生した放射性物質を、無主物などと呼んで虫と同一視する東電の無責任な態度は論外だが、これに触れないまま申し立てを退ける裁判所も問題だ。
仮処分申し立ての却下から見えてくる裁判所の問題を、ジャーナリストの神保哲生と青木理が議論した。
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東京新聞の記事から(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011120201001767.html)。
財界と呼んでよいのかどうか分かりませんが、腐っていない金融機関もあります。
前から書こうと思っていた城南信金。THE JOURNALの記事(http://www.the-journal.jp/contents/jimbo/2011/07/post_120.html)とUSTREAMの映像資料(http://www.ustream.tv/recorded/17446156)もどうぞ。
「脱原発宣言」につづいて、東京電力との契約解除だそうです。素晴らしい! 筋の通った、骨のある金融機関だ。日本の救い。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011120201001767.html】
城南信金、東電の電気買いません 「脱原発」取り組み
2011年12月2日 19時03分
城南信用金庫(東京)は2日、本支店などで使用する電力について東京電力との契約を解除し、ガスや自然エネルギーの電力を販売する「エネット」(東京)から購入する、と発表した。来年1月から始める。城南信金は福島第1原発事故後、「脱原発」を宣言しており、今回の取り組みもその一環。
城南信金は、年間約900万キロワットの電力を使う全85店のうち77店でエネットに契約を変更する。契約の切り替えに伴い、年間の電気料金は従来の約2億円から1千万円減らせるという。8店舗はビルに入居しているなどの理由で、引き続き東電から供給を受ける。
(共同)
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【http://www.the-journal.jp/contents/jimbo/2011/07/post_120.html】
信用金庫が脱原発宣言をすることの意味
マル激トーク・オン・ディマンド
第536回(2011年07月23日)
信用金庫が脱原発宣言をすることの意味
ゲスト:吉原毅氏(城南信用金庫理事長)
プレビュー
菅直人首相は震災発生から「脱原発宣言」までに4ヶ月あまりを要したが、震災の衝撃も覚めやらない4月1日に、堂々と脱原発宣言をやってのけた金融機関がある。日本初の脱原発金融機関として今や全国的に有名になった東京の城南信用金庫だ。同庫のホームページに掲載された宣言「原発に頼らない安心できる社会へ」は瞬く間にツイッターなどで広がり、同時期にウェブサイトに公開された吉原毅理事長のインタビューは8万回以上も再生された。
経済界では異例の脱原発宣言はなぜ行われたのだろうか。また、脱原発で城南信用金庫に続く金融機関はなぜ現れないのだろうか。
城南信用金庫は世田谷区や品川区など東京の城南地区を中心に地域金融を展開する信用金庫で、都内に50店舗、神奈川県に35店舗を持ち、店舗数、預貯金額ともに信金としては日本でトップクラスの規模を誇る。数々のユニークな取組みで金融界の異端児と評されることが多いが、3代目理事長の故・小原鐡五郎氏の教えである「裾野金融」「貸すも親切、貸さぬも親切」「カードは麻薬」など「小原鐡学」を社是に、目先の利益を追求せず、人と人とのつながりや地域貢献に主眼を置く、地道な経営でも知られる地域密着型の信用金庫だ。
なぜそのような地域の金融機関が、脱原発宣言などを行ったのかについて、吉原氏は原発事故の発生以後、誰も責任を取とろうとしない政府や企業の姿勢に強い違和感を持ったことをあげる。どんな企業でも事故が発生したら、謝り、責任をとるはずだが、原発については誰も責任をとらない。政府もマスコミの報道にも違和感を覚え、誰かが発言しなければならないと考えた結果が、この宣言だったという。
しかし、脱原発を宣言した以上、自らもそれを行動で表さなければなければならない。自分たちに何ができるかを考えた結果、原子力の占める発電量が3割なので、まずは自社の電力消費量を3割節電することを決めた。全店舗でLED照明を導入や冷暖房の設定温度の見直しなどを実施した結果、3割削減は十分可能だったと吉原氏は言う。
また、ボランティア休暇の導入や社員の被災地ボランティアのサポート、被災した地域の信金の内定取り消し者の採用なども積極的に行っている。
城南信金では同時に、消費者がソーラーパネルやLED照明、蓄電池など節電のための商品を購入する際の、低金利のローンなど、本業でも脱原発・節電を推進している。
しかし、城南信金のこのような動きをよそ目に、経団連に代表される日本の経済界は依然として原発推進の立場から抜け出ることができないのはなぜか。
吉原氏は、表では勇ましく原発推進を謳っている企業や企業人も、個人レベルでは原発が危険であることは十分にわかっているし、おそらく、できることなら原発はやめたいと思っているにちがいないと言う。しかし、大企業ほど地域独占の電力会社との関係は深く、株式や電力債などを通じた実利面でも、多くの企業が電力とは強い利害関係で結びついている。個人的な思いはあっても、経済的、心理的にそう簡単には原発から抜け出せない構造になっているというのだ。
とは言え、城南信用金庫も、事業として金融業を行っている業界トップクラスのれっきとした金融機関だ。損得勘定抜きで事業は成り立たないはずだ。目先の利益に目が眩みそうになった時、吉原氏は城南信用金庫の中興の祖、故小原鐵五郎氏の教えを改めて肝に銘じるという。小原哲学とは、目先の利益を追い求めるものは、最後には大きな損をするという教えだと、吉原氏は言う。小原氏の「貸すも親切、貸さぬも親切」の教えを守り、バブル期にゴルフ場開発や株式、投資信託など投機性の高いプロジェクトへの融資をあえて行わなかったことが、城南信金がバブル崩壊の痛手を大きく受けずに、今日の地位を気づけている要因になっていると吉原氏は胸を張る。
実際のところ、今後コミュニティバンクとしての信用金庫が担うべき役割は多い。あの悲惨な原発事故を受け、これからの電力供給は、これまでのような大手の電力会社に全面的に依存する中央依存型から、再生可能エネルギーなどを中心に、地域の比較的小規模な事業者や各家庭が担っていく地域分散型へのシフトが避けられない。この中央から地方分散へのシフトを支えていけるかどうかに、信用金庫の真価が問われることになるだろう。
吉原氏に、脱原発宣言の経緯やその影響、そしてその背後にある小原哲学などの理念と金融機関が追うべき社会的責任について聞いた。
<ゲスト プロフィール>
吉原毅(よしわらつよし)城南信用金庫理事長
1955年東京生まれ。77年慶応大学経済学部卒業。同年城南信用金庫入庫。企画課長、企画部長、副理事長などを経て2010年11月から現職。
投稿者: 神保哲生 日時: 2011年7月23日 23:23
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【http://www.ustream.tv/recorded/17446156、2:45あたり吉原氏】
録画日時 : 2011/09/23 12:58 JST
2011年9月23日シンポジウム「脱原発社会は可能
2011年9月23日シンポジウム「脱原発社会は可能だ!」
シンポジウム「脱原発社会は可能だ!」
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