出先(SL)から。首相が代わったようですけけれども・・・。
WP『小出裕章(京大助教)非公式まとめ/京大原子炉実験所助教 小出裕章氏による情報』(http://hiroakikoide.wordpress.com/)に出ていた記事(http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/07/21/tv-asahi-jul-21/)。
総括原価方式という、原子力を選択するカラクリ。経産相は原子力技術の継承なんてカッコイイことを言っているけれど、原子力村の生き残りをかけた戦いだ(http://www.asahi.com/politics/update/0721/TKY201107210271.html)。経産相は、「原発=核」を続けることしか頭にはない原子力村の住人である。
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【http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/07/21/tv-asahi-jul-21/】
7月21日 「総括原価方式の役割」「どうしても原子力をやりたかった理由」 小出裕章(そもそも総研)
2011年7月21日(金)、テレビ朝日「モーニングバード」の毎週金曜のコーナー「そもそも総研」にて、小出裕章氏がVTR出演されていました。コメント欄にてあさまに教えていただきました。またコメント欄にてしんちゃんさまに書き起こしを提供していただきました。
内容書き起こし
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※3分32秒あたりから
(総括原価方式の役割とは…)
玉川「で、その部分についても、小出先生、また新しく本出しましたけども、この本の中にもコストの問題、書いてありますけれども、あの小出先生はこれについてなんというふうにおっしゃるか。で、VTR」
※VTR
小出「国が誘導してきたということなんですね。原子力発電所を電力会社にやらせるために。」
玉川「この総括原価方式なんですけれども。これどういう役割があったというふうに先生は思われますか?」
小出「電力会社の資産に比例するという形で利潤が決められたがために、電力会社としては資産を持てば持つだけ利潤が膨れ上がる、そういう構造だった、わけです。えー、原子力発電所というものは1基作れば何千億円という資産になりますので、作ってしまえばもうそれだけ比例計算で利潤が懐に入るという、もうとてつもなくうまい方式で、電力会社が優遇されてきてしまったのですね。」
玉川「同じ電気を作るのにも火力発電所よりも原発のほうが高いわけですよね。」
原発「高い。はい。」
玉川「ということは高い施設つくったほうが儲けになる。」
小出「そうです。そうです。」
玉川「そしたらやっぱり高いほう高いほうっていきますよね。」
小出「そうやって来てしまったわけですね、こんにちまで。」
玉川「ってことは逆にいうと総括原価方式があったから、利益を出す、民間企業ですから、利益を出すために原発をいっぱい作ったという側面もあるんですか?」
小出「そうです。そのように、まあ、逆な言い方をすれば国が誘導してきたということなんですね。原子力発電所を電力会社にやらせるために。」
玉川「ああー、はいはい」
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※14分40秒あたりから
(どうしても原子力をやりたかった理由とは…)
小出「原子力というのは、私からみると、核と同じものなんですね。日本人が言う「核」と同じものなんですね。つまりまあ、軍事利用と切っても切り離せない技術なのであって、国家としてはそのことを始めから知っていて、原子力の平和利用だと標榜しながらも核兵器を開発する能力、技術的能力というのを保有し続けたいという思惑が、わたくしは国にはずっとあったと思います。でいずれにしてもまあ国、日本の国というのは原子力をやると決めたわけですね。やると決めた以上は民間企業を巻き込まなければできなかったわけで。で、そのためには電力会社にうまみをあたえなければいけない。その1つが総括原価方式で、原発を誘導するということだった」
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【http://www.asahi.com/politics/update/0721/TKY201107210271.html】
2011年7月21日14時4分
原発再稼働基準「事故調報告の1、2年後」 首相が答弁
菅直人首相は21日の参院予算委員会での答弁で、原発再稼働のための本格的な安全基準について「(東京電力福島第一原発の)事故調(査・検証委員会)の報告が出た1年か2年の後、新しい基準をつくることになる」と述べた。
全原発を対象に実施するストレステスト(耐性評価)については「今の段階で(暫定的な)新しいルールづくりをすることは、国民に安心を持ってもらう上で必要だ」と強調した。原発輸出については「私自身これまで力を入れてきた。もう一度きちんとした議論がなされなければならない段階にきている」と述べた。
海江田万里経済産業相は、首相の「脱原発」発言について会見前に首相から説明を受けた際、「日本は核兵器を持たずに原子力技術を開発してきたが、原発ゼロとなるとこうした技術が途絶えてしまう。それで本当にいいのか。もう少し多角的な角度から議論した方がいい」と反論したことを明らかにした。
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お盆を前にasahi.comに出ていた記事(http://www.asahi.com/national/update/0812/SEB201108120010.html)。
朝日新聞や毎日新聞、東京新聞が同様なことをやれば驚きもしますけれども、読売新聞ですもの、さして驚きもしません。
タイトルの「大分の市民団体」というのを見て、すぐに「赤とんぼの会」だとピンときた。松下竜一さんにも関連した「赤とんぼの会」、今も頑張っておられることに気づけてよかった。今後もますますの活躍に期待している。
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【http://www.asahi.com/national/update/0812/SEB201108120010.html】
2011年8月12日20時58分
護憲広告、一部新聞への掲載見送り 大分の市民団体
終戦記念日の毎年8月15日前後、新聞各紙に護憲の意見広告を掲載してきた大分県の市民グループ「赤とんぼの会」が、今年は読売新聞への掲載を取りやめることを決めた。昨夏まで全国紙や地元紙の計5紙に掲載してきたが、昨年は読売新聞に文章の一部が掲載を認められず、思いが伝えられなかったためという。
同会は1982年、主婦や戦争体験者らで結成。83年から毎年、カンパを募り、憲法9条を守ろうと呼びかける意見広告を新聞各紙に掲載してきた。昨年は県内や東京などから2893人が広告費をカンパ。8月15日に「非武装・不戦の憲法九条を広告します!」と銘打った全面広告を朝日、毎日、読売、西日本と大分合同の新聞5紙に掲載。憲法9条の条文や賛同者名、広告の趣旨などを説明する文章を添えた。
会によると、この中で、会に寄せられた戦争体験者の「上官の命令で捕虜を銃殺した」とのメッセージを紹介したが、読売新聞だけ「銃殺した」の部分を「……」と変更された。掲載3日前、広告会社を通して読売新聞西部本社広告審査課から「刺激的すぎるため、そのままでは掲載できない」と伝えられたという。
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asahi.comの記事(http://www.asahi.com/international/update/0725/TKY201107250614.html)。
隣国に学ぶべきじゃないでしょうか。FUKUSIMAを見てもまだ続けるなんて信じがたい。中国での高速鉄道事故も同様ですが、自国の技術を過信しすぎでは? 妙なライバル意識やプライドは、あるいは、このドサクサに紛れて金儲けをといった雰囲気は、特に核・原子力の〝安全〟利用ではとても危険で、一旦それ(事故)が起れば致命的でしょうにね。広島・長崎どころか、FUKISIMAに学ばない我国が言えた義理ではないけれども、隣国を反面教師として考えて欲しいものである。
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【http://www.asahi.com/international/update/0725/TKY201107250614.html】
2011年7月25日19時29分
韓国、インドと原子力協定署名 原発輸出狙う
韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は25日、大統領府でインドのパティル大統領と会談し、その場で両国閣僚が原子力協定に署名した。韓国政府は現在21基の国内原発の増設と海外への輸出拡大方針を、福島第一原発事故後も変えていない。原子力協定をもとに、インドの原発市場への進出を図る方針だ。
韓国大統領府によると、李大統領は「韓国の原発産業進出への協力」を求めた。韓国電力公社は2009年、インド原子力発電公社と協力の覚書を締結。韓国政府高官は「政府間の協定で(原発)輸出への基盤が整った」と話す。
インドでは約20基の原発が稼働しており、今後も増設する方針。ロシアやフランス、米国が進出し、日本も原子力協定交渉を続けている。(ソウル=中野晃)
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asahi.comの記事(http://www.asahi.com/national/update/0725/SEB201107250059.html)。
東京都と東電の関係は福岡県と九電の関係の相似形。狂ったト知事のように「福岡に原発を!」、といったバカな主張をするつもりなどさらさらない。でも福岡県は、記事にあるようなことのその前に、九州電力や佐賀県には原発を止め、原発以外の発電方法の採用をお願いすべきではないでしょうか。
一方、九電やらせメール事件でのゴタゴタの際に、貴重な原発支持者である佐賀県知事を九電が庇う様な行動にでた訳ですが、この記事から妙に納得がいくものがあります。
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【http://www.asahi.com/national/update/0725/SEB201107250059.html】
2011年7月25日18時0分
玄海原発の異常「迅速に通報を」 福岡県、義務化検討
玄海原発(佐賀県玄海町)で異常事態が起きた場合、隣の福岡県に迅速に通報するよう、同県が九州電力(福岡市)に「事態把握から15分以内」といった目安を設けた義務付けを検討していることがわかった。過去のトラブルの際、通報がなかったり、10時間後に知らされたりしたからだ。九電との締結が想定される原子力安全協定に盛り込みたい考えだ。
放射線漏れを伴うような異常事態では、原子力災害対策特別措置法は「直ちに」国や立地自治体などに通報するよう電力会社に義務付け、国の防災基本計画は「15分以内をめど」に通報をと規定する。ただ、立地県でない福岡県は共に通報の対象外だ。
県消防防災課によると、県は1989年、玄海原発で事故やトラブルが起きたら「速やかに連絡する」よう九電と申し合わせた。だが、これまでの九電の対応は「速やか」ではなかった。2007年1月に配管のひび割れが見つかった際、九電は午前10時半に確認し、13分後に佐賀県に通報したが、福岡県には5時間後。同年9月に1号機の放射線監視盤が故障した際も午前4時3分に確認したが、佐賀県への連絡は57分後、福岡県は10時間後だった。昨年12月に3号機の1次冷却水の放射性物質濃度が上昇した際は福岡県に連絡がなく、翌朝の新聞で知った県が九電に抗議した。
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魚住昭さんの『魚の目』より(http://uonome.jp/read/1982)。
小沢一郎氏が総理やこの国のリーダーになるべき、と考えている訳ではないが、このような違法捜査や違法裁判を許すことは出来ない。小沢氏が〝黒い〟政治家であるから、と云ってこのような検察や裁判所の肩を持つことはとてもできないのだ。ニッカンゲンダイなどのごく一部を除き、マスコミの多くが小沢叩きばかりに夢中になっていて大丈夫なのか? 村木厚子氏冤罪事件の教訓は?? 検察審査会や検察が、「政権交代の意味さえも破壊」した。
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【http://uonome.jp/read/1982】
愚劣な捜査がこの国の政治をねじ曲げた
6月30日、検察庁を激震が襲った。東京地裁が小沢一郎氏の資金管理団体・陸山会を巡る事件で、東京地検特捜部の検事が作成した調書の多くを証拠採用しない決定を下したからだ。
なかでも衝撃だったのは、「小沢氏に4億円の虚偽記載を報告し、了承を得た」という石川知裕衆院議員の調書の任意性が「検事の威迫や利益誘導によって作られたものだ」として全面否定されたことだった。
これで検察側が描いた事件の構図は瓦解し、検察審査会の議決で強制起訴された小沢氏の無罪がほぼ確実になった。
決定理由の要点を紹介しておこう。まず問題になったのは石川議員が逮捕される前日の昨年1月14日に作成された調書だ。このとき石川氏は田代政弘検事の調べに、初めて政治資金収支報告書への「故意の虚偽記載」を認めたとされていた。
ところが石川氏は公判で「特捜部は恐ろしいところだ。何でもできるところだぞ。捜査の拡大がどんどん進んでいく」と脅され、小沢氏に累が及ばぬよう署名せざるをえなかったと主張。田代検事は「そんなことは言っていない」と反論した。
どちらの言い分が正しいのか。地裁の判断を決定づけたのは、昨年5月、検察審査会の議決後に石川氏が田代検事の再聴取を受けた際、ICレコーダーに録音したやりとりだった。
石川議員「ここは恐ろしい組織なんだから、何するかわかんないんだぞって諭してくれたことがあったじゃないですか」
田代検事「うんうん」
さらに田代検事は「ちゃんと12月に出頭してれば捕まってないんだから…あそこで対決姿勢を示さなければ」と石川氏が特捜部の呼び出しに応じていれば逮捕がなかったかのように言ったり、「検察が石川議員再逮捕しようと組織として本気になったとき、まったくできない話かというとそうでもない」と再逮捕の脅しをかけたりしていたから言い逃れできなくなった。
石川氏が虚偽記載を小沢氏に報告し、了承を受けたのを認めたとされる昨年1月19日付調書についても同じだ。石川氏は公判で「再逮捕の脅しに加え、これぐらい書いても小沢さんは起訴にならないから」と言われたのでやむなく署名したと述べ、地裁は彼の言い分を全面的に認めた。その根拠になったのもICレコーダーの記録だ。
田代検事「要するにさ、僕は石川さんに色んな技を授けて調書にした部分もあるけどね…法律家であれば、ちょっと(小沢氏の)共謀の認定としてはきついよね、という位の話はしたじゃない。で、うちの方はうまい具合に想像した通り(小沢不起訴に)になったわけでしょ」
地裁の決定書は「特捜部は恐ろしいところだという威迫ともいうべき心理的圧迫と小沢の不起訴見込み判断という利益誘導、まさに硬軟両面からの言辞がなされたことにより石川被告は調書に署名押印したものと推認される」と述べ、特捜部の捜査手法を痛烈に批判した。
さらに地裁は会計責任者だった大久保隆規氏の虚偽記載への関与を認めた石川・大久保両氏の調書が「切り違い尋問」で作られたと指摘した。特捜部は大久保氏に「石川が報告したと供述した」と偽って自白させ、つづいて「大久保が認めた」と言って石川氏に大久保氏への報告を認めさせていた。これは典型的な違法捜査である。
決定書からは特捜部の捜査への怒りや不信感がひしひしと伝わってくる。小沢氏本人の公判はこれからだが、陸山会事件が検察史に深刻な汚点として残ることはもう疑いようがない。
しかし、それ以上に深刻なのは、陸山会事件が政治をねじ曲げてしまったことだ。事件がなければ参院選での民主党の惨敗もなかっただろうし、小沢氏の強制起訴もむろんなかった。愚劣な捜査が政権交代の意味を台無しにしたのである。まるで悪夢を見ているような気分だとしか言いようがない。(了)
(編集者注・これは週刊現代連載「ジャーナリストの目」の再録です)
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THE JOURNALに出ていた記事(http://www.the-journal.jp/contents/jimbo/2011/08/post_121.html)。元記事は、神保哲生さんのvideonews.com。
何度も繰り返し言ってきたけれども・・・。FUKUSIMA後も原発を廃止できず、その方向性さえも目指すことがない。核開発と原子力の安全利用がイコールであることに気づけない。とても広島・長崎の教訓を活かせているとは思えない。
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【http://www.the-journal.jp/contents/jimbo/2011/08/post_121.html】
広島・長崎の教訓を今われわれは活かせているか
マル激トーク・オン・ディマンド
第538回(2011年08月06日)
広島・長崎の教訓を今われわれは活かせているか
ゲスト:沢田昭二氏(名古屋大学名誉教授・原水爆日本協議会代表理事)
原発事故の収束の目処が立たないまま、今日、日本は66回目の広島・長崎の原爆の日を迎えた。
被爆国の日本が、なぜここまで原発に依存することになったかについて、われわれは説得力のある説明を持たない。しかし、原子爆弾が後にもたらす放射能被曝の恐ろしさを身をもって知る国として、今回の原発事故への対応に、われわれはその経験を活かせているだろうか。また、それができていないとすると、それはなぜなのか。
自身が66年前の広島で爆心から1.4キロの地点で被爆した経験を持ち、その後、核兵器廃絶運動に参加した名古屋大学の沢田昭二名誉教授は、今、福島で起きていることと、自身も体験した広島で原爆投下後の状態に、強い共通点があると指摘する。
広島で原子爆弾が爆発した際、その爆風と熱、そして爆発の際に飛び散った放射線によって、多くの人命が失われた。しかし、その後、キノコ雲から広い地域に降り注いだ放射性物質によって、何キロ、あるいは何十キロにもわたって多くの人が低線量被曝や内部被曝をしている。その状況は今の福島の状況と共通点が多いと沢田氏は語る。
しかし、原爆を投下したアメリカは、原爆の爆風や放射能を直接浴びた近距離初期放射線による外部被曝者のみを原爆の影響の及ぶ範囲と定義し、遠距離の低線量被曝や内部被曝の影響は無視したと沢田氏は言う。広範囲に広がる低線量被曝や内部被曝も考慮に入れなければならなくなると、原爆の一般市民への影響はあまりにも大きくなり、その使用が国際法上も人道上も正当化できなくなるからだ。結果的に原爆の爆発後、キノコ雲から広範囲に降り注いだ放射性物質によって爆心から遠く離れた場所で被曝した人や、原爆が投下された後、救助などのために広島に入り被曝した人たちは、調査の対象ともなっていないため、実態も把握できていないと沢田氏は指摘する。そして、そのことが、原爆症の認定問題でも、後々多くの人を苦しめることになる。要するに、日本政府は66年前の原爆についても、未だにその影響の全体像を把握できていないのだ。
世界で唯一原爆の被爆経験を持つはずの日本が、原発事故やその後の放射能汚染への対応がいたってお粗末だったことの理由の、少なくとも一端は、そこにあるのかもしれない。日本は66年前に、今の福島と同様の経験をしていたにもかかわらず、その総括ができていないことのツケが、こういう形で回ってきていると、言い換えることも可能かもしれない。
非人道性や非倫理性を理由に核兵器を批判し、この廃絶を訴える沢田氏は、同じ理由で原発にも反対の立場を取る。仮に原発が効率的に電力を供給する手段であったとしても、一旦事故が起きれば、これだけ広範囲に深刻な被害をもたらす原発は、やはり非人道的なものと断じざるを得ないからだ。
そして、自身が素粒子を研究する科学者でもある沢田氏は、とりわけ科学者の責任を強調する。原爆を開発したアメリカの科学者たちの多くは、ナチスドイツの前にアメリカが原爆を持たなければ大変なことになると考え、その力をマンハッタン計画の下、ロスアラモス研究所に結集させた。しかし、ドイツが無条件降伏した後、プロジェクトに参加する科学者の多くが原爆開発の中止を訴えたにもかかわらず、アメリカ政府はこれを却下し、様々な戦略上の判断から日本にこれを投下した。ルーズベルト大統領に原爆開発を進言する書簡を出したアインシュタインは、そのことを後世にわたり我が身の恥としたという。
元々原爆の副産物だった原子力発電についても、1950から60年代にかけて、科学はこれを無限の可能性を秘めた夢のエネルギーと位置づけ、世界中で熱心に研究・開発が進められた。しかし、度重なる事故で原発が当初考えられていたほどいいものではないことがわかったあとも、日本を含む一部の政府はこれを推進し続けた。そして、そこには常に政治の意思と、政治の意を汲んだ御用学者の後押しがあった。
個々の科学者の意図の如何にかかわらず、科学が常に政治利用されることは歴史が証明している。沢田氏は科学者の責任として、人々を信頼し、常に社会にとって重要な情報を提供することの意義を強調するが、原爆投下から60余年がたった今、われわれはそれができているだろうか。
原水協の世界大会に参加中の沢田氏を広島に訪ね、広島・長崎の教訓が福島で活かされているかを議論した。
・・・・・・。
投稿者: 神保哲生 日時: 2011年8月 7日 00:09
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MyNewsJapanに出ていた記事の一部(http://www.mynewsjapan.com/reports/1477)。反省なき雑誌群かな。
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【http://www.mynewsjapan.com/reports/1477】
潮、婦人公論、文藝春秋、ダイヤモンド、新潮、ウェッジ…原発広告漬けのダメ雑誌ランキング
佐々木奎一 03:20 08/10 2011
発行部数10万部以上の総合誌、ビジネス誌を中心に20誌の年間「原発全面広告」ページ数を集計してランキングしたところ、ワースト1位は『潮』で年24ページもあった。2位『婦人公論』、3位『文藝春秋』、4位『週刊ダイヤモンド』『週刊新潮』『WEDGE』…と続く。原発広告を掲載した雑誌は、誌面での原発問題の監視や追及を軒並み放棄しており、原発事故という悲劇を招く一因となった。“毒まんじゅう”を喰らって沈黙を続けた恥ずかしい雑誌ジャーナリズムと、それを支えている愚かな購読者たちの責任は大きい。
【Digest】
◇「原発広告」雑誌別ランキング
◇名産をダシに使う「潮」の卑劣な手口
◇「脳と原発は切っても切れない」婦人公論
◇原発漬け国家を礼讃「文藝春秋」
◇「外部電源を失っても万全」ダイヤモンド
原発のPRに加担してきたプレイヤーたちを徹底分析した4月の原発テレビCM著名人、5月の雑誌タレント文化人、6月の新聞別、新聞文化人。今回は第5弾として、週刊誌や月刊誌といった「雑誌」別の原発広告本数を調べた。
調査方法は、まず「社団法人 日本雑誌協会」が公表している「加盟383誌の最新の『印刷部数』(2010年10月~同年12月)」のうち、10万部以上の総合誌、ビジネス誌、ライフデザイン生き方誌をピックアップ。(それ以外のファッション、コミック、趣味専門誌などは報道性が少ないと判断して対象から除いた)
次に、5月同様、「原発広告」が載っているかどうかを、東京都立中央図書館へ行って調べた。 雑誌名は部数の多い順に、週刊文春、週刊新潮、文藝春秋、週刊現代、週刊ポスト、女性セブン、女性自身、潮、FRIDAY、週刊女性、PRESIDENT、週刊朝日、婦人公論、週刊ダイヤモンド、AERA(アエラ)、WEDGE(ウェッジ)、SPA!、週刊東洋経済、BIGtomorrow、サンデー毎日の20誌。(同図書館に所蔵していない週刊大衆、週刊プレイボーイ、FLASH、週刊アサヒ芸能、FRIDAYダイナマイトは、調査対象から除いた)
調査対象の広告は、電力会社など原発業界による原発PRの全面広告とし、雑誌の発行期間は2010年4月1日付~2011年3月31日付までの1年間とした。
その結果、原発全面広告の多い順に集計したものが、以下の「原発広告『雑誌別』ワーストランキング」の表である。
順位 |
雑誌名 |
原発広告数(ページ数) |
|||
1位 |
潮 |
24 |
|||
2位 |
婦人公論 |
20 |
|||
3位 |
文藝春秋 |
12 |
|||
4位 |
WEDGE(ウェッジ) |
11 |
|||
4位 |
週刊新潮 |
11 |
|||
4位 |
週刊ダイヤモンド |
11 |
|||
7位 |
週刊東洋経済 |
9 |
|||
7位 |
プレジデント |
9 |
|||
9位 |
週刊現代 |
8 |
|||
10位 |
週刊朝日 |
6 |
|||
10位 |
週刊ポスト |
6 |
|||
12位 |
週刊文春 |
4 |
|||
13位 |
AERA(アエラ) |
2 |
|||
14位 |
サンデー毎日 |
1 |
|||
15位 |
女性セブン |
0 |
|||
15位 |
女性自身 |
0 |
|||
15位 |
週刊女性 |
0 |
|||
15位 |
SPA! |
0 |
|||
15位 |
BIG tomorrow |
0 |
|||
15位 |
FRIDAY |
0 |
|||
以下、順に見ていこう。
◇名産をダシに使う「潮」の卑劣な手口
ワースト1位は「潮」(うしお)。創価学会系の雑誌である同誌は、毎月必ず見開きカラーページで原発PR広告を掲載。広告主は電力10社による業界団体「電気事業連合会」(以下、電事連)である。
この広告はエッセイ風なのが特徴で、例えば、福島第一・第二原発の広告は、1年間で2回も掲載している。一つは画像トップの、「明日へ手渡すもの 三〇〇年を駆け抜ける土と人の、エネルギー」と題する広告。一見してわかりずらいが、実はこれ、福島県双葉郡浪江町の青ひびの陶芸品「大堀相馬焼」と絡めた「原発広告」である。
この広告は、陶芸品の説明が続いた後、いきなり、「伝統を未来に受け継いでゆく。エネルギーもまた、次の世代へ送りとどけるべき大切な財産です。ここ東京電力福島第一原子力発電所3号機では」…と続き、原発の位置を記した福島県の地図が載っている。
もう一つは「おらが町の味自慢 春を告げる小さな使者。福島名産、小女子です。」という記事広告。冒頭から、小女子(こうなご)の調理法や名前の由来の解説が続き、「小女子のお話をここ福島から産地直送でお届けしました」とし、そこから突如、「電気も作りたてを『産直』でお届けしています」と話が転換し、福島原発を宣伝し始める。
ほかにも、佐賀県にある、日本の棚田百選の一つ「浜野浦の棚田」と絡めて玄海原発を紹介したり、静岡県にある世界最長の木造歩道橋「蓬莱橋」と絡めて浜岡原発をPRしたりしている。その土地土地の名物を原発広告のダシにしているところが、悪質で卑劣な手口と言わざるを得ない。
ちなみに公明党の機関紙「公明新聞」によると、公明党は原発に積極的な政策をとり続けている。例えば、2010年11月17日付の同機関紙によると、都内の原発立地の市町村議会の集会に来賓として出席した公明党参院議員の谷合正明氏は、「原発の安全審査と原子力の平和利用に関する公明党の姿勢をマニフェスト(政策綱領)を通じて紹介し、『(原発は)安全の確保を大前提にした上で、地球温暖化対策や電力の安定供給の確保の観点から重要性が再認識されている』と強調」するなど、電力会社と見紛う主張・政策を繰り返している。
そもそも福島第一原発が悲劇を招いた責任の第一は、「安全神話」という詐欺的な虚構の裏で、原発の安全管理を怠り続けた自公政権下の政治のせいである。この政党にしてこの雑誌あり、といえそうだ。
◇「脳と原発は切っても切れない」婦人公論
ワースト2位は「婦人公論」。同誌は5月に紹介した婚活ジャーナリストの白河桃子や、お笑い芸人の清水圭以外にも、こんな原発広告を掲載していた。
それは画像2の広告。実はこれ、脳科学者の茂木健一郎氏と京大の山名元教授との対談である。そこで茂木氏は「人間の『脳』は、ある事象に関して知識がないと、恐怖が生まれる構造になっています。(略)原子力のしくみもリスクもわかっていれば怖くない。我々のような研究者の使命は、その論理や根拠を示していくことだと思います」といい、あたかも本当は原発は危険ではないかのように述べていた。
さらに茂木氏は2011年1月22日号の電事連による新春特別座談会でも、こう発言している。
「自分たちがおかれている状況を客観的に見れば、原子力発電の果たす役割が大きいこともわかると思います。確かに原子力にはリスクもありますが、リスクがゼロの暮らしなんてありえないでしょう。交通事故や飛行機事故、地震などの災害もあるし、小惑星がぶつかってくる可能性も…。僕たちはそういう世の中に生きているんですね」
再三にわたり原発事故のリスクを軽視するかのような発言を繰り返してきた茂木氏は、福島第一原発の事故について、一体どう思っているのか? その点を茂木氏に質問したのだが、残念なことに、返事は返ってこなかった。
さらに同誌は、エッセイストの岸本葉子氏の「青森で体感 見えないけれどつながっている、私たちの暮らしと放射線」と題する広告を掲載。岸本氏は、放射線測定器を持参して、縄文時代の「三内丸山遺跡」の竪穴住居や、テレビで紹介されている人気スポット「しじみラーメン」の店、六ヶ所村の原子燃料サイクル施設などを回った後、こういう言葉で締めくくっている。
「今回の旅では、放射線がどこにでもあることや、放射性物質を扱っている原子力施設が、周辺環境に放射線の影響を及ぼしていないことを確認することができました。(略)今度はぜひ、リサイクル燃料で発電している原子力発電所に行ってみたいと思いました。放射線測定器を片手に、ご当地グルメも楽しみながら(笑)」
◇原発漬け国家を礼讃「文藝春秋」
ワースト3位は月刊誌「文藝春秋」。同誌は「世界の電力マン ある日の自分史」という広告を連載し、韓国やロシアなどの〝原発漬け国家〟の原発従事者を紹介。
また、5月に掲載したように、「藤沢久美のギモンの視点」という原発広告もある。
ほかに「ふぐ刺し」の写真に「処理の仕方が確立されていれば、安心です」と銘打ち、その下に細かい字で、「ふぐの毒はしっかりとした技術で取り除かれています。原子力発電でも・・・・・・。
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東京新聞の社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011080702000057.html)。何もコメントを添える必要性を感じません。産経などと違って、当たり前だけれども、東京新聞はとてもとてもまともだ。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011080702000057.html】
核廃絶と脱原発 次世代に引き継ぐ責任
2011年8月7日
六十六年目の原爆忌を迎えた広島で、核廃絶と脱原発の訴えが共鳴した。ともに人類の存亡にかかわる目標だ。次の世代に引き継ぐ責任を自覚したい。
爆心地に近い平和記念公園で営まれた原爆死没者慰霊式・平和祈念式。首相のあいさつがこれほど注目された年もなかろう。原発事故を受け、菅直人首相が原子力政策にどう言及するのか、と。
首相は、核兵器廃絶と世界恒久平和に向けた決意に続き、「エネルギー政策についても白紙から見直しを進めている。原発への依存度を引き下げ、『原発に依存しない社会』を目指す」と述べた。
◆平和という「救い」
首相が原爆忌にあたり、脱原発依存に言及するのは、これまでの例から言えば確かに異例だろう。
核兵器は「悪」で、核の平和利用は「善」という構図が、唯一の被爆国・日本でも広く受け入れられてきたからだ。
広島市立大学広島平和研究所の田中利幸教授によると、核の平和利用は当初、被爆者の間でも受け入れられてきた、という。
一九五五年に開かれた第一回原水爆禁止世界大会の広島アピールでは「原子戦争を企てる力を打ちくだき、その原子力を人類の幸福と繁栄のために用いなければならないとの決意を新たにしました」とうたわれている。
核が平和利用されれば、人々の生活を豊かにでき、何より軍事利用の道を閉ざせるかもしれない。被爆者にとっては、それが「救い」になったのだろう。
しかし、本をただせば同じ核燃料と技術である。これまで分けていたことが異常だったのかもしれない。そのことは安全神話がまかり通っていた原発が事故を起こし、思い知らされることになる。
田中氏は言う。「核と原発はつながっているが、背中合わせだからお互いが見えなかった」と。
◆米国核戦略の一環
核の平和利用自体、米国の核戦略の一環だったことが、近年の研究で明らかになりつつある。
米国が平和利用を打ち出したのは五三年十二月、アイゼンハワー大統領の国連演説「Atoms for Peace(平和のための原子力)」だ。
この年の八月、当時のソ連が水爆と思われる核実験を行うなど核開発競争は熾烈(しれつ)を極め、米ソ間で核戦争が勃発するのではないかという不安が急激に高まっていた。
大統領演説からは、ソ連を牽制(けんせい)すると同時に、西側の非核武装国には原子力発電をはじめとする非軍事技術を提供し、自陣に留め置こうという意図がうかがえる。
日本、特に広島は平和利用宣伝のターゲットにされた。五六年の「原子力平和利用博覧会」、五八年の「広島復興大博覧会」では、平和記念資料館に米国の協力で原子炉模型などが展示され、多くの入場者でにぎわったという。
米国にとって被爆地のお墨付きを得ることは「平和のための原子力」を成功に導き、核戦略で優位に立つための必要条件だった。
米国の核政策はともかく、原子力は安価で、小資源国の日本には欠かせないという意見もある。
しかし、福島での原発事故を見れば、とても安価とは言えない。事故収束や補償の費用は優良企業とされた東京電力の存立すら危うくするほど膨大だ。そもそも核燃料サイクルは未完の技術であり、使用済み核燃料はたまる一方だ。
原爆忌での「脱原発依存」宣言は、むしろ遅きに失したのかもしれない。政権延命意図の有無にかかわらず、目指す方向性は支持する。
とはいえ、田中氏は「脱原発に向かってのビジョンがつくれていないのが問題だ」と指摘する。
政府のエネルギー・環境会議がまとめた中間整理案では、首相の脱原発方針は「原発への依存度の低減に関する国民的議論を踏まえた対応」にトーンダウンした。
原発を推進してきた経済産業省の人事は、次官以下、責任をとらせる「更迭」のはずが通常の順送り人事にとどまった。いずれも官僚の抵抗を、首相がはねつけられなかった結果だ。
世論調査では、首相の脱原発方針を支持する意見は70%に達しているが、内閣支持率は20%前後にとどまる。国民が脱原発を支持しながらも、首相の指導力の欠如を見透かしているからだろう。
◆核とは共存できぬ
自らも被爆し、核兵器廃絶と被爆者援護に半生をささげた故森滝市郎・広島大名誉教授は「核と人類は共存できない」と語った。
核廃絶と脱原発。ともに実現の道は険しいが、今の世代で無理ならば、次世代に引き継いででも成し遂げねばならない目標だ。
菅首相の責務は、脱原発依存方針を閣議で正式決定し、次の政権にも引き継ぐことだろう。政治生命を賭す価値は十分ある。
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福島みずほ(福島瑞穂)さんのWP(http://mizuhofukushima.blog83.fc2.com/、8月9日)の記事。
〝熊取6人組〟のお一人、小林圭二さんとの対談。もんじゅの危険性や無意味さについての警告。対談に出てくる驚くべき経費の側面からも、もんじゅなど即刻止めるべきだし、それは核燃サイクルの終結を意味し、発電システムとしての原子力利用の無意味さに行きつくはずだ。
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【http://mizuhofukushima.blog83.fc2.com/】
小林圭二対談録「高速増殖炉もんじゅを廃炉に!」概要(8月4日)
2011 / 08 / 09 ( Tue )
福島
こんにちは。今日は小林圭二さんに来ていただきました。小林さんは、もと京都大学原子炉実験所講師でいらっしゃいます。原子炉の専門家でいらっしゃるのですが、きょうはとりわけもんじゅについてお聞きしたいと思っています。高速増殖炉もんじゅ、大変危険だといわれておりますが、もんじゅの危険性について話していただけますか。
小林
もんじゅの危険性は大きく分けて4つあります。一般の方が一番よくごぞんじなのはナトリウムの危険性というかたちで皆さんあたまにあると思うんですが、本当に一番危ないのは炉の性質そのものにあるというのがもんじゅの特徴です。
そこから申しますと、一口に言って、もんじゅは非常に暴走しやすい性質を持っているということです。たとえば軽水炉だと事故が起こって出力が上がり、炉の温度が上がりだしますと、それに伴って核分裂連鎖反応、これは炉の中で原子力がエネルギーを出している反応ですが、この反応が抑えられる方向に自然に働くんですね。そこが軽水炉の一つの特徴なのですが、それに対してもんじゅの場合は、温度が上がって特にナトリウムが沸騰しますと今言った核分裂の連鎖反応がかえって盛んになる。
これはみなさんご記憶があると思うんですが、1986年、ソビエトのチェルノブイリで原発事故が起こりました。これはいわば核爆発事故だったわけですが、これがチェルノブイリがあの低出力で運転しているという条件下では、出力が上がって泡が増えると暴走するという性質を持っていたからなんです。
チェルノブイリの場合はそういう特殊な条件の下にこの性質を持つわけですが、もんじゅの場合は条件にかかわりなく、ナトリウムが液体から沸騰して泡、気体になりますと暴走しやすいという性質がある、それが一つ。
それから暴走しやすい性質、もう一つありまして、今回福島でメルトダウンという言葉がよく使われましたが、あれは炉の中にある燃料が溶けて、溶けた塊が合体して液体になり、溶かしながら下へ落ちていくという現象だったわけですが、こういうことが起こりますと軽水炉の場合は、核分裂の連鎖反応が盛んになる方向に行くとは限らず、むしろ衰える方向に行くんですが、もんじゅの場合は核分裂の連鎖反応が盛んになるわけですね。
ですから、もしもんじゅで今回の福島のような事故が起こったら、福島の場合は溶けた燃料が放射能の一部を外へ出して汚染させるという形でつながっていくんですが、もんじゅの場合は、実はそこが新たな事故の発展のスタートになるんですね。つまり、暴走する、さらにたくさんの放射性物質を作り出して、そしてそれを爆発的な反応によって外へばらまくという、こういう状況が生まれるわけです。こういう、まず炉の性質そのものが根本から危険だということですね。
それから2つ目はナトリウムの危険性ですね。なぜもんじゅは冷却材にナトリウムを使うかというと、もんじゅはプルトニウムを燃料にする原発、その試験炉として開発されたものですが、プルトニウムは天然にないものですから、これを燃料とする原発はあくまでもプルトニウムを人工的に作りながら動いていかなければならないわけですね。そうしますと当然のことながら、天然にないものですから、消費量よりも生まれるプルトニウムの方が少なかったら、こんな原発は存在し得ないわけです。軽水炉が燃料を濃縮ウランにするのはまさに天然ウランが存在するから成り立つわけですが、天然に存在しないプルトニウムの場合は、人工的に作るということがそういうものを燃料にする最大の条件なわけですね。そのためには軽水炉のように核分裂の連鎖反応を起こす中性子のスピードを遅くして燃えやすくしてから動くような仕組みでは、新たな燃料は消費量のほぼ半分くらいしかできませんからこれは成立しない。
ですから、消費量よりも生産量が増えるように工夫されたのがもんじゅのような高速増殖炉で、高速という意味はまさに中性子が速いスピードでウランなりプルトニウムなりに当たって核分裂を起こすという、中性子のスピードの速さのことを言っているわけですね。決してプルトニウムが高速で生まれるわけではないです。で、増殖というのは、消費量よりも新たに生まれるプルトニウムの方が多いという、それによってはじめてこういう原発が成立するわけですね。そのためには軽水炉のように冷却剤として水を使えないわけです。水を使いますと中性子のスピードが遅くなってしまいます。それでいろいろな冷却剤を探したわけですが、長年の経験からナトリウムが現在、唯一残ったという状況です。しかし、そのナトリウムは非常に危険な物質で、水に触れると爆発的に反応しますし、運転中のような比較的温度の高い状態で空気に触れると火がついて燃える。
これが1995年に起こったもんじゅの事故ですね。冷却剤ですから大量に使います。もんじゅでも、一次系、二次系合わせて合計1600トンのナトリウムを使います。軽水炉で水漏れなどしょっちゅうありますように、高速増殖炉でも大量に使うナトリウムがどこかで漏れるというのはかなり頻繁に起こるわけです。そのたびごとにナトリウムに火がついて火災になったり、大変な思いをしてきたわけですが、これまで世界で139件ものナトリウムの火災事故が起こっているんですね。高速増殖炉は何基あったかというとせいぜい20基くらいなんですね。
この139件の中にはアメリカが含まれていません。アメリカはもうとっくに高速増殖炉をやめましたので、統計データがないんです。アメリカを除いた各国のナトリウム漏洩火災事故が139件で、だいたい一つの炉で10件以上起こしているという勘定になります。それほど頻繁に起こる事故で、しかも厄介な事故で、こんなものが将来実用炉になるとはとうてい思えないですね。
ナトリウムの危険性はまだいっぱいあります。例えばこれは水に比べて熱しやすくさめやすいという性質があります。そうするとどういうことが起こるかというと、原発はたびたび緊急停止することがあります。軽水炉の場合、緊急停止すると冷却剤の水はすぐには冷えない。これは水のいい点でして、原子炉の発熱は100%から一挙に7%まで減るわけですが、水は一挙に下がるわけじゃない、ゆっくりゆっくり下がっていくんですね。これは材料に対して非常にやさしいわけですね。ところがナトリウムは水のような性質を持っていないために、緊急停止しますと炉の発熱が急激に減るのと同時にナトリウムの温度が急激に下がります。すると材料に急激な温度変化が与えられるわけですね。もしこのとき、材料、例えば配管の材料などが比較的厚いものでできていれば、ナトリウムの流れている内側が急激に冷やされるわけです。それに対して、ナトリウムが直接触れていない外側は今まで温められていましたから伸びています。中は急に冷えて縮む、そうすると肉厚の配管の内側と外側で非常に強い引っ張り合いが起こる。これをストレスと言いますが、このときに配管の表面に傷があったりしますと、それをきっかけに配管が一挙に、まるでガラスが割れるように割れてしまうという、熱衝撃の現象が起こります。
こういう事故が起こるわけですから、もんじゅのようなナトリウムを使う高速増殖炉の場合ですと、それを防ぐ為に、内側が急に冷えてもすぐ外側にまで温度変化が伝わるように、配管の厚さを非常に薄くしなくちゃいけない。配管だけでなく、機器類も全部薄く作られます。それによってガラスみたいに破裂する大変な事故を防ぐ仕組みにしているわけです。
ところがこれは地震に対して非常に弱いわけです。その意味で3つ目の危険性として、地震に対して弱い、本質的に弱い構造になっているということがあります。
4つ目にはプルトニウムを材料としますから、プルトニウムの取り扱いにかかわる危険性ですね。プルトニウムはアルファ線という、内部被曝をした場合に最も被害の大きい物質でして、これを呼吸と一緒に吸い込みますと微量でも肺がんを発生させるという物質ですので、取扱いは非常に被曝の被害を生みます。以上の4つを、高速増殖炉もんじゅは危険性として持っています。
福島
高速増殖炉もんじゅがそれだけ危険性を持っていて、また、福島事故のように地震津波の問題もあると。福井県に高速増殖炉もんじゅがあるので、万万が一もんじゅに大きな事故があった場合には滋賀県などもごく近くですから、琵琶湖の水がめがどうなるかという声も聞きますよね。
小林
おっしゃる通りでこれはもんじゅに限らないんですけれども、福井県の沿岸に合計14基の原発があります。このうち1基でも大事故を起こしますと、大量の放射性物質を放出して、特に冬場などは風向きで放射性物質は琵琶湖に直接やってくるという危険性が非常に高いわけですね。この点は私たちも前から訴えてきて、琵琶湖は近畿の水がめですから数百万の人の命の水です。これが汚染されますと、数百万人分の飲料水が絶たれるという事態になりますので、事故は非常に懸念されます。こういった事態を起こしうる可能性が最も高いのが、なかでもとりわけもんじゅであるということが言えます。
福島
裁判でもナトリウム火災事故が起きるという指摘があったら、案の定というか、残念ながらナトリウム火災事故が起きた。で、14年半全く動かずに、最近動かし始めたら、今度は原子炉の中で落下事故が起きて、最近ようやく引き上げましたけれど、ナトリウムが入っているので、じゃあ中の原子炉が本当にどうなっているか、見ることすら実はできないんですよね。
小林
その通りです。ナトリウムの欠陥の一つとして、透き通らない、不透明ということがあります。これが高速増殖炉もんじゅの運転や維持管理に大変厄介な問題として横たわっています。ですからもし原子炉の中で何かちょっと傷がついたとか、比較的小さなトラブルであっても直接見ることができないわけですからその調査は大変ですし、調査の後の手直しにも大変な時間と手間がかかりますから、トラブルそのものは小さくてもそれ一つで年を超える停止期間が必要になってきます。
しょっちゅう長期間止まるようなものが商業炉として成立するのかという大きな問題が生まれてきているわけですね。そういう問題を、今度のもんじゅの炉内中継装置の落下事故、その調査と後始末の一連の事態が示したと思っています。
福島
14年半動かなかったということでもすごいですし、それからもんじゅは今までいわゆる定量ワット数すら出していないと言われていますね。
小林
一度もまだ定格運転を実現していません。私自身も、この状態だともんじゅは一度も定格運転の状態に達しないまま廃炉になる運命にあるんじゃないかと思いますね。ですから、もんじゅを推進した人たちはそれだけはなんとしても避けたいと思って、必要性などは二の次にして、なんとしても動かそうと躍起になっている、必死になっているというのが現状だと思います。
福島
人件費などを除いて約1兆円お金をつぎ込んできたと。14年半動かなくて動かしたら今度落下事故が起きた。にもかかわらず、動かない時も今も、一日に5千5百万円税金がつぎ込まれていると。これは膨大なムダで、事業仕分けの時も財務省などはこういうムダはメスを入れるべきだという考え方だったんですよね。
小林
全く正当なごく当たり前の見方で、当然仕分けの対象となり、そこで仕分けした結果として廃炉にいくというのが成り行きだと思っていました。現実に公開された仕分け作業そのものでも、あそこに出てこられた委員の方たちは過半数が見直しを求めたにもかかわらず、もんじゅは1回目の仕分けでは満額を獲得していますし、2回目もわずかに1割削られただけという状態で相変わらず続けられようとしているということは非常に問題ですし、もう一つ言えることは、推進側にとってももんじゅはもう意味のないものになっているということです。
どういうことかというと、もんじゅはできたのですが、これは建設費が非常に高くて、単位出力あたりの値段で比べると軽水炉の5倍かかっているんですね。この状態だと実用にならないということがはっきりしまして、もんじゅのシステムをもっと簡単なものにして、経済的に成り立つものを新たに考えなくちゃならないということになりました。
そこで現在推進サイドで描かれている実用化像というのは、今のもんじゅとまるで違う、新規のこれから実証していかなくてはならない新しい技術をたくさん盛り込んだ簡潔なものになっています。もちろんこの裏には安全性を犠牲にして、もんじゅの場合まだ持っていた安全レベルをおおいに削って簡略化したところがあるわけですけれども。そうして描いた像がもうもんじゅとは似ても似つかないものになっているわけです。
そもそももんじゅは原型炉と言って、実用化の二段階前の試験用の研究炉なんですが、原型炉とは、実用炉に似せて発電設備なども全部そろえたひな型を作り、そこ実用炉のデザインの工学的な実証をやる、工学的に成り立つことを示すのが目的です。ところがもんじゅの場合は新たに焼きなおされた実用炉は現状と変わってしまっているわけですから、いまや実用炉の工学的実証をはかる手段としては役に立たなくなっている。ですから推進する立場に立ってももんじゅは動かす意味の全くないものに成り果てたというのが今の状況です。
福島
高速増殖炉もんじゅがもう動かないということになれば、高速増殖炉でプルトニウムを使うんだということで再処理、核燃料サイクルと言っていたのも意味がなくなりますね。
小林
全くその通りです。六カ所の再処理工場が作られましてまだ試験中で、設計のまずさから止まった状態ですが、あの再処理工場自身が、そもそも高速増殖炉用のプルトニウムを取り出すことを目的に作られたもので、高速増殖炉をやらないのであれば全くいらないわけですね。再処理工場の巨額な建設費も巨額な運転費もいらないわけです。
もんじゅがいらなくなった、実証炉も展望はない、こういう状況において再処理だけがなぜ必要なのか、きわめていびつな感じで、それを核燃料サイクルと言っているのは全く違うんだということですね。核燃料サイクルというのはプルトニウムを利用するためのサイクルであって、プルトニウムを利用するということは高速増殖炉でプルトニウムを作りながら燃やすということですから、それが破綻している限り、核燃料サイクルは全く必要のない、意味のないものだというのは当然のことです。
福島
高速増殖炉も六ヶ所も自らコケてしまった。で、高速増殖炉は誰が考えても廃炉にすべき、だとしたら必然的に核燃料サイクルもいらないわけですね。
私は先日たまたま、旧動燃、もんじゅをやっているところで働いていた研究者の人と話をする機会があったのですが、彼らも端的に、もんじゅは事故が起きても冷却できないんですよ、と言うんですよ。たしかに水をぶっかけるわけにもいかないし、福島のような事故がもんじゅに起きたら処置なしと見えます。どうでしょうか。
小林
その通りで、福島級の事故がもんじゅで起こったら完全にお手上げです。福島の場合は、一口に言うと、これで防げると言っていた安全装置が全部だめになっているんですからね。もんじゅで、これで防げるといっていた安全装置が全部だめになるということを考えたら福島原発どころの被害ではないわけですね。その大きな違いは炉の性質そのものの違いにあるわけです。
福島原発の事故のなり方は比較的緩やかで、溶けた燃料が他の構造材を溶かし、圧力容器を溶かし、格納容器を溶かし、ということが時間をかけて進展する、その一部が水素爆発のときであったり、ベント(排気)で空気中に出て、それがこれだけ東北・関東一円を汚染したわけですから、それに比べて、そして現状の福島原発の場合は、私の推定ではおそらく90%以上の放射性物質があの施設の中にあって、放出されたのは10%以下かもっと少ないと思うんです。
それでもこれだけの被害が出るんですね。原発の被害の大きさを何で測るかというと、中にあった死の灰がいったいい何パーセント外へ出されたかで決まるわけで、その外へ出すメカニズム、どういう形で外へ出されるかで決定的に違ってくるわけです。それがもんじゅで起こった場合には、これは核爆発の形で起こるわけですから、外へ出される核分裂生成物、死の灰の量は福島の比ではない、桁違いに多くなるおそれがあります。それを考えてももんじゅは絶対に動かしちゃいけないというものだと考えます。
福島
もんじゅを廃炉にということで、実は今日も国会、議員会館で集会をやり、財務省、文科省、機構とそれぞれ行政とも交渉をしました。危険で、お金もムダ、こんなもんじゅを廃炉にしていくように皆さんと一緒に力を合わせたいと思います。
今日はどうもありがとうございます。
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asahi.comに出ていた記事(http://www.asahi.com/culture/update/0816/TKY201108160162.html)。
皇軍兵士として戦場で地獄を見た水木しげるさんが描いた原発ジプシーと云う地獄。堀江邦夫さんとこのような接点があるなんて、全く知りませんでした。驚きです。イラスト原図は、この記事を直接見てみてください。
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【http://www.asahi.com/culture/update/0816/TKY201108160162.html】
2011年8月16日19時51分
水木しげるさん描く福島原発 32年前のイラスト出版へ
妖怪マンガで知られるマンガ家の水木しげるさんが32年前、福島第一原発を描いていた。当時、雑誌「アサヒグラフ」に書き下ろしたイラストで、作業員の過酷な労働や、ずさんな管理態勢を迫力ある筆致で表現している。「福島原発の闇」(朝日新聞出版)として初めて単行本化、19日発売される。
イラストは、米スリーマイル島事故が起こった1979年の同誌10月26日号、11月2日号に「パイプの森の放浪者」の題名で掲載された。下請け労働者として原発に潜入し、ルポ「原発ジプシー」を著した堀江邦夫さんが文章を書き、水木さんが絵をつけた。
絵を描く前に水木さんは堀江さんと共に、福島原発の近くまで赴き、外観を見学。堀江さんの話などをもとにイメージをふくらませた。重装備でタンクのヘドロをくみ出す労働者の姿や、タービン建屋に巡らされた配管など、綿密な書き込みで、現場の緊張感や重苦しい雰囲気を伝える。
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東京新聞から二つ(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011081601000980.html、http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011081790070009.html)。
第一の突破口がやらせメール事件などのごたごたで潰れたにもかかわらず、第二の突破口がやすやすとこじ開けられてしまった。原子力安全・保安院と原子力安全委員会による〝二重チェック〟は評価できる、なんてお笑い草もいいところだ! (以前ご紹介したWeb Iwakamiの北海道電力泊原発3号機の〝運転〟再開反対に関連した映像(http://iwakamiyasumi.com/archives/11825)を参照。) 電力会社や知事を含めた出来レースそのもので、まさにヤラセである。
次は〝営業運転再開〟だけでなく、再稼働・建設再開・新規建設などが粛々と進められてしまうのだろうか。そこまでFUKUSIMAから何も学ばない人たちなのか。要は、金さえ儲かればよい、金で何でも解決できる、と云う訳か。札束で頬を打つというか、甘い汁というか、まさに麻薬だ。
「道知事の「地元軽視」、微妙な発言だ・・・」と思っていたが、「地元4町村」のことしか考えていなかった訳で、汚染事故は「地元4町村」内の原発推進者にのみ影響が及ぼされるとでも言いたげだ。知事は「検査終了証の交付に先立ち、高橋知事は会見で営業運転再開について「異議はない」と容認を表明。「国には、安全対策に万全を期し、丁寧に対応するよう強く求める」と指摘した」そうだ(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011081701000728.html)。この指摘は、逆に言うと、これまでずっと国や電力会社はさんざん絶対安全だと喧伝してきたにもかかわらず、「国は、安全対策に万全を期してなく、丁寧に対応してこなかった」という嫌味なのか。
道知事をはじめ、泊原発の営業運転再開を支持する人たちは、福島第一原発人災で放射能の影響を受けた様々な人たちにどのように説明するつもりか?
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【http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011081601000980.html】
道知事が泊原発3号機再開を容認 営業運転は震災後初
2011年8月17日 01時58分
北海道の高橋はるみ知事は16日夜の道議会特別委員会で、定期検査で調整運転中の北海道電力泊原発3号機(泊村)の営業運転再開に向けた政府対応を評価し、事実上再開を容認した。知事は、最終検査に経済産業省原子力安全・保安院だけでなく、原子力安全委員会を関与させた政府対応に関し「二重チェックは評価できる」と述べた。特別委の審議や地元4町村などの意見を踏まえ、海江田万里経産相に17日にも再開容認の意向を正式に伝える方針。
特別委は同日夕から約6時間半にわたって休憩。午後10時半ごろ、高橋知事が出席して再開された。知事の答弁内容の調整などに手間取ったとみられる。
(共同)
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【http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011081790070009.html】
交付金で原発後押し レベル7翌日「新設は増額」
2011年8月17日 07時01分
原子力関係予算を握る経済産業省と文部科学省が福島第一原発事故の一カ月後、原発の立地自治体などに交付金を支給する規則を全面改正し、新増設時の交付額を増やす一方、既設の原発では発電実績に応じて交付額を決める方式に変更していたことが分かった。事故収束に向けた見通しが立たず、原因究明もままならない時期に、新増設や運転を後押しする改正をしていたことになる。
改正したのは「電源立地地域対策交付金」の交付規則。四月十三日に改正され、海江田万里経産相と高木義明文科相の連名で、同日付の官報に告示した。経産省原子力安全・保安院が福島第一原発事故の国際評価尺度を、旧ソ連チェルノブイリ原発事故と同じレベル7に引き上げた翌日のことだった。
改正規則では、原発を新設したり増設したりする際の交付金の単価を増額。発電能力(出力)百三十五万キロワットの原発を新設する場合だと、運転開始までの十年間に立地自治体へ支給する額は、四百四十九億円から四百八十一億円に三十二億円上積みした。
一方、既設の原発では、発電実績を重視する仕組みに変わった。
立地外の都道府県に電力を供給した際に交付する「電力移出県等交付金相当部分」は、たとえ発電量がゼロでも、原発の規模に応じた交付金が支払われてきた。二年間の経過措置はあるものの、今後は発電量だけが基準になる。
運転開始の翌年から運転終了まで長期間にわたり支給する「長期発展対策交付金相当部分」や、使用済み核燃料再処理工場などの地元に交付する「核燃料サイクル施設交付金相当部分」も、発電量や稼働実績を重視して交付する。
新増設に反対する市民団体からは実績主義への変更によって運転を停止すると交付金が減るため、地元自治体が停止を求めにくくなると指摘が出ている。
資源エネルギー庁は今回の規則改正を記者発表せず、官報に告示しただけだった。説明用の冊子も二〇〇四年二月に規則を制定した際には、表紙に「大改正後の新たな交付金制度」と記し、「新たに地域活性化事業が交付対象事業に追加」などと、これまでの制度との違いが分かるようになっていた。だが、今回は新制度の内容しかなく、どこを変更したのか前の冊子と比べないと分からない。
同庁電源地域整備室は「昨年六月にエネルギー基本計画が閣議決定され、これに基づき改正したが、地元からの要望もあった」と説明。官報の告示時期には「特段大きな意味はない」としている。
<エネルギー基本計画> 2002年に制定されたエネルギー政策基本法に基づき、エネルギーの需給に関する長期的、総合的な施策を進めるために政府が策定する。昨年6月に菅直人内閣が閣議決定した基本計画では、原子力について「安全の確保を大前提として、国民の理解と信頼を得つつ、新増設の推進、設備利用率の向上」などを図るとしている。30年までに14基以上の新増設を行う目標を掲げている。
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東京新聞(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011081501000808.html)とasahi.com(http://www.asahi.com/politics/update/0815/TKY201108150296.html)より。
地球環境問題としても、政治的にも地獄への道。北海道知事も経産相も、民主党も一体何を考えているのか、さっぱり分かりません。地獄への突破口がこじ開けられようとしています。財界や政界、電力会社、米国首脳らの高笑いが聞こえてくる。
なんとか泊原発の再開を阻止できないものか、自民党政治への回帰を阻止できないか?
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【http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011081501000808.html】
泊3号機営業運転容認16日表明 北海道知事
2011年8月15日 23時01分
北海道の高橋はるみ知事は15日、定期検査で調整運転中の北海道電力 泊原発3号機(泊村)の営業運転再開を認める考えを、16日に表明する方針を固めた。同日午後に開かれる道議会での審議や地元4町村などの意見を踏まえ海江田経済産業相に意向を伝える。
海江田経産相はこれを受け一両日中に検査終了証を北電に交付し3号機は営業運転に移行する。定期検査中の原発の営業運転入りは福島原発事故後初めて。
知事は、道議会で16日開かれる特別委員会を経て最終判断。4町村にも伝えた上で、同日夜に正式表明する見通し。ただ表明時間次第では、終了証交付と再開は17日にずれ込む可能性もある。
(共同)
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【http://www.asahi.com/politics/update/0815/TKY201108150296.html】
2011年8月15日23時34分
「自民とタッグ、政権交代の意味なくす」 福島社民党首
「『政権交代』と言った政党が、自民党と組むことは政権交代の意味をなくす。政治が、自民党と、自民党の亜種で行われる構図になってしまう」。社民党の福島瑞穂党首は15日、民主党代表選で先行する野田佳彦財務相が自公両党との大連立構想を打ち出したことに、かつての連立パートナーとして苦言を呈した。
福島氏は「約2年前に政権交代が起きた。社民党も連立3党合意を作り、自民党政権ではない、政官癒着をやめて生活再建の政治を作ろうとスタートした」と強調。大連立構想について「歴史を巻き戻して政権交代をチャラにするような動きだ」と痛烈に批判した。
さらに「大連立、大増税、原発推進。こういうことを起こさないよう大きな声を出していかなければならない」と「野田路線」を牽制(けんせい)した。
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CMLの記事(http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-August/011203.html)、泊原発の運転再開に関する反対行動の記事を読んで、山本太郎氏を見直しました。元記事は、日刊スポーツ。
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【http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20110816-820883.html】
山本太郎弾丸移動!今度は北海道
俳優山本太郎(36)が15日朝、インドネシアのジャカルタから帰国後、その足で午後に北海道寿都郡黒松内(くろまつない)町役場をアポなしで電撃訪問した。自身のツイッターで、若見雅明町長との面会が目的だとつぶやき30分間会談した後、近隣の蘭越町、ニセコ町を相次いで訪問し町長、副町長と会談。その後、3号機が調整運転中の北海道電力泊原発がある泊村に入り、目前となった3号機の営業運転再開に対しツイッターで痛烈に批判した。
山本は7月末にロケのためパプアニューギニア経由でジャカルタに入り、14日夜に空港で会った海江田万里経済産業相に、原発の再稼働をやめるよう訴えた。約11時間後の15日午前に成田空港に帰国し「さて国内移動♪」と明かした移動先は、なんと北海道だった。午後3時に「黒松内町役場へアポ無し訪問。原子力からのうまみが一銭も入らぬこの町は原発から32km。町長さん、いらっしゃるのか!?」とつぶやいた。
同町役場職員によると、山本は名前も名乗らず「町長さんと面談したいです」と要求し、所用で役場にいた町長と30分程度話して帰ったという。山本は同6時50分に「黒松内町長、副町長、話をよく聞いて下さった。フットワーク軽く、道議の方にも連絡」と道議会議員に働きかけたことを示唆。その後蘭越町の宮谷内留雄町長と面会し、「沢山の資料を見せて下さった。『人間として逃げずに向き合う時に来ている』と町長」と会談内容を公表した。
さらにニセコ町役場を訪問し、周辺自治体の寄り合いにも顔を出した。「聞いた話に驚いた。今まで反対してきた首長が、ある会合の多数決で推進に寝返ったと。もちろん交付金をもらってる4町村以外の者がである。甘い汁を吸い続けたい者は必死に買収を試みたり、脅したり、とにかく、元気いっぱいの様です(笑い)」と“暴露”した。
山本が半日程度で移動したとみられる距離は、ジャカルタから成田まで約5811キロ、成田空港から新千歳空港まで約822キロ、新千歳空港から黒松内町まで約160キロ、黒松内町から蘭越町、ニセコ町を経て泊村まで約60キロの、合計6853キロ。無謀ともいえる“弾丸ツアー”の背景には、経産省原子力安全・保安院が安全上問題ないと判断し、泊原発3号機の営業運転再開が迫っていることへの危機感があるようだ。
原発10キロ圏内4町村が交付金に加え、道や北海道電力から原発関連情報の提供を受ける一方、約30キロしか離れていない黒松内町、蘭越町、ニセコ町は情報の提供すらなく強い不満を訴えている。山本は「暮らし、未来をめちゃ苦茶に破壊、毎日気前良く、半永久的に続く毒を撒き散らし、収束させる術さえ持ち合わせぬ原発事故から何を学んだのだろう? もっと本気で怒らなきゃ、声にしなきゃ終わるな。地震の活動期にノンビリしすぎ! 、と泊で反省なう」と訴えた。
◆泊原発の現状 泊原発3号機は1月から定期検査を行い、3月7日に調整運転に入り4月上旬に検査終了、営業運転へと移行するはずだった。ただ3月11日に東日本大震災が発生し、最終検査をしないまま約5カ月も調整運転を続けてきた。北海道の高橋知事は、原子力安全・保安院が9日に北海道電力に対し最終検査を受けるよう指導したことに対し、地方軽視だと反発した。ただ10日の最終検査終了後、原子力安全・保安院が内閣府原子力安全委員会に結果を報告したことを評価し、営業運転再開に前向きな姿勢に転じている。
[2011年8月16日8時37分 紙面から]
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これもCMLの記事(http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-August/011206.html)を読んで気づきました。北大教授らによる緊急声明(http://www.asahi.com/special/10005/TKY201108150248.html)です。条件付き再開が前提とも読める記事で、問題点が多いとは思います・・・、前記の山本氏の「原発事故から何を学んだのだろう?」と同様に、最後の一文「東日本大震災から何も学んでいない」には賛成。
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【http://www.asahi.com/special/10005/TKY201108150248.html】
2011年8月15日19時27分
「泊原発の営業運転前に安全策を」 北大教授ら緊急声明
定期検査の調整運転を5カ月以上続け、近く営業運転に移行する見通しの北海道電力泊原発3号機をめぐり、北大大学院の吉田文和教授(環境経済学)ら北海道内の大学教授など50人が15日、「無条件での営業運転開始は容認できない」とする緊急声明を出した。
声明では、同原発が1993年の北海道南西沖地震で津波の引き潮の影響を受けたとされることや、沖合に北電が認めない海底活断層の存在が指摘されていることを挙げ、営業運転再開前に「第三者機関による調査、検証がぜひ必要だ」とした。
また、東京電力福島第一原発事故を受けて北電がまとめた安全対策は「2~4年をめどとした緊張感に欠けた対策」とし、「道は前倒しを要求すべきだ」と訴えた。
北電が安全確保に関する協定の対象を道と10キロ圏の地元4町村に限っていることにも、80~100キロ圏を視野に入れた避難計画を作成するのが必要、とした。
北海道庁で会見した吉田教授は「従来通りの形式的な最終検査を元に営業運転への移行を認めるならば、東日本大震災から何も学んでいない、といえる」と話した。
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東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011081201000689.html)。
行政府で原発推進派と規制派を分離することは重要であろう。が、今回の原子力安全庁の設置案は本当にその分離となっているのか?
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【http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011081201000689.html】
「原子力安全庁」は環境省外局 関係閣僚会議で方針決定
2011年8月12日 17時23分
政府は12日、原子力の安全規制を担う行政組織再編に関する関係閣僚会議を官邸で開き、経済産業省 原子力安全・保安院と内閣府原子力安全委員会を統合して新設する「原子力安全庁」を環境省の外局とする方針を決めた。15日の閣議で正式決定する。政府は今月中にも準備室を立ち上げ、来年の通常国会に関連法案を提出、4月の発足を目指す。
菅首相は会合で「原子力安全規制に関する業務を一元化する重要な決定だ」と強調、経産省からの独立性を重視した判断だと説明した。
(共同)
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gendai.netの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/131980)。要するに環境省はアル=ゴア氏の〝不都合な真実〟派、つまり、原発推進派ではないのか?
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【http://gendai.net/articles/view/syakai/131980】
バカじゃなかろうか、細野原発大臣 経産省・東電高笑い
2011年8月9日 掲載
保安院分離→「環境省外局」プラン
<「なぜ内閣から切り離さないのか」と行政学の権威>
菅政権が来年4月の発足を目指す新たな原子力規制機関「原子力安全庁」構想。やらせ連発の原子力安全・保安院を原発推進を担う経産省から分離・独立させるのは当然だが、新機関の置き場所で政権内がモメている。細野豪志原発担当相(39)は「環境省の外局」にこだわっているが、愚の骨頂である。
新たな規制機関の設立は、原子力の「規制」と「推進」を分離させるのが最大の狙い。ところが、環境省はこれまで地球温暖化対策の観点から、原発推進の旗振り役を演じてきた。京都議定書の制定を受け、98年にまとめた「地球温暖化対策推進大綱」には堂々と「原子力の推進」を掲げ、こう強調していた。
〈引き続き増加するエネルギー需要を満たしつつ、わが国の(CO2)削減目標を達成するためには、原発の新増設が不可欠〉〈国民の一人一人が原子力を含むエネルギー問題について理解を深める教育を推進する〉
新機関を環境省に移しても、原発行政の「アクセル役とブレーキ役の同居」という矛盾は引き継がれるのだ。
原発行政をめぐっては、経産省と過去50年間で68人の天下りを受け入れてきた電力各社との癒着構造も大問題だ。環境省だって天下りゼロの清廉潔白な組織ではない。傘下の公益法人のうち、16法人・24ポストに過去3代以上連続してOBが天下っている。
「しかも、環境省の官僚は経産官僚以上に原子力の知識に疎い。
環境省が電力会社の言いなりとなり、天下りを通じて
取り込まれるのは目に見えています」(電力業界ベテラン記者)
新機関は職員500~600人の体制を想定している。環境省内に専門スタッフがいなければ、経産省から切り離しても人材は「経産省頼み」。細野大臣は新機関の幹部が経産省に戻ることを禁じる「ノーリターンルール」の導入を検討しているが、人的つながりを分断できるとは思えない。行政学の権威である前千葉大教授の新藤宗幸氏は「なぜ、新機関を内閣の管轄から切り離す議論が出てこないのか」とこう言う。
「新たな規制機関で最重視すべきは、いかに政府から独立し、
専門性を兼ねた組織をつくるかです。政府が電力供給の責任を
負う限り、どの省庁に位置づけても『規制』と『推進』の矛盾は
付きまといます。内閣府に置いても、その時々の政権の
エネルギー政策で新機関の活動が左右されてしまう。
政治主導にこだわるあまり、新組織を従来のワクにはめて
政府の管轄下に置く議論しか出てこないのは残念です」
経産省と東電幹部の高笑いが聞こえてきそうだ。
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asahi.comでの吉永小百合氏原発廃止発言についての記事(http://www.asahi.com/national/update/0731/OSK201107310058.html)。芸能界で仕事を続けられるのか不安。
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【http://www.asahi.com/national/update/0731/OSK201107310058.html】
2011年7月31日16時36分
吉永小百合さん「原発なくなって」 原爆詩朗読会で発言
女優の吉永小百合さんが31日、広島市中区の広島国際会議場であった原爆詩の朗読会で、福島第一原発の事故に触れ「原子力発電所がなくなってほしい」とあいさつした。朗読会はこの日開かれた日本母親大会の特別企画で、約1500人が聴き入った。
吉永さんは朗読前のあいさつで、「『原子力の平和利用』という言葉を、今まであいまいに受け止めてしまっていた。『もんじゅ』(福井県敦賀市の高速増殖原型炉)が恐ろしいことは聞き、廃炉に向けた運動はしていたが、普通の原子力についてもっともっと知っておくべきだった」と話した。そのうえで「世の中から核兵器がなくなってほしい。原子力発電所がなくなってほしい」と訴えた。
その後、吉永さんは峠三吉の原爆詩集「序」や栗原貞子の「生ましめんかな」など9編を朗読。最後に広島市内の子どもや母親らと一緒に平和の尊さをうたう「折り鶴」を合唱した。
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菅首相の「核のない世界」発言に対する腐ったマスコミの言説について、Inti-solさんの論考もご覧ください(http://plaza.rakuten.co.jp/intisol/diary/201108110000/)。
CMLの記事(http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-July/010714.html)。
この政党は、メルトダウンしている。他に言う必要も感じない。
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【http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-July/010714.html】
[CML 010846] 【原発維持・核持ち込み容認・日の丸教育推進】 どうしようもない自民党 「歴史のクズカゴに行け!」
・・・・・・。
2011年 7月 20日 (水) 18:09:43 JST
やはり自民は潰すしかない!今回の福島原発事故含めてこれまでの「原発推進」政策を真摯に反省できない政治勢力は「歴史のクズカゴ」に行くしかないことを思い知らせる社会運動と世論動員を今こそ! 原発維持、核持ち込み容認、日の丸教育推進、どうしようもない反動自民党。歴史のクズカゴに行け!
自民 原発は安全強化し維持を
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110720/t10014330471000.html
7月20日 15時41分
自民党は、次の衆議院選挙の公約のたたき台となる中長期的な政策をまとめた報告書を発表し、エネルギー政策については、電力の安定供給のシステムを再構築するものの、既存の原発は安全対策を強化したうえで、当面、維持するとしています。
この報告書は、谷垣総裁の指示に基づいて党の国家戦略本部がまとめたものです。この中では、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けたエネルギー政策について、電力の安定供給のシステムを再構築するものの、当面、原子力による発電量を再生可能エネルギーなどでカバーするのは困難だとして、既存の原発は安全対策を強化したうえで稼働を維持し、再生可能エネルギーの普及や省エネを推進していくなどとしています。このほか報告書には、東日本大震災を踏まえ、「安全や安心な国土作りが急務だ」として社会資本整備を積極的に行っていくことや、消費税率を当面10%に引き上げること、非核3原則について核兵器を積んだ艦船などの寄港を認める「非核2.5原則」に転換することなどが盛り込まれています。この報告書について、谷垣総裁は記者会見で「自民党がどういう政党かを示すため、党の綱領に沿って、中長期的にどのような日本を作っていくかといった視点でまとめた」と述べ、次の衆議院選挙の政権公約に反映させる考えを示しました。
安全対策強化で原発維持、公共事業拡大も、自民が中長期方針
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110720/stt11072011300003-n1.htm
2011.7.20 11:27
自民党の国家戦略本部(本部長・谷垣禎一総裁)は20日、党の中長期政策の基本方針となる報告書を発表した。政権与党を担い得る責任政党として、消費税率の10%への引き上げや集団的自衛権の行使容認を掲げたほか、既存の原発は安全対策を強化した上で当面稼働させる方針を明記。今後10年間の最優先課題を「減災対策」と位置付け、公共事業を拡大する方針も打ち出した。今後、報告書をもとに次期衆院選の公約作成を...進める。
報告書では、焦点の今後のエネルギー政策について、菅直人首相が推進を訴える太陽光などの再生エネルギーは「新たな柱の1つになるが、原子力による発電量分をカバーするのは極めて難しい」と指摘。当面は既存原発の活用や省エネ推進などともに「ベストミックス」で対応すべきだとした。
社会保障と税の一体改革に対しては、子ども手当など民主党のバラマキ政策の撤回を求めるとともに、社会保障財源確保のため昨年の参院選公約に盛り込んだ消費税率の当面10%引き上げに改めて言及。ただ、同時に公共事業の拡大も訴えており、公共事業の財源はデフレ期間中は建設国債を発行してまかなうとした。
集団的自衛権に関しては行使の範囲を法律で規定すると明記。非核三原則については、核兵器の陸上配備は認めないが、搭載艦船などの寄港は容認する「2・5原則」への転換を図るとしている。
教育については「戦後の日本教育のあり方を根本的に反省する」として、学校式典での国旗掲揚・国歌斉唱の義務化、教科書採択の改革、家庭教育の支援強化など保守色を打ち出した。
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そりゃ、止められないわな。国会議員ではないけれども、自民県議の甘い汁の一端(http://www.mynewsjapan.com/reports/1459)。My News Japanから。
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【http://www.mynewsjapan.com/reports/1459】
東北電力役員ポストで甘い汁を吸った自民県議77人 月1会議だけで年200万円超
三宅勝久 05:04 07/06 2011
女川原発(宮城県女川町・石巻市)や東通原発(青森県東通村)を持つ東北電力が、長年にわたって地元の宮城・福島・青森3県の県議会議員のべ77人を役員として迎え入れ、月1回の役員会に出席するだけで年200万円超の報酬を支払っていたことがわかった。3県は東北電力の株主だが、あくまで個人としての就任であり、報酬も個人に支払われていた。県議会への報告義務もなく、原発を推進してきた自民党会派内のみでの持ち回りポストだったことから、ただの「役得」と言ってよい。このように電力会社と県議会がズブズブの関係を築く原資は、すべて電気料金や税金だ。原発の危険性にチェックが働くはずもないのだった。
【Digest】
◇東北電役員ポストに自民県議77人
◇「県民の代表」の実態は単なる役得
◇「月1回の会議出席で月収20万円」と元県議
◇「功なり名をとげた」自民県議で役得独占
◇「適任者」の人選は自民議員仲間で持ち回り
◇役得ゲット議員77人全リスト公開
◇「あの人たちはすべてカネ」
◇ 東北電役員ポストに自民県議77人
歴代役員に県議会議員が多いのはなぜだろう――。東北電力(本社仙台市・高橋宏明代表取締役会長)の天下り状況を調べていた筆者はそんな疑問を感じた。
東北電力にも例外なく高給官僚が天下っている。経済産業省(旧商工省・通産省)からは8人。古い順から、中川理一郎・奥田新三・鹿野義夫・宮脇参三・黒田四郎・松田泰・佐々木恭之助・西村雅夫――の各氏だ。それぞれ顧問や取締役、副社長ポストを得ている。略歴は経済産業省のホームページにある。
このほか、旧大蔵省物価庁次長の工藤昭四郎氏が1964年から75年まで取締役だった。時事通信社解説委員長で日銀副総裁を務めた藤原作弥氏は現職の監査役だ。なお初代会長は貿易庁長官を務めた白州次郎氏だが、こちらは国策人事といったほうがいいだろう。
ここまでならいまさら驚くような話でもない。だが東北電力の場合、役員のなかに「宮城県議会議員」「福島県議会議員」「青森県議会議員」の肩書きを持った人物がやたらに目についた。議員の肩書きを持った役員は1~2年といった短期間で頻繁に交替している。数が多すぎてメモを取る手が痛くなるほどだった。
いったい何人くらいの議員が役員になっているのだろうか。1950年代までさかのぼって、くまなく役員名簿を点検し、集計した。その結果が以下のとおりである。
【東北電力役員になった県議会議員の数】
青森県議=31人(監査役18人/取締役13人)
宮城県議=25人(監査役11人/取締役14人)
福島県議=21人(監査役8人/取締役13人)
合計77人を数えた。ほかに、議員ではないが、福島県副知事が東北電力監査役に就任した例が1件あった。
なお調査は、東北電力の有価証券報告書に記載された役員名簿を点検する方法で行った。過去5年分については金融庁のデータベース「EDINET」、1984年以降は東京都立図書館で利用可能なデータベース「eol」、さらに古いものについては国会図書館に保管されているマイクロフィルムや冊子の資料を使用した。
議員はすべて自民党会派で、ほとんどは議長や副議長、または議長などの経験者だった。77人もの議員を役員として採用している電力会社はほかにない。どんな事情があるのか、興味は深まった。
筆者がまず思い当たったのは、東北3県と東北電力との資本関係だった。地方自治体が電力会社の株を持っていることはよくある。東京都も東電株を持っている。東北電力の場合はどうなのか。
さしあたり最近の有価証券報告書を取り出して大株主の欄をみた。自治体の名前はない。そこで古いものを点検することにした。過去にさかのぼっていくつか調べていくうちに、1953年当時のものに、こんな記載をみつけた。
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1953年といえば、51年に東北電力が創業した直後のことである。当時の筆頭株主は3・5%近くもの株式を持つ宮城県だった。青森県と福島両県もそれぞれ3%前後の株式を保有する有力株主とある。
大株主であれば、株を発行する企業に役員を派遣しても不思議ではない。県が株主ということなら、役員に県民の声を託して、企業に意見を言う。あるいは役員の立場で得た企業情報を、県に伝える。そうしたことは、意義あることだろう。東北電力は公益企業だから、県民の声を届けることはなおさら重要だ。
◇表向きは「県民の代表」、実態は単なる役得?
宮城県など3県の議員が役員になっているのは、こうした県民の声を届けるためだったのだろうか。筆者は3県の県議会事務局にそれぞれ電話をかけて尋ねることにした。
――東北電力の役員に県議会議員の方が多数なっていますが、どういう趣旨・立場でなったものでしょうか。
1~3日おいて、3県の議会事務局や県の財務関係の部署などから回答があった・・・。
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