Activated Sludge ブログ ~日々読学~

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●『創(2009年8月号)』読了(1/2)

2009年08月31日 07時54分37秒 | Weblog

『創』(2009年8月号)、8月に読了。

 佐藤秀峰氏インタビュー。

 浅野健一教授による「「足利事件」冤罪の責任はマスコミも問われるべきだ」(pp.44-53)。「マスコミは、被疑者が警察に逮捕されると「ペンを持ったおまわりさん」、判決が出ると「ペンを持った裁判官」、無罪が確定すると「ペンを持った弁護団長」になる」。富山・氷見の冤罪被害者、柳原浩さん。

 佐高信さん「筆刀両断!/憲法を変えて重武装なる妄言 宮台真司」(pp.74-75)。「・・・佐橋滋は「パブリックマインドに溢れ」、最後まで非武装中立を主張しつづけた。城山三郎の『官僚たちの夏』(新潮文庫)の主人公のモデルである佐橋は、そのため、多くの財界人から敬遠されたのである。それでもその旗を降ろさなかった。佐橋こそ、宮台が見当違いに持ちあげているゲバラのように「不合理への跳躍」を試みた人間ではなかったか。宮台が肯定的に取り上げている石原莞爾は、戦後、平和憲法を絶賛したのだが、宮台はそんなことも知らずに石原に言及したのだろう。無知は恐い。いや、オメデタイ。/「左かかった党派の人々」に嫌悪感を隠さない点では同じでも、辺見庸は憲法改変に待ったをかける。ひ弱な宮台とはそこが決定的に違うのである」。

 森達也さん「極私的メディア論/第45回 審査員と被写体 その1」(pp.84-87)。「・・・でも確実に劣化は進行する。・・・/1970年前後、・・・テレビ・ドキュメンタリーはとても刺激的だった。ドグマとしての公正中立不偏不党など誰も信じない。悪辣で主観的で自由奔放で、だからこそ豊かで真摯だった。・・・劣化はゆっくりと進行した。今ではもう、夕食のシーンなら食卓の上がモザイクだらけとなることは当たり前。外国人のコメントなら、翻訳テロップではなくてボイス・オーバーも当たり前。映像や音声に対するこだわりはほとんど消えた。」

 「対談 北尾トロ[フリーター]×阿曽山大噴火[大川興業] 裁判員制度本格スタートで裁判はどうなる!?」(pp.92-99)。「阿曽山 ・・・模擬裁判では・・・結果がバラバラだったんですよ。/北尾 ・・・最初に同じ事件でも結果が分かれたということで、裁判所が結果をオープンすることを躊躇したのかもね。でも模擬裁判最大の問題は死刑か無期か、という事例を一度も取り扱わなかったことですね」。
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●『創(2009年8月号)』読了(2/2)

2009年08月31日 07時52分34秒 | Weblog
【『創』(2009年8月号)】

 池添徳明さん「生徒の信頼を背景に「議論したい」と/三鷹高校元校長が都教委を提訴した真意」(pp.110-115)。さて、第一党が交替した都選挙、銀行経営失敗やオリンピック招致のから騒ぎの小皇帝都知事の都政もあと少しだろう。都教委の飼い犬達の無茶な振舞ももう少しの我慢か?
 壇上に卒業生たちが駆け上がってきて卒業証書を、「こんなものを生徒たちからもらえる校長なんて、日本全国を探してもそうそういないだろう」。「これほどまで生徒たちに慕われている校長がほかにいるだろうか」。しかし、定年後の非常勤教員がなぜか不採用、東京都教育委員会に不合格にされてしまう。790人中不合格はわずか22人、その中に入れるという、モノ言う校長へのあからさまな「報復措置」。「まともな教員や校長がこの色紙を目の当たりにしたら、たぶん激しく嫉妬を覚えて心からうらやましく感じるに違いない。裁判所の判断がどうなるかは別にして、教育者としての成果というモノサシで考えれば、これはどこからどう見ても都教委の完敗だろう」。

 山口正紀さん「『週刊文春』〝浅野セクハラ報道〟に完全否定判決/「敵意の伝聞情報」鵜呑み報道に警告」(pp.116-120)。リードには「浅野健一同志社大教授についての『週刊文春』の報道に大阪高裁が完全否定判決を下した。「浅野教授の文春裁判を支援する会」事務局長として裁判を傍聴してきた筆者が経緯を記す」とある。よかったよかった! とんでもない報道被害。

 「永六輔[放送タレント]×矢崎泰久[元『話の特集』編集長]のぢぢ対談 第4回/冤罪なんて知らない」(pp.122-129)。菅家さん冤罪事件(足利事件)について、矢崎さん「検察の思惑や、予断に満ちたマスメディア、そして警察、検察、裁判官のずさんさが、事件に関係のない人とその家族の20年近い人生をズタズタにしちゃった」。
 矢崎さん「・・・東京の風俗の取り締まり強化は、石原都政のオリンピック誘致のための浄化作戦ですよ」、永さん「あなたから言わせると、それも恣意的な法の執行だと」。
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●『安心のファシズム ―支配されたがる人びと―』読了

2009年08月28日 07時07分31秒 | Weblog

『安心のファシズム ―支配されたがる人びと―』、8月に読了。斎藤貴男著。岩波新書。2004年7月刊。

 第一章「イラク人質事件と銃後の思想」、第二章「自動改札機と携帯電話」、第三章「自由からの逃走」、第四章「監視カメラの心理学」、第五章「社会ダーウィニズムと服従の論理」、第六章「安心のファシズム」。

 やはり第一章が印象に残る。
 「二〇〇四年四月から五月にかけて――。/イラク人質事件をめぐる、いわゆる自己責任論争が、日本列島の至るところで展開された。当の人質やその家族たちに向けられた悪意の集中砲火はあまりにも凄まじく、・・・」(p.2)。「自作自演説の発信地は首相官邸」(p.8)。「『週刊新潮』・・・は、人質やその家族らに対する、ほとんど人格攻撃に終始した」(p.9)。「・・・人質やその家族の思想・信条の洗い出しを始めた。・・・記者会見でも冷笑を浮かべていた福田康夫官房長官をはじめ、高官たちはメディアとのオフレコ会見、懇談の席などで露骨な自作自演説を開陳したという」(pp.10-11)。自己責任論のオリジン、小泉らの悪用、その後の詳しい経過。背景としての「「癒し」としての差別」(p.24)。「・・・こうしたあさましい心理のメカニズムが原動力である点で共通している。・・・結局のところは鬱憤晴らしでしかないのである。/・・・一方の三人組は女性と未成年と、・・・こいつらなら叩いても大丈夫とばかりに―――。/・・・要は対象が女・子どもだからいじめやすいという卑劣きわまりない意識を感じざるを得なかった」(pp.28-29)。上坂冬子や石原慎太郎、西村眞吾らの異常な視点。「・・・視点の高さは神のそれにも等しい。他人を批判する場合の最低限のたしなみさえ、あんな人質たちには必要ない、殺してしまえと笑っていた。・・・礼節、謙虚の美徳のかけらもなかった。・・・/・・・ある種の人間性の典型を示して・・・。などと人質やその家族たちをさんざん罵倒し、・・・自衛隊の武力出動の口実としては利用したい思惑が透けていた。」(p.33)。「安倍晋三幹事長は、犯行グループの解放声明が出されて数時間後にオンエアされたテレビの生番組で、人質事件を憲法九条〝改正〟と絡ませてみせた」(p.34)。
 「フリージャーナリストの橋田信介さんと小川功太郎さんが襲撃されている。わずか二月足らず前に吹き荒れた人質バッシングの嵐とはうって変わって、このときのマスコミ報道は礼賛一色。「武人」と讃えたのは『読売新聞』だった」(p.229)。

 ブッシュ、そして小泉の無責任発言の数々。「背筋が寒くなってくる。仮にも一国の首相が、こんな言葉を吐き続けてきた」(p.218)。それも8月30日までだろう! 「吹き荒れる言論弾圧の過程に、思えばイラクの人質たちに対するバッシングもあった。戦争に反対すれば逮捕される。とりあえず罪状が見当たらない場合でも、大衆がよってたかって袋叩きにして、二度と立ち上がれなくなるほど打ちのめす社会」(p.226)、次の政権に過剰な期待は無理だろうが、少なくともそんな社会はこれで終わりにしてもらいたい。
 「・・・現場の取材、ウォッチングにかまけて第一行目を書き出せなかった私の背中を押したのは、あのイラク人質バッシングだった。つくづく正念場だと思った」(p.232)。


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●『疋田桂一郎という新聞記者がいた』読了

2009年08月27日 07時54分01秒 | Weblog

疋田桂一郎という新聞記者がいた』、8月に読了。本多勝一著。新樹社。2009年7月刊。

 本の帯には大きな赤字で「「報道加害天国」日本と名記者の死」。

 名記者、「新聞記者の鑑」(p.237)疋田さんの記事「ある事件記事の間違い」の引用からスタート。

 『Views』上での岩瀬達哉氏による「100%の捏造記事」に対して、疋田氏自身・御夫人の怒り、無念さ(pp.148-149)。

 「疋田桂一郎氏が、朝日新聞社の中でも新聞記者倫理にとりわけ厳しくかつ清廉だった・・・。では疋田氏とは正反対に、リクルート社から正真正銘の接待を受けていたマスコミ人は誰でしょう。じつはそれこそ、当の『噂の真相』の「編集兼発行人」なのです」という爆弾暴露!(p.149)。

 疋田桂一郎さんが如何に憤死させられたか(p.68)、そしてようやく最高裁で勝訴(p.79)するまでの長い道のり。疋田氏による『書かれたらそれまでよ日誌』にある、虚しい抗議の日々がよく理解出来る。本多さんも随分な被害を受けている。『噂の真相』の元編集長も罪深い。

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●『手塚治虫 昆虫図鑑』読了

2009年08月26日 07時52分33秒 | Weblog

『手塚治虫 昆虫図鑑』、8月に読了。手塚治虫+小林準治解説・構成。講談社+α文庫。1997年3月刊。

 手書きによる昆虫の標本画に圧倒される。

 2頁見開きで、左に昆虫の解説、右に関連する漫画のコマ数点。

 T文庫にて。
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●『抵抗人名録 私が選んだ77人』読了(1/2)

2009年08月24日 07時54分11秒 | Weblog

『抵抗人名録 私が選んだ77人』、7月に読了。佐高信著。金曜日。2008年7月刊。

 
久野収(p.12)、山下弘文(p.24)、高木仁三郎(p.30)、岡部伊都子(p.36)、松下竜一(p.45)、福島瑞穂(p.48)、城山三郎(p.60)、田中伸尚(p.75)、安田好弘(p.78)、朴慶南(p.81)、田中秀征(p.93)、内橋克人(p.105、48)、天木直人(p.117)、山岡俊介(p.129)、梁石日(p.135)、安田純平(p.138)、高杉良(p.147)、中村哲(p.155)、石坂啓(p.156、63)、辺見庸(p.159)、緒形拳(p.162)、澤地久枝(p.165)、杉浦日向子(p.171)、三宅勝久(p.177)、斎藤貴男(p.189)、福田衣里子(p.201)、田中優子(p.207)、井筒和幸(p.210)、二宮清純(p.225)、雨宮処凛(p.231)、落合恵子(p.240)さんら。

 「・・・まさにあきらめない抵抗人である。/・・・抵抗と言っても、私はそれを貫くのに迷いのない人には惹かれない。・・・迷い、悩み、揺れる姿にこそ、私たちは学べるのではないかという思い、私の中で、いつも消えない」(pp.7-9)。

 獄中の鎌田俊彦さん(p.21)。

 本多さん(p.19、30、63、111、156)。岡留さん(p.19)との関係がなぁ・・・。

 「松下の盟友に、やはり、「大人になりきれなかった人間」の梶原得三郎がいる」(p.46)。『五分の虫、一寸の魂』、『いのちきしてます』。「法律の前にくらしがあるのだ。・・・「いのちき」を守るために法律がある。決してその逆ではない」。

 
「城山三郎は・・・いま、鬼気迫る感じで、個人情報保護法反対に時間を割いている。面識のある小泉純一郎に手紙を書き、法案は治安維持法の再現だ、と指摘した」(p.61)。

 田中伸尚さんの「著書で一番好きなのは『合祀はいやです』(樹花舎)である。・・・中谷康子の闘いを描いたこの本・・・。/憲法とは「守る」ものではなく、「獲得する」ものだとして、それを実践している十二人の人をドキュメントした『憲法を獲得する人びと』・・・」(p.77)。

 安田好弘さんの不当逮捕後、「〝邪教〟とされる者の側に立とうと覚悟を決めた・・・」(p.80)。
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●『抵抗人名録 私が選んだ77人』読了(2/2)

2009年08月24日 07時52分02秒 | Weblog

【佐高信著、『抵抗人名録 私が選んだ77人』
 朴慶南さん、「石原慎太郎の「三国人発言」などに怒りを露わにする彼女」(p.81)。兄貴分は梁石日。「暴徒と化した日本人から朝鮮人のいのちを守った横浜の鶴見警察署長、大川常吉のことを知り、ペンで顕彰した」(p.83)。
 
「弱者切り捨て」の小泉元首相や、小皇帝都知事については鳥取県の片山義博さん(p.84)の項でも批判。ピーコさんの項でも(p.90)。井筒和幸も、小皇帝知事プロデュースの特攻映画について「・・・美化するのは「ゴッツイ気持ち悪い」と反発」(p.211)。

 内橋克人さんは、「「あなた方の得く改革論、グローバリズム宿命論に、いったい何の正統性と根拠があるのか」と怒りをこめて問い・・・」、FEC自給圏の形成を呼びかけてきた(p.107)。

 「〝強い者イジメ〟」に対して「武富士のドン、武井保雄が盗聴した」山岡俊介さんは、大道寺将司さんらについての「松下竜一の『狼煙を見よ―――東アジア反日武装戦線〝狼〟部隊』に惹かれた」(p.129)。武富士については、三宅勝久さんも(p.177)。

 緒形拳さんの項でも松下センセのことが。『砦に拠る』の蜂ノ巣城主・室原知幸を演(や)りたいと。

 石坂啓さんについて、「辛淑玉が激辛派、辻元清美が大甘派、そして石坂が激甘派」(p.156)。「辻元が突然逮捕された後の彼女の義侠心に感心した」。「「お金の思い出」は出色の面白さだった」。石坂さんのお母さんの話が出色。

 斎藤貴男さんの『絶対禁止!』(p.190、144)には松下竜一さんや神坂直樹さんら十八人の人物スケッチらしいが、まだ未読。『カルト資本主義』や『夕焼けを見ていた男 評伝梶原一騎』、小林よしのりのひどいデッチアゲ中傷などについても。

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