Activated Sludge ブログ ~日々読学~

資料保存用書庫の状況やその他の情報を提供します。

●『「非国民」のすすめ』読了(1/6)

2008年05月22日 08時02分37秒 | Weblog

斎藤貴男著『「非国民」のすすめ』。ちくま文庫。20077月刊。非常に興味深かった。

刺激的なタイトル。6章までのタイトルを羅列するだけでも、斎藤さんの主テーマと危機感が伝わる。本田靖春さん(※1)や斎藤さん、今読んでいる魚住昭さんらに共通したこの国の在り方への警告を理解すべき。

「第1 なぜこんな国になってしまったのか ~好んで国家側に立つ人々」では、生活保守主義などについて。ユビキタス社会や住基ネットについての「第2 あなたは国家に監視されている」。首相の靖国参拝など、「第3 あなたも参加している戦時国家ニッポン」。サブタイトルから中身が分かる「第4 あなたも差別されている ~北朝鮮拉致事件、司法改革、教育改革、石原慎太郎、公共の私物化~」。イラク映像など、「第5 権力のプロパガンダに堕したマスメディア」。自身の歴史を振り返りつつ、「第6 ジャーナリストとして譲れぬこと」。
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●『「非国民」のすすめ』読了(2/6)

2008年05月22日 08時01分26秒 | Weblog
斎藤貴男著、『「非国民」のすすめ』
冒頭「文庫版のためのはしがき」に全てが凝縮。知事の「行政私物化と縁故主義(ネポティズム)の跳梁跋扈・・・、それでも都民は、この男に未来を委ねる選択をためらわなかった。ただただ呆れる」(p.8)。「彼ら彼女らは何もわかっていない。わかろうともしていない。・・・凶暴なまでの独善、社会的弱者に対する差別そのものの政策・・・」(p.10)。次に、高遠さん・郡山さん・今井さん(※2※3※4※5)へ向けられた眼差し。「恐怖におののく高遠さんたちに日本国民の多くが向けた眼差しは、武装グループのそれ以上に冷ややかで、残忍きわまりないものだった」(p.10)。香田さんは、亡くなった後までも貶められている。彼の「殺害をむしろ積極的に促して」いた(p.11)。一方で、橋田さんと小川さんについての国内世論は礼賛一色。さらに、200611月の教育基本法改訂。「己どもの不祥事には居直り、とことん開きってみせる一方で、国民個々、子どもたちに対しては、あろうことか人の道を説いてのける(p.12)。こういった時代状況が斎藤さんに本書を書かせたといえる。
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●『「非国民」のすすめ』読了(3/6)

2008年05月22日 08時00分32秒 | Weblog
斎藤貴男著、『「非国民」のすすめ』
国会中継が嫌い。「小泉首相をはじめ、与党議員の態度や物言いが、どうにも我慢できない・・・薄ら笑いを浮かべながら、木で鼻をくくった不誠実極まりない回答だけを繰り返してくる」(p.102)。同感。「私語に雑談、薄笑い。汚い野次」(p.105)。「人々の知性を破壊」(p.112) する「反知性主義」、「それを許したのは誰あろう、私たち自身(※6※7)なのである」(p.108)

元首相から「実にイヤなものを見せつけられた。・・・中国や韓国にケンカを売っているのに等しい愚行をここまで重ねるからにはアジアの平和(※8)など、微塵も考えていないのだろう。いや、むしろ、破壊の対象なのかもしれない」(p.123)

「公人としての自覚のかけらもない」都知事。その元公設第一秘書が、ライバルであり、自殺した新井氏の選挙の際にやったこととは? 「人間のむき出しの醜さ」(p.143)。「度しがたい差別主義者」、「口舌の徒のあまりの低次元ぶり」(p.165)。しかし、「あらゆるマスコミが黙殺 、「腰抜け」(p.172)。小笠原諸島は「自分が遊ぶための島でしかない」、小笠原の式典は「・・・あの男が夏休みを満喫するための方便に貶められてしまった」(p.173)。島民は「まるで将軍様の臣民だ」(p.174)
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●『「非国民」のすすめ』読了(4/6)

2008年05月22日 07時59分22秒 | Weblog
斎藤貴男著、『「非国民」のすすめ』
ネーミング・ライツの正体は公共の私物化。「拝金主義もここに極まれり」(p.178)。小泉首相の下、竹中大臣が何事かを始めると、「いつもこの点が穿き違えられてしまうから、本当に困りものだ」(p.179)。「TOKYO」からの切り替えでは、「金で優勝を買い続けてきた球団にたったひとつだけ残されていた美徳がわざわざ打ち捨てられていく光景」(p.179)。そのオーナーが、近鉄問題で、「他人様のやり方を云々できるほどには、彼自身が立派な球団運営をしているとは思えない」(p.182)

戦前生まれの二人の新聞記者 (藪下彰治朗・刀禰館正久) の共著の以下の一節が引用されている。「権力者やその代弁者らが自由勝手に発言できるのは、大昔から至極当たり前のことで、それは「言論の自由」の名には値しない。その「自由」とは、国家権力や多数派、強者に対して反対を表明する野党的存在の者の自由、少数派の自由、弱者の自由でなければならない(p.203)。これに類した言葉は3回目(※9※10)。だからこそ、調査報道(※11)の重要さを最後の砦として斎藤さんは強調。記者クラブによる宣伝活動では、自由は守れない。
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●『「非国民」のすすめ』読了(5/6)

2008年05月22日 07時58分25秒 | Weblog
斎藤貴男著、『「非国民」のすすめ』
「あらゆる戦争は絶対悪である」(p.207)。「違う発想があっても結構だし、活字にしたり電波に乗せたりも自由だが、・・・それこそ命がけの思索や吟が伴っていなければならない。これだけは譲れない」。「人として当たり前の仁義を無視してきた・・・ブッシュ大統領であり、小泉純一郎首相であった。・・・戦争を論じる語り口の薄っぺらなこと」(p.207)

「支配者の根幹を貫く優生思想」である「社会ダーウィニズム(p.250)
新・三種混合ワクチンなどの問題点について(p.312)。「煽られたインフルエンザ禍」(p.338)。七三一部隊の石井四郎(※12) (p.344)
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●『「非国民」のすすめ』読了(6/6)

2008年05月22日 07時57分14秒 | Weblog
斎藤貴男著、『「非国民」のすすめ』
いくつかの「あとがき」にて。「この国の社会は、今、とてつもなく醜い」(p.370)、「情けなくてならない。ここまで醜悪な社会が、仮にも人間の世にあってよいものだろうか。・・・恥を知ろう」(p.372)。「イラク復興支援の何のと小泉純一郎政権がいくら取り繕うと、為政者たちの本音が戦争以外の何物でもなく、かつその意識たるや低次元の戦争ごっこレベルでしかない無残」(p.360)。三浦朱門氏や西村眞吾氏らのどうしようもない発言(p.360)。・・・斎藤貴男さんは「私は「非国民」と呼ばれる人でありたい」と。
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●『「反日」とは何か ~中国人活動家は語る~』読了(1/3)

2008年05月21日 08時34分11秒 | Weblog

熊谷伸一郎。中公新書ラクレ。20068月刊。

元首相がいかにアジアとの関係を破壊したことか。彼が参拝するということは、アジアの人々に、「その展示を見て私は本当に怒りを感じました。・・・中国人を殺した責任者を英雄のように祀っている。・・・理解できません」(p.25)。中国の「教育の中で、かつての日本の軍国主義を批判することが「反日教育」だというのはおかしいですよ。いまの日本は軍国主義ではないんだから、・・・軍国主義を批判されて怒るのは、自分自身が軍国主義だからではないんですか。・・・「反日」だというのなら、日本は軍国主義だということを認めているようなものです」(p.81)()首相が「在任しているあいだは、日中関係には希望はありませんね」(p.129)

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●『「反日」とは何か ~中国人活動家は語る~』読了(2/3)

2008年05月21日 08時33分19秒 | Weblog

一方、本書の主題のように、「反日デモ」に際して、いつものごとく、「ほとんどの日本のマスコミは偏った報道しかしていません」(p.48)。特に、「文春の記者はこれまでで一番酷かった」(p.67)。「日本のマスコミの取材方法の水準を疑います」(p.124)。反日デモでない、ことが全く伝わっていない。日本の全てでなく、何に対して抗議しているのか、何が理由なのか、をマスコミは全く報道しない。

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●『「反日」とは何か ~中国人活動家は語る~』読了(3/3)

2008年05月21日 08時32分28秒 | Weblog


熊谷さん (クマさん) の主テーマかな
?撫順戦犯管理所(p.132)での世界史上の奇跡(p.136)。「その証言に接することで・・・加害者であった日本の具体的な姿を知った。私もその一人だ」(p.134)。一方、所長を始め管理所の職員は「艱難の季節」を送る(p.134)ことにはなったが、彼らや元戦犯が、格言 (p.137) に云う「井戸を掘った」。しかし、「小泉純一郎や安倍晋三など、・・・アジア諸国民からの批判に開き直る一群の政治家・・・、日本人として空しい。彼らに、そもそも平和なアジアという井戸を掘る意思があるのかどうか、疑わしい。むしろ、・・・彼らは先人の掘った井戸の水を濁らせているのだ、と」

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●『我、拗ね者として生涯を閉ず (上・下)』読了(1/4)

2008年05月20日 07時56分04秒 | Weblog

本田靖春。講談社文庫。200711月刊。本田さんの自伝で、絶筆、日本への遺言。

日本の未来への危機感、絶望感。「棄権率の高さ・・・大衆を甘やかすのはいい加減にしてもらいたい。投票に行かない連中は惰眠である・・・」(p.126)。「平和国家の旗を下し・・・同胞よ、本当にそれでかまわないのか」(p.131)。「私も、若者や娘たちの胸に灯をともしたい、・・・「夜明け」が来ると信じていた。・・・政治には、国家としての理想像がない。つまりは、この日本国には夢がない、・・・そういう基本をないがしろにした指導者の下で、努力はしない、辛抱はできない、そのくせおいしい生活は人並みにしたいという、身勝手で自己中心的な国民が、大量にはびこっている。社会性を欠いた彼らには、・・・日本の腐った政治を変える能力は無い。悲しい予測だが、この国は間違いなく滅ぶであろう」(p.347)
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●『我、拗ね者として生涯を閉ず (上・下)』読了(2/4)

2008年05月20日 07時55分00秒 | Weblog

第一級の新聞記者。黄色い血キャンペーン (.225、下105)。売血が認められていた当時、ある日本人の学者はオランダや南アフリカの学者から言われたそうである。「自分の血液をカネにかえてしまう日本では、目の銀行が普及すれば、目を売る人々が続出するだろうし、・・・やがて自分の魂すらカネにかえてしまうのではないか」、「いまに腎臓移植が普及すれば、腎臓の売買も許すのか」 (p.109)。本田さんの渾身の「黄色い血」キャンペーンで、一気に売血の割合が急落し、終焉。ただし、潜入取材の際に本田さん自身が肝炎に感染し、後年、肝がんを発症したようである。さらに、どんでん返し。売血から撤退した、「人体実験で悪名の高い旧七三一部隊の残党」(p.123) によるミドリ十字が血漿分画製剤という抜け道を作りだし、ルートを替えて、買 () 血は生き残っていた (p.175)。つまり、輸入血液製剤を投与された血友病患者がエイズに感染した問題へとつながっていた・・・。
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●『我、拗ね者として生涯を閉ず (上・下)』読了(3/4)

2008年05月20日 07時53分58秒 | Weblog

第一級のノンフィクション作家でもある。立松和博を主人公にした『不当逮捕』(p.262、上383、下344)

入社試験時の主導は鈴木東民 (p.74) さんだったらしい。

1011部は、読売一面を飾る正力モノへの批判。鋭いナベツネ批判も。正力は「自分の主張を編集の各部門に押しつけることはしなかった」が、ナベツネは「確信犯的に自論を論説委員会に強要し、読売新聞の体制化を推進した。実に始末のわるい御仁である」(p.386)
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●『我、拗ね者として生涯を閉ず (上・下)』読了(4/4)

2008年05月20日 07時52分53秒 | Weblog

本田さんが、なんで、ニューライトと誤解されていたのか? なぜ読売??  何で文春系??? しかも、「諸君」。さらに、当時の編集長はあの人だもんな・・・。「我が国が中国を侵略した重い歴史的事実が、胸にわだかまって」(p.431)、ようやく、「越えられない一線」から、文春系からは距離をおくようになる。一部本田さんの誤解 (p.437) があると思うが、鈴木明や山本七平の酷いデマがきっかけになっている。

右目失明、癌、壊疽、両足切断、それでも、書き続けた本田さん。死後、通夜・葬儀は一切無し。戒名も位牌もなし。個有の墓もなく、「文學者の墓」に納められ、文学者の名が連なる墓碑の一隅に「本田靖春 不当逮捕」と刻まれているだけである (p.461)
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●『紙の爆弾 2008年4月号』読了

2008年05月19日 08時01分21秒 | Weblog


4月に読了。

スピリッチュアル絡みの小特集の3つの記事が目についた。特に、2番目の記事。幸田の失言と「水伝」との関係。さらに、NHK会長選びをめぐる内ゲバで注目を集め、逆に、今年1月に所得隠しで話題になったNHK経営委員について、彼女は「水伝」江本と共著本を出版していた。しかも「波動」絡み。「マイナスイオンの伝道師」でもあるらしい。

今号には載っていないが、マッド=アマノさんをはじめ、911陰謀論というガセネタかつ二セ科学の記事は勘弁してほしいけど。

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●「毒ガス開発の父ハーバー ~愛国心を裏切られた科学者~」読了(1/2)

2008年05月16日 07時53分29秒 | Weblog

4月に読了。富田親平。朝日選書、200711月刊。

「オストワルト、ネルンスト、ハーバー、ボッシュ」法とでも呼ぶべき、とする人もいるよう。一般的には、「ハーバー法」あるいは「ハーバー・ボッシュ法」。オストワルトの下でハーバーは研究をすることを望んでいたが叶えられず。ネルンストはハーバーのライバルで、オストワルトの下で研究。ネルンストは化学平衡の権威で、彼がハーバーに高気圧下でアンモニア生成が有利であることを示唆したらしい。当時、ハーバーはカールスルーエ工科大学教授。ボッシュは、ハーバーが共同研究・開発を申し込んだBASF社の技術者で、200300気圧に耐えうる高圧炉の開発を担当し、その材料として合金を採用。時期は異なるが、両者がノーベル賞を授与された。ただし、ハーバーの下で助手だったミッタッシュが安定性の高い鉄化合物の触媒を発見したことが見逃されがち。化学平衡から低温の方がアンモニア生成は確かに有利であるが、反応速度があまりに遅く、優れた触媒を用いてアンモニアを高度に回収する必要があったため。(pp.71-78)
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