エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

#新しい人 #仕事をする上での倫理と女性の役割

2013-09-16 03:46:37 | エリクソンの発達臨床心理

 アメリカ移住が、出エジプトになぞらえられ、自分の自由意思を大事にしながら、故国を捨てたことなどに対する罪責感を抱かずに、自主独立の人のなる場を得ることになったことが教えられました。

   Toys and reasons. p.153. 最後のパラグラフ。

 

 

 

 

 

 1つの文化のまさに骨組み(生地)となることが分かる日常生活の礼拝の枠組みに関して、仕事上の倫理が、あらゆる種の「新しい人」にとって、最も大事なことであることは火を見るよりも明らかです。この国において、仕事の役割を、新たな礼拝にし直すことが姿を現し、あらゆるレベルで、自分の社会的地位を上げる機会を自由に選べるすべての人は、本質的に平等であることが強調されました。子どもの頃からずっと、創意工夫のある勤勉さや陽気で楽しい自発性が磨かれました。というのも、大事なのは、物事を発展させることであり、物事を役立たせることだったからでした。歴史、地理、科学技術のすべてが、このように自発性と、ますます広がるゆとり、および、発展する繁栄と(あるいは、その両方を必ず得られると信ずる約束)を、結び付ける、1つの共通感覚(1つのことを、多くの人が共有する感じ)に報酬をもたらします。しかも、前のいくつもの世代に取って代わろうと考えると湧いてくる、どのような罪責感も、古い世代の人々から離れ、独立し、(それに加えて、古い世代の人々が熱心の奨励してくれた)新たしい領土、新たな分野に進んでいくチャンスによって、ずっと緩和されているように思われます。大海を越えて、ここにやってくることに加えて、西へと移住しようとする動きが出てきました。このように、人生を自分自身で切り開いていく生き方は、それにふさわしい(新しい)タイプの人に栄光を与えます。そのタイプの人は、広がるチャンスを無慈悲に掴み取ることができる人であり、そうであるがゆえに数あるチャンスにそれほど傾かなかったり、あまり恵まれなかったりする人に対しては、無視したり利用したりすることも、当たり前の権利として認める人でもありました。もちろん、今日、女性の役割に驚嘆せずに、建国者たちの時代のことを教えてくれる本や絵を思い出したり、思い浮かべたりすることはできません。女性たちは、自分に宛がわれた立場が、男を補い、男を飾るものであることを受け容れることができただけではなく、家庭や学校や地域社会で、命を与える者、価値を伝える者としてのエネルギーをその立場のために、いかに用いることもできたか、にも驚嘆せずにはいられません。

 

 

 

 

 自主独立の人は、チャンスを大胆に掴み取ることができる人ですし、チャンスにあまり心を傾けなかったり、恵まれない人を無視したり、利用したりする際に罪責感を感じない人でした。自主独立の人は、そのようにして自分の人生を切り開いていくのです。女性は、お飾りとしての役割だけではなくて、命と価値の源としての役割に精力をつぎ込んでいったのでした。

 男も女も新しい倫理を生み出した、と言えそうです。

コメント
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