エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

新世界、アメリカ人の生き方

2013-09-17 03:30:09 | エリクソンの発達臨床心理

 

 新大陸に渡って、男も女も、新しい倫理を創りだしていたようですね。

 今日は一歩進んで、「アメリカ人の生き方」についてです。

 

 

 

 

 それは、「生き方」と呼びうるものでした。しかも、大国に関する限り、最も控えめな言い方でした。なぜなら、次のように言わなくてはならないのですが、少なくとも、ヨーロッパから来た人にとっては、アメリカ人の生き方は、民族間、宗教間の憎悪のいろんな対象を乗り越える点で、非常に根本的な実験でした。この民族間、宗教間の憎悪のいろんな対象こそ、旧世界においては、親しいご近所同士、近しい隣国同士の間で、何度も繰り返し戦争の中で、伝統的に言葉や態度に表され、新たにされてきたのです。新世界が旧世界から独立した、最も裏付けがあり、最も世に聞こえた側面、すなわち、いかに、新しい生き方が、アメリカの建国者たちによって、体現され、代表されたのか? ということは、私はここでは長々と述べることが出来ません。彼らは「アメリカ合衆国憲法」とその中にある「権利章典」に、生命、自由、幸福の追求という必要不可欠な人権概念を取り入れたのでした。私が強調したいのは、アメリカ合衆国の政治体制を作り出した建国者たちは、彼らの計画性の中で、「チェック アンド バランス(抑制と均衡)」を確立しようとしたことぐらいです。「チェック アンド バランス」は、法律を柔軟に運用する中いろんな形で役立つのを許すだけではなく、二大政党制におけるように、大規模な、時として混乱することもある、権力の調整に現れた駆け引きをも認めることになりました。

 

 

 

 

 ここでは、新世界での、アメリカ人の生き方が、旧世界での、民族間、宗教間の憎悪の様々な対象を乗り越える根本的な実験だったことは、大事な事実です。しかし、それだけではありません。その生き方が、アメリカ合衆国憲法と権利章典に、重要な人権概念として明記されたことも、同様に重要です。しかも、その人権を現実化、体現するためには、権力を分立させた上で、チェックし、バランスをお互いに取らせることも、欠かせません!

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