エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

人間性の解放とその危険

2015-04-13 07:48:56 | アイデンティティの根源

 

 ルネッサンスは、人間を賛歌するのはいいのですが、人間が何でもできると思った時は、大きな困難の始まりになります。

 Young Man Luther 『青年ルター』p193の6行目から。

 

 

 

 

 

 ルネッサンスが、「一段とすぐれた」自我革命だ、ということは、精神分析理論に通じている人の注意を捉えずにはおきませんね。それは、自我の優れた諸機能の大規模な回復でしたが、それはそれは、感覚的な悦び、実力行使、良い良心を養生することが、人間中心の自惚れになるほどでした。これはすべて、教会が、人間が悪い良心に傾きやすい性向に、組織だって、怖がらせて付け込んできたことから、取り戻されたものです。

 

 

 

 

 中世のカトリックも相当病んでましたね。それから感性・知性・行動力などを人間が取り戻したのは、良いことです。しかし、それがうぬぼれになるのは、振り子の振れ過ぎでして、とっても危険な時代の始まりです。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

#光る順番

2015-04-13 07:02:03 | エリクソンの発達臨床心理

 

 エピジャネシスは、順番を大事にするだけではなくて、発達する部分同士の関係も大事にするらしい。

The life cycle cpmpleted 『聖書の神様の命(息)が一巡して、「できた!」』、p29の冒頭から。

 

 

 

 

 

この表の、対角線上に右肩に上がる、太字にかこったセルは、続いている諸段階(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)と発達する単位となる諸部位(1、2、3)を共に示しています。言葉を換えれば、この表が定式化しているのは、「1つの前進であり、その前進は別々の部位を通して実現する」、ということです。これが示しているのは、それぞれのセル(たとえば、2Ⅰ)は、(対角線の下に)あって、その形は「『それが』決定的な臨界期がくる」(2Ⅱ)前で、しかも、「他のすべての部位(1と3)と体系的に関連している」のですが、「全体の構成は、それぞれの部位が適切な発達を、適切な時期にしたかに否か次第になります」、ということなんですね。

 

 

 

 

 この表は、それぞれの発達する時期と順番、ノーマルな発達と、早熟と晩生、臨界期を迎えた部位と、その他の部位との関係なども示しています。この表は実にうまくできた表なんですね。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

神様は現在進行形、改訂版

2015-04-13 02:31:59 | エリクソンの発達臨床心理

 

 ティク・ナット・ハン禅師は、≪いまここ≫の自分、ありのままの自分に気付くことを薦めていましたね。今日はその≪いまここ≫を考えてみたいと思います。

 ≪いまここ≫は現在のことですね。≪いまここ≫の自分、現在の自分に気付く、知るってそんなに難しいのはなぜでしょうか?

 それはね、大体、人を見る時に、まっさらな気持ちで見るということができないからです。多くは「投影」が生じてしまう。とくに、幼い時からの繰り返しの中で、「良心」ができると言う話は、このブログでも、何度も取り上げてますでしょ。悲しみやに怒りなどの感情がベッタリとくっついた過去の経験が、他罰的な「悪い良心」となって、≪いまここ≫を歪めていることが非常に多い。あるいは、結局は大勢順応主義でしかない、底の浅い「道徳観」や希望的観測で≪いまここ≫を歪めていることも非常に多い。

 ≪いまここ≫について、マザーテレサが大事なことを言っています。「過去は過ぎ去り、未来は未だ来たらずです。私どもには今しかありません」と。

 そして、神様の名前「ヤーウェ」も≪いまここ≫。神様は、現在進行形。ユダヤ・キリストの神の名は「ヤーウェ」と言いますでしょ。これは、新約聖書のギリシャ語では「ホー・ウォン ο ων」(気息記号などは割愛)。「≪いまここ≫に生きているもの」という意味なんですね。ユダヤ・キリスト教では、文字通り「名は体を表す」もの、本質を示すものと考えられます。「ホー・ウォン」も実際にギリシャ語のbe動詞、エイミーの現在進行形です。

 ≪いまここ≫というのは、自分の中にある否定的なフィルム(悪い良心)を相手に投影することなしに、底の浅い道徳で現在を歪めることもなく、神様と共に居る自分を見出すこと。

 あなたも、あなた自身を大切にね。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする