高齢者の課題も、人生の各舞台の課題と関わりが深いものです。
The life cycle completed 『人生の巡り合わせ、完成版』、p63の 最後の行から。
私どもは、こういったいろんな疑問に最終章で戻ることにしましょう。ここで、ついでに私が強調しておきたいことは、老年期にあっては、過去に身に着けたあらゆる人間性は、新しい価値を帯びる、ということです。その人間性は、それ自体において、研究した方が良いってこと、それ以前に身に着ける人間性においてばかり 研究するんじゃぁないってことです、それは、その人間性が、健康か、あるいは、病んでいるかに関係ありません。いっそう実存的な言葉においては、人生千秋楽の舞台で、不安神経症のanxiety 「『この先どうなるか、わかんない』という心配事」から比較的に自由になることは、生死の怖れから免れている、という訳じゃないってこと。子どもの頃のguilt 「『自分はダメな子』という罪責感」は、それぞれの人がそれぞれの仕方で体験しているevil 「『自分が悪い』という感じ」を失くしてくれはしないってこと。それは、identity 「対人関係の中で心理的に自分を確かにさせること」は、実存的な≪私≫を先取りするわけじゃないのと、同じです。
キッパリしてますね。その年齢の舞台にふさわしい危機的課題があって、その課題はその年齢において研究した方が良い、ってことです。しかし、臨床ですから、常に二律背反的で、それと同時に、他の年齢の舞台との繋がりの中でも考えることも大事なわけなんですね。ここが心理臨床のダイナミズムですし、また、とっても面白いところでしょ。
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