以前は「旧いメルセデスの電機屋」。。。現在は、、、「隙間風産業の超零細企業」の業務日報。。。

旧いメルセデスの電機屋のニッチな仕事のお話。。。http://jun3104.shop19.makeshop.jp/

宝の持ち腐れ❓❓

2021-05-06 13:41:00 | 日記
G.Wの連休も終わり、本日から通常営業の寅です。。。

今日はこの休み中に届いていたW124 500Eの定番「ASR」警告灯点灯に纏わる相談のお話でもしましょうか。。。まだ現時点ではG.W前に発注した部品も届かず暇だから。。。(笑)

最近、旧車人気に乗じてなのかW124熱が微妙に再燃しているのかね。。。
特に最近500Eに纏わるお話が実に多いですな。。。
W124 500E/E500も初代モデルが1991y。。。既に30年選手のモデルだからしっかり手を入れないで乗る何ぞ絶対に有り得ない。
どんなに高価な部品だろうが何だろうが経年劣化の波はやって来る。
安全装置であっても其処は同じ。。。
但し、安全についてはメチャ厳しい欧州の毒な国の生産物ですから安全装置のシステムについては青天井のコストを掛けて設計、製作されているので確かに故障はし難く出来ている。
メルセデスの歴史の中で「レースは走る実験室だ。」と本田技研の創設者である本田宗一郎が言った位の製品開発の為のレースのステージで起きてしまった大事故。。。
しかし、メルセデスはレースから一時撤退後も「安全」に対する思想を曲げる事なく歴代の市場に送り出したメルセデスベンツ製の車両全てにその時代で最高の安全に対する技術を投入し続けて来ましたね。。。

先述の日本の本田技研も二輪レースでライバル他社と一分一秒を争う中で技術者が無理なエンジン設計を行なってしまい、レース中にエンジンがオーバーヒートして焼き付いてしまい後輪がロック❗️結果転倒事故を招きライダーが重傷を負うと言う事故が起きてしまった。。。
起きてしまった事故に宗一郎さんの激が飛んだ。「レースで一分一秒を縮める為にライダーを危険に晒すな❗️同じ一分一秒を縮めるのはお前ら技術屋の仕事だ❗️肝に銘じておけ‼️」

つまり、オートバイでも自動車でも、、、人を運ぶ輸送機器に限定しても事故を未然に防ぐ技術、起きてしまった事故から人命を守る技術は永遠のテーマであり、世界の輸送機器メーカーは現在まで時代の様々な先進技術を投じて参りました。。。

お話を戻しますと、、、30年前に当時の日本車じゃ珍しかったエアバッグを装備し、ABSを全車に標準装備としてハイパワー車には横滑り防止装置「ASR」を装備した時代。。。


☆画像はイメージです。。。

同じ頃に日本のトヨタは高級車の上級グレードにはABSが標準装備され、クラウンやセルシオに搭載されたV8 4Lの1UZ-FEエンジン搭載車にはトラクションコントロール「TRC」が標準装備と言った具合で、安全装置は高級車の上級グレードのみの装備品でしたねー。
バブル景気に沸いたあの頃の日本車は「安全」と言う技術はまだ欧州車には追い付いていないと言うのが正直なトコでしたねー。

さて、その毒車のASRも電気と機械が融合した技術でしたが当時の毒な国のメルセデスが自動車のシステムを機械や負圧、油圧を中心としたシステムから電気化へスイッチを図り様々なチャレンジが始まった時代の謂わば過渡期のシステムなので市場投入後に何が起きるかなどと言う経験も無ければ想定する題材も無い状態でのスタート製品でした。。。
設計上は予めシステムの中枢となる制御コンピュータが制御に必要な信号がセンサーやスイッチ類からリアルタイムに入力され、瞬時に出力された指示信号でアクチュエーター類が動作と言う一連の動作にコンマゼロ何秒のタイムラグがあればフェイルセーフと言う形でエラーになる設計。
コトに119系のハイパワーエンジンを搭載した個体なので横滑り防止装置のシステムトラブルとあってはそのままフルパワーで走れてしまっては危険極まりないので運転者のラフなアクセルワークによるスリップ事故防止の観点でフェイルセーフって事でメーターの速度計に在る⚠️ファンクションマークを点灯、「ASR」システムが停止している事を示す「ASR」警告灯を点灯。。。
更にスロットルコントロールもフェイルセーフとなってスロットルのニュートラルポジションを奥に移動させて取り敢えず車両が移動出来る程度の力位しか出ないスロットルコントロールに固定される。。。

と、まあメーカーも30年以上前の当時の未経験で手探りな実質ゼロスタート設計であるが故に設計側も何が弱点になるか見えていなかったってトコでしょうな。。。
致命的だったのは当時の毒な国のエコロジーへの転向が推進された時代に生まれた再生エゴ電線の多用。。。しかも熱を持つ悪環境な箇所、、、例えばメインハーネス、スロットルアクチュエーター等にそう言った危険因子の多用を行ってしまった事が正直敗因。。。
経年劣化によって其れ等のハーネスの被覆が割れて、溶けて果ては芯線同士がショートすると言う事象に発展すると言うトラブルまでは技術サイドで想定出来ていなかったと言うお話になります。。。

実際にこの時代のメルセデスにおいてはハーネス絡みの電気系統トラブルが実に多いですが、「ASR」につきましてはハーネス絡みが100%とは言い切れないのがややこしいトコなのですよ。。。
其処で診断機による診断が必須となりますが、、、診断機に表示されたエラー項目をキッチリ理解出来ていない車屋にかかるとそりゃあーもー大騒ぎさ❗️

例えば、、、スロットルアクチュエーターのハーネスショートであると、、、

N4/1、M16/1に絡むダブルエラーの類が表示されてればスロットルアクチュエーターは御愁傷様です。。。コレ基本。。。
M16/1スロアクとN4/1EFPコントロールの故障は何も弱点ハーネスで結ばれているのでハーネスのショートは必至です。。。

この場合の症状はイグニッションONで本来点灯保持となる⚠️ファンクションマークが一瞬点灯して消灯。エンジンスタート後、「ASR」警告灯点灯でフェイルセーフ、、、つまりパワー抑制状態。。。

☆画像はイメージです。

ところが、上記に絡むエラーが表示されず「S29/3アイドルスイッチ」或は「S29/3アイドルコンタクトスイッチ」とだけ表示されるケースがある。

この場合の症状の多くはイグニッションONで⚠️ファンクションマークは点灯状態。
セルを回してエンジンスタート。⚠️印と「ASR」は消灯で普通に走れる。。。
が、、、走行中にちょいと強めにアクセルペダルを踏むと「ASR」警告灯点灯でフェイルセーフ❗️
路肩に止まって一旦エンジン停止後再始動で再び⚠️印と「ASR」警告灯は再び消灯。。。
後はこの繰り返し。。。😎

コレを「S29/3」について理解出来ていない馬鹿な車屋に立派な診断機で診断させるとこのエラーを見て直ぐに「スロットルアクチュエーターだ‼️」と、決めつけた回答が出て来る事請け合い。。。
素人さんは店構えの立派な修理工場の言う事だからと信用してスロアク交換。。。

で、、、車が帰って来たが治ってない。。。😱

すると次は「コンピューターだ❗️」と、言われてコンピューター交換。。。

でも、、、治らない。。。😱😱

其処でオイラ的には「S29/3って何だかご存知でしょうか❓大将❗️」と、聞きたくなるがアイドルコンタクトスイッチの存在する位置さえも何か勘違いしとらんですかいな❓❓

まあ、診断機のDTCコードの解説記載も悪いのだが、、、
確かにアイドルスイッチってのはスロットルアクチュエーター内に組み込まれている。
但し、コレがトラブるとスロアクM16/1に絡むエラーとして診断機に表示されるMBコード006とか007とかが表示されるし、多くはハーネスショートなので054とか056辺りのM16/1自体のトラブルコードが出て来ると思う。

つまりS29/3ってのはスロットルアクチュエーターには存在せず、部品的には「ASRスイッチ」である訳で部品価格も1万円前後である。但し交換作業はチト大変。。。運転席の膝上カウルを外して運転席の足下に潜ってアクセルペダル外しの知恵の輪作業である。。。


☆画像はイメージです。

こんな話でウチに相談して中には他社さんで見切りをつけて実際に現車を持ち込んで来るユーザーさんや中古車屋さんが多いのです。。。
たまに直しきれなかったプライドの高い不勉強な修理工場のGさん整備士からの問合せには「ウチの診断機にはS29/3と出ていたので該当するアクセルペダル上に居るASRスイッチを交換しました。」と、だけ回答してそれ以上は論じるとブチ切れられかねて面倒臭い事この上無いので余計な事は喋りまへんです。はい。😝

コレで概ねS29/3問題は解決がつく訳ですが、フェイルセーフにならないASRシステムの停止による「ASR」警告灯点灯は診断機にも殆ど有り得ないエラーがメモリーされる事も多いのでモジュール本体の動作も視野に入れた方が解決は近いかな。。。

CAN通信のエラーだとかTNAシグナル信号のエラーだとか、、、モジュール自体のエラーだったりする事も多いので其処はこの時代のシステムを熟知し、ダイヤグラムが頭に入っている職人さんに診て貰った方が良いですね。

さて、これから入庫診断の対応なので今日はココまでにしときます。。。では。