今月の薬師詣では流山市の西深井というところにある浄観寺を訪ねました。
先月の薬師詣ではつくば市を歩きましたが、帰りだけ一時間に一本しかないバスに乗らなければならないという予定であったので、逃してはならじと思い、グーグルマップを使って、行程をシミュレーションしたのでした。それがまんまと当たって、帰りのバス停に着いたのはバスがくるわずか数分前というピタリ賞! そのことに味をしめたのか、今回もシミュレーションを試みて、埼玉県は上尾市から蓮田市にかけての薬師堂巡りを考えたのでした。
ところが、まだ六月初旬だというのに、今日の気温は30度を超すかもしれないという予想だったので、そんな猛暑の中を延々と歩いたのでは、老齢に毒、というか、ヘタをすれば……とも考え、あまり歩かずに済む薬師詣でをすることにしたのです。その結果が隣市の流山市訪問。
出かける前に地元の慶林寺に参拝して、お賽銭をあげて行きます。
今日、本堂横に掲げられていた標語です。じつは数日前から同じです。
柏から東武野田線に乗り、運河駅で降りました。2010年、利根運河を見にきたとき、この駅で乗り降りしていますが、2013年に新駅舎に建て替えられて、コンコースがすっかりきれいになっていたので、ちょっと愕きました。前にきたとき、帰りの電車に乗るためには古くて薄暗い地下道を歩かなければならなかったのです。
駅の西口に出ると、流山街道です。
街道沿いに駒形神社があったので、立ち寄りました。ふだんは神社があっても立ち寄ることはあまりありません。しかし、今日は訪ねるお寺が二か寺だけという予定なので、それだけでは載せる画像も尠なく、寂しいと思って足を止めました。私の神道への関心はそんな程度です。
祭神は誉田別命。応永年間(1394年-1428年)の創建。
駒形神社の先にセブンイレブンがあったので、飲料を仕込みました。その店を出て、すぐ先を右折。いよいよ暑くなりそうな様子になっていたのに、木陰というものがまったくない道でした。
運河駅から二十六分で浄観寺に着きました。真言宗豊山派の寺院です。
江戸時代初期の創建と伝えられているだけで、確かな年代はわかっていないようです。
本堂左に薬師堂がありました。お賽銭をあげて鈴緒を揺らします。
本堂左にあった、深井小学校跡地の碑です。
深井小学校が創設されたのは明治六年(1873年)で、この碑にもそのように彫られていますが、正しくはこの場所ではなく、少し離れたところ。その年のうちに浄観寺に移転したのでした。明治二十二年には遅れて創設された南小学校と合併。新川尋常小学校となったので、「深井」という名は短命に終わりました。
流山市の保存樹木・イチョウ(公孫樹)。流山市の説明板がありましたが、樹高、樹齢とも記載がありません。
浄観寺をあとにしてすぐ三社大神があったので、ここでもちょっと立ち寄り。
祭神は伊耶那美命、大宮比咩命、蛟蝄比咩命。創建は万治二年(1659年)。
浄観寺から二十一分で福性寺に着きました。境内の石碑には「開創縁起は不詳。正保年間(1645年-48年)中興とす。本尊は大日如来」と記されています。
このお寺を訪れるのは二度目です。
最初に訪れたのは十年前の二月。地元・松戸の七福神巡りを終えたあと、流山七福神巡りも始めて、その最後に毘沙門天を祀るこのお寺を訪ねたのでした。
「十年一昔」といいますが、まさに十年経つとすっかり変わってしまいます。といっても、恐らくお寺のほうは変わっていないので、変わったというか、失われたのは私の記憶。
憶えているのはこの青銅の毘沙門天を見上げたということだけで、山門の様子、境内の様子、伽藍の配置など、まったく憶えがありません。
本堂への参道を挟んで聳える、左にムクロジ(無患子・画像上)と右・イチョウ(公孫樹)の大木。この二本の樹があったという記憶はありましたが、私の記憶の中ではもっと寄り添って聳えていました。
帰りは一つ柏寄りの江戸川台駅から。福性寺から二十分で到着。
この駅を利用したのは前に福性寺に参拝したときの行き帰りでしたから、やはり十年前。運河駅は新しい駅舎になっているので、記憶にないのは当然ですが、この駅の駅前ロータリーはうっすらと記憶に残っています。
さらに、画像の右にある階段を上ると改札階で、上り切るとヴィ・ド・フランスというパン屋さん兼喫茶店がありますが、十年前はそこで寛いだということもハッキリと憶えています。ただ、コーヒーを飲んだだけではなく、何かを食べたような気がしているのですが、それがなんであったのか、いまとなっては記憶の遥か彼方です。
→この日歩いたところ。
※この日の余禄:
薬師詣でをすると、いつも何かしら佳きことがありますが、この日に限って逆のことがありました。それは行きに柏駅で東武線に乗り換えたときのことです。発車時間になっても電車は動かない。やがて車内アナウンスがあって、車内点検をしなければならないから、全員降りろというのです。
で、降りて並び直し。
そのうち、隣のホームに停まっていた次発の電車が先に出発するような雰囲気になって、みんなクルリと回れ右です。
降りろ、という理由の説明はないまま、次発の電車が出発。次発も数分遅れていました。
今回は目的の駅に着いたあとは歩きでしたから、多少遅れても支障はありませんでしたが、たまに、降りた先はバス、それも一時間に一本とか一日に数本というような薬師詣でがあります。そんなときは電車の遅延で薬師詣でそのものを諦めるということにもなりかねません。そういう意味で、バスに乗らなくてもいいコースを選んでいたことはお薬師さん詣での余禄かなと感じた次第です。