三~四日前、本土寺の参道のあちこちで彼岸花がニョキニョキと茎を伸ばしたと思ったら、二日も経たぬうちに次々と花を開きました。去年より四~五日早いようです。
彼岸花の咲く季節がきたら行こうと思っていたところがあります。
松戸市常盤平にある祖光院というお寺です。今年の一月、偶然通りがかって、そこが彼岸花の名所だと知りました。
同じ松戸市内なのですが、我が庵から行くのには電車を二度も乗り換えなければなりません。見に行くかと思ってから、しばし迷ってしまうのは、本土寺で咲いたからといって、祖光院でも咲いているのかどうか、ということです。今日行って咲いていなかったから、数日後にもう一度……というほど近くはないのです。
一口に彼岸花といっても、種類が異なるのか、別に異なる何かがあるのか。本土寺参道からさほど遠くない我が庭にある彼岸花はまだ土の中で眠っていて、顔すら出していません。去年もそうでしたが、芽吹きと開花は本土寺参道のものより一週間近く遅いのです。
なぜ一週間もの差が出るのか。日当たりの点でいえば、我が庭のほうが断然よいのです。「さてさて」と首をひねってみたものの、素人が首をひねったところで何もわからないし、ぼやぼやしているうちに、台風がやってくるらしいということになりました。
で、咲いているのかどうかもわからないのに、急いで見に行かなくてはならなくなりました。
北小金から常磐線に一駅だけ乗って、新松戸で武蔵野線に乗り換え。また一駅だけ乗って新八柱で新京成電鉄に乗り換え。また一駅だけ乗ると常盤平です。
電車に乗っていた時間はものの八~九分。しかし所要時間は二十分以上もかかりました。
祖光院に行く前に熊野神社に寄り道をしました。ここには梛(ナギ)の木があるのです。もしかしたら実でも落っこちていないかと期待したのですが、それらしきものはありませんでした。
梛はマキ科の常緑高木で、樹高は20メートルにも達します。
和歌山県にある熊野速玉大社には平重盛が植えたといわれる樹齢千年の巨木があるそうです。重盛が熊野詣でをしたのは亡くなる年ですから、治承三年(1179年)のこと。
熊野神社から祖光院までは徒歩五分。
入口にはこんな立て看板があったので、黒山の人だかりか、と思ったのですが……。
見頃には三~四日早かったようです。
自慢できるようなカメラでもなし、腕でもありませんが、撮った何枚かをスライドショーのように並べます。
最後の画像の手前三本は白ではなくピンクなのですが、光の加減かカメラのせいか、白くしか写せませんでした。
こちらは本当の白。
黄色の彼岸花だけは別の場所にありました。他の花と較べると花期が早いようで、花期はすでに終わりかけでした。
祖光院本堂です。
祖光院は我が宗門(曹洞宗)のお寺なので、歴住の墓所を捜して参拝します。
今年の初め、所用があって常盤平にきたことがあります。その用向き先で、近くにハーブ園があると聞いて訪ねました。真冬ですから、ハーブも他の花々もないのを承知で覗いたのですが、その帰りに偶然墓所を見かけて足を踏み入れたのがこの祖光院だったのです。
名前も知らず、我が宗門の寺だとも知らず、彼岸花で高名な寺院だと知ったのも、境内に入って掲示板を見てからのことでした。
そして、さらに駅へ向かって歩くうちに見つけたのが先の熊野神社でした。
ちょっと覗かせてもらいましょうと思って鳥居の前に立ったとき、背の高い木があるのを見て、なんの樹だろうと近づいてみたら、頼朝と政子を結びつけた梛だったというわけです。
彼岸花を見ることができたのも、梛の木を見ることができたのも、ここにハーブ園があったおかげ ― そう思って、最後にハーブ園へ行くことにしました。
ハーブ園は松戸市営金ヶ作育苗圃の中にあります。
休日でなければ係員がいるとのことでしたが(この日は敬老の日でした)、いないので、勝手にお邪魔して、勝手に見て廻ります。
ベチバー(真っ直ぐ伸びているほう・イネ科)とレモングラス(垂れているほう・イネ科)。
ベチバーの葉と根から採れる精油はシャネル・ナンバーファイブのベースノートに使われています。
ベトニー(上・シソ科)とコモンラベンダー(下・シソ科)。
ラズベリー(上・バラ科)とチコリ(下・キク科)。
キャットミント(上・シソ科)とチャイブ(下・ユリ科)。
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