細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

展開のコツ

2017-09-17 16:14:53 | 研究のこと

長い出張ラッシュが一段落しました。いろんな方々と出会い、再会し、様々なことを学び、感じました。少しずつ今後にフィードバックしていきます。

一つ、一週間くらい前から書こうと思っていたことがあるのですが、時間が取れませんでした。ここに文章にまとめます。9/11の土木学会全国大会の研究討論会(コンクリート構造物の品質・耐久性確保マネジメント)で会場から出た質問とも関連します。

山口県発のコンクリート構造物の品質確保システムは、東北の復興道路での品質・耐久性確保システムへと展開し、その後、様々な地域・組織に伝播しようとしています。これら二つは成功事例なのだろうけど、新しくこういう取組みを地域に実装する際のコツのようなものはあるか、という趣旨の質問でした。

会場では私が答えましたが、その答えも含める形で、ここにまとめておきます。

私たちは、山口システムに、相当に根源的な本質が含まれている、と感じてきました。だから、その本質を踏まえて様々な取るべき行動を重ねているうちに、自然に東北システムへと発展した、と思っています。

コンクリート構造物のひび割れが抑制され、品質が向上する、という事実以外に、このシステムはもっと根源的なものをベースに置いています。少なくとも私はそう思っています。

だから、この取組みの本質に共鳴した方々は、心を揺さぶられ、行動を起こすのだと思います。

コツとしては、種々のプレーヤーが協働し、でき得るありとあらゆる行動を実践する、ということに尽きます。

多くの仲間がいないと、大きなうねりにはなりません。一人が何かの作戦を立てて、作戦に基づいて行動する、というようなことではうねりにはなりません。

自律分散、というキーワードも適切かと思います。とにかく、ありとあらゆる努力を重ねる。そして連携する。

土木学会に重点研究課題委員会を設立する、という戦術を誰かが立てて(私ではありません)、それを実践し(これは私)、成果を挙げる。そういう行動もあるし、国土交通大臣に提言し(思いついたのは岡村甫先生)、ボトムアップ作戦のみならずトップダウン作戦も合わせて実施するようにする、という行動もあろうかと思います。

もっとミクロな場面では、九州地方整備局の研修会(我々が講師で参加するのは3年目)で現場での目視評価法の研修があり、その場に九州地整の品質確保の試行工事(トンネル)の監督官が複数おられたので、彼らに声をかけて、現場を訪問する約束を8/29に取り付けました。宮崎の日南の現場には9/12に、阿蘇の現場には9/13に訪問しました。ワンチャンスが来れば嗅覚で捉えて絶対に逃さない。これも行動です。

マクロ、メゾ、ミクロ、すべての行動を、様々なプレーヤーが一つのベクトルに向かって重ねることで、偶然(セレンディピティ)も作用して、展開されていきます。私もすでに何度も偶然を体験してきました。

コツ、ではないですね。毎日を少しでも誠実に生きること、でしょうか。感性も重要かと思います。

本日は3連休の中日ですが、明日のコンサルタントでの実験(多数の供試体作製)のために南三陸から東京に前日入りする友人とともに夕食です。高耐久床版を少しでも社会実装するための夕食、です。おじさん二人の秋葉原での夕食ですが、楽しみです。