細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

経験

2014-06-19 17:18:38 | 人生論

池谷裕二さん・糸井重里さんの「海馬」によれば、人間が起きている間に収受した情報について、寝ている間に脳の海馬が要・不要を判断して仕分けし、記憶としてストックしていくそうです。しっかりと寝ることも、人間のパフォーマンスを向上させる上で非常に重要。

一方で、起きている間に、経験してきたこと、ストックされた記憶などを呼び起こしてつなぎ合わせて思考することも非常に重要。

今朝は、かなり久しぶりに研究所のオフィスに通勤しました。もちろん、長期出張や子どもたちのお世話があったためです。通勤には1時間ちょっとかかりますが、その間に様々なことを考えました。昨日まで数日間は、自宅その他でいろいろなことをしていましたがそのような思考をするには至りませんでした。やはり通勤時間中の時間は自分にとっては考えごとをするために特別な時間のようです。そして、今はオフィスにいますが、その時間ももちろん特別。

改めて、すさまじい時代に生きているのだと感じます。

産業革命はもちろんのこと、交通革命(航空機や新幹線などの登場)、化学革命(石油製品の登場)、情報革命などが次々と起こり、我々の生活、人生は激変しています。

池田尚治先生が、7~8年くらい前に私たち若手に講演をしてくださったとき、「現代の人間は、昔の人間の何人分もの人生を経験する。多い人だと10人以上くらいの経験をする。」とおっしゃっていました。まさにそのように思います。

しかし、だからと言って今の時代が幸せとは限りません。何事においても、全体像をつかむのが非常に困難になっていると思います。よく言われることですが、昔の、自分の村から一歩も出たことのないようなおばあちゃんの方が、今の我々のほとんどよりも、人生とはどういうものか、人間社会とはどういうものか、について深く理解されていたのでしょう。特に大都会においては個人が砂粒のような存在になってきており、自分自身の存在意義を認識することすらも難しく、家族のあり方、所属組織のあり方、国家のあり方など、全体像について適切な認識を持つことは至難の業でしょうか。いつの時代も修身斉家だと思いますが、自らを律することが大変に困難な時代になってしまっています。

私は、皆様に支えられて、かなり多くの経験を積ませていただいていると思います。心から感謝しております。

非常に多くの方々とコミュニケーションさせていただいています。東日本大震災は悲劇的なできごとですが、東北の力強い復興は国家的な重要課題であり、微力ながらも関わらせていただいており、その過程でも大変に多くのことを学ばせていただいています。フランスに滞在する期間にも、非常に多くのことを学び、感じ、考えさせていただいていると感じます。

すべての経験が重要であり、自身の血肉になっていきます。全体像をつかみにくい世の中で、少しでも全体像が見えてきている人間として、周囲の特に若い人たちに自身の経験を伝えていくことは、教育を職業とする私のとても重要なミッションであると思っています。

昨夜も、長女は帰宅後必死に宿題をし(とても宿題の多い先生なので)、スズキと野菜のグリルの夕食を娘二人とおいしくいただいた後、三人で家の掃除を頑張り、寝る準備を整えてから、ドリフのコントを見ました。

長女も次女もドリフのコントが大好きで、志村けんの大ファンです。今の私が見ても、笑ってしまいます。

これだけすさまじい時代だと、一所懸命生きることも大事なのですが、腹の底から笑うこともとても大切です。真面目一本やりではどうしても息が詰まります。

私も東北の現場、工事事務所、地方整備局等で講演、レクチャーをする機会はたくさんありますが、基本的にはネタのオンパレードです。真面目に、本音ばかり、大事なことばかりを語っているのですが、笑いも大事。日本人は本来はお祭り好きの人種なのに、今のすさまじい時代に抑圧されて鬱憤が溜まりすぎています。笑いとともに解放し、日本人本来の力を発揮する場を整えなければならない。

今朝のメトロの中では、私自身のこれからの役割の重さにひしひしと闘志を感じるとともに、昨夜のドリフのコントで子どもたちとケタケタと笑うことの重要性も思っていました。

どんなことが起こってもおかしくない時代が始まっていると思いますが、どんな状況になろうとも、明るく前進していければと思います。 


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