細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

理科の防災授業

2016-02-11 09:02:29 | 研究のこと

10日は鞆の浦へ。今年度、二つ目の、現実の「教科」での防災授業を学校の先生と連携して行う日でした。一つ目は、12月に実施した国語での防災新聞プロジェクト

理科では、担当の池原先生と相談した結果、土砂災害を軸に行くことにしました。鞆の浦は土砂災害の高いリスクを抱えていることもありますし、池原先生の事前の調査により、この生徒たちは実験が大好きなのですが、学んだことが実社会にどう活かされるのか分かっていない、というデータがあり、これも踏まえた授業が可能と思ったからです。

写真等は後日、補充します。

相当に盛り沢山な50分となりました。

理科室で、スクリーンを使って、鞆の地質について簡単に説明した後、土砂災害の件数や被害がいかに多いか、日本全国の中での広島の位置付けなどを「実験で学ぶ 土砂災害」の中のデータも見せながら解説。土木学会から発刊されているこの本は非常に秀逸です。

 

その後、がけ崩れと土石流の実験を行いました。

私の指導学生の上山君が事前に準備をした、がけ崩れの模型を使って、生徒たちがナットで崩れやすいがけを作り、実際に重力を作用させてがけ崩れのメカニズムを学びます。最表層部のナットにマジックで色を塗ることにより、崩れ方をよく観察するとさらにメカニズムがよく分かります。風化や、重力、摩擦などについても触れました。

 

次は、がけの補強です。3種類の補強方法を試したので、3つの班で行いました。のり面をコンクリートで固めたイメージの補強方法、表面の補強と補強筋による補強、アンカーによる補強の3種類です。下の写真は、池原先生と生徒たちが、アンカー工法により補強している様子です。もちろん、重力を作用させても崩れず、そのメカニズムについても解説しました。3つの班が3つの模型実験をすべて経験できればベストでしたが、時間が足りず、二つずつを経験しました。アンカー工法による補強は、みんなが見ました。

 

次に、土石流の実験です。(画像は後日補充)

上山君が頑張って事前準備、リハーサルをやりました。2mを超える雨どいを新幹線に持ち込むことを拒絶され、急遽、鞆中学校にあったそうめん流しの竹を渓流の代わりに使う、というアクロバティックな展開でしたが、うまく行きました。砂防ダムの有無で家屋への被害が異なること、土石流の形態がどのように変化するのかも、近くで観察することができました。

土石流の実験においては、実験の面白さ、失敗を恐れないこと、失敗を笑わないこと、失敗しても成功するまでやること、などの考え方を教えました。

そして最後は、校庭の周囲にある土砂災害を防ぐための施設を解説しながら見学しました。(画像は後日補充)

校庭の周りにいくつもあります。砂防堰堤もあるし、のり型枠による補強もあるし、アンカー工法と思われるノンフレーム工法(自然に優しい)もあり、説明のしがいがありました。また、土石流の生じる谷の地形も皆でしっかりと確認しました。

 

非常に実験的な授業でしたが、とても良い内容になったかと思います。

また、この授業は何回かのシリーズのうちの一コマで、防災を取り込んだ授業の発展性・可能性の大きさに、池原先生が気付いてくれたことがとても大きいと思います。

ぜひぜひ次のチャレンジをしましょう、ということで、熱血教師たちの懇親会も極めて盛り上がりました。

私たちのやろうとしている防災の研究は、小さな灯かもしれませんが、私の中ではとてもとても大切なチャレンジです。今後の展開が楽しみです。 


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