シャープ & ふらっと

半音上がって半音下がる。 それが楽しい、美しい。
思ったこと、感じたことはナチュラルに。  writer カノン

エオリアンハープ

2007-05-12 15:02:07 | 音楽を聴く
             
             

「エオリアンハープ」

ショパン・エチュード、作品25-1 変イ長調
この曲の別名である。

しかし、ショパン自らが名づけたのではない。

シューマンが、ショパンのこの演奏を聞いた後、
「エオリアンハープを聞いているようだ」と
言ったことに由来する。


エオリアン・ハープというのは、楽器の一つである。
胴に6本以上の弦を張ったもので、
風の通る場所に置くと、
それぞれの弦が、風の強さによって異なる振動をして、
さまざまな音を奏でる、というものだ。

しかし、エオリアンハープという楽器は、
そこらに存在するわけではない。
国内では、浜松市の楽器博物館にある他、
音大の資料館等に、いくつかあるだけらしい。

楽器ではない、と唱える人もいる。
自然の力で奏でられるものは、
楽器という定義から外れる、というものだ。

実際に、この音色を聴いた人は少ないと思うが、
それほど美しい音色ではないようだ。
しかし、
自然の、風の力で鳴るというメロディは、
おそらく、心に響くものだと思う。


ショパンのこの曲は、まさに風の中のハープだ。
左手が奏でる風のささやきと、
右手が奏でるハープのような調べ。
ピアノの美しさをちょっぴり超えたような旋律だ。

シューマンは、
本当の美しいエオリアン・ハープを、
風の中で聴いたのかもしれない。


5月の風の中。
一度聴いてみたいと思う。
幻のような、エオリアン・ハープのささやきを・・・。