シャープ & ふらっと

半音上がって半音下がる。 それが楽しい、美しい。
思ったこと、感じたことはナチュラルに。  writer カノン

先生のクリスマスカード

2007-12-21 16:35:11 | 人とのつながり
Merry Christmas Ⅱ

私は、小学生の時、
近くの英会話教室に通っていた。

といっても、今あちこちにあるような、
大手の、外人講師と話すといった教室ではない。
日本人の、若い女の先生と、
10人くらいの小学生で、
アットホームに会話をするような、そんな教室だった。


ある年のクリスマス。
教室では、
授業をせず、クリスマスパーティーとし、
一人一つずつ、プレゼントを持参することになっていた。

ところが、
その話が出た日、私は風邪で欠席していた。
先生も、10人そこらの生徒だし、
特にお知らせも作らず、口頭で伝えただけだった。

その時、私にも伝えたと思っていたのだろう。

パーティーの日、
私は、いつも通りの授業だと思い、
いつもの教科書を持って、教室に行った。

妙に華やかな教室。
机も出ておらず、
床の上に皆、思い思いに座っている。

『それじゃ、みんなプレゼントを出してね。
 英語の歌を歌いながら、プレゼントを回しましょう!』


私はそこで初めて、
その日がクリスマスパーティーで、
プレゼントを持参してくることを知った。

皆、「持って来なかったのかよー」と言う。
聞いていなかったことを先生に言うと、
先生は謝った。
『ごめんなさいね!連絡してなかったわね!』

私は、子供心に少し白けた感じになり、
先生に「僕、帰ります」と言った。

すると先生は、
『みんな、ちょっとだけ待ってね。
 んー・・、プリーズ・ウェイト・10ミニッツ!』

10分だけ待って。

その間先生は、
教室にあった画用紙に大きな顔を書き、
色を塗り、英語の言葉を書き入れた。
そして、器用に折りたたみ・・

あっという間に、クリスマスカードを作成した。


先生のカードを加えて、
プレゼント交換は始まった。
歌を歌いながら、
止まったところのプレゼントが、その子のもの。

そして・・

私は、先生のカードが当たった。

先生は私に、開口一番 『カノンくん、ごめんなさいねー』

しかし私は、とても嬉しかった。
先生の、手作りのカード。
どこにもない、世界でただひとつのもの。

私が忘れたために生まれたプレゼントが、
奇しくも私の手に届いた。

帰り際、「先生ありがとう」と言ったら、
『カノンくんに当たって良かった』と笑ってくれた。


カードの、英語の言葉は結局わからなかった。
カードも、どこかに行ってしまった。
しかし、その後大人になり、
全国の方と、文通を始めた私。

ペンフレンドさんに、
クリスマスカードだけは、毎年送り続けた。
それは、あの時の先生の記憶が、
ずっと残っていたからだと思っている。

あのカードはもしかしたら、
私の人生で、
一番嬉しいプレゼントだったかもしれない。



先生のカード、当たって良かったです。
クリスマスになると、
カードを贈りたい、って気持ちになるんですから。
大人になった今も・・。

先生、どうもありがとう。
今年も、メリー・クリスマス!

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