超人日記・作文

俳句を中心に、短歌や随筆も登場します。

#俳句・川柳ブログ 

書を捨てよ町へ出ようを見る

2019-03-17 13:23:27 | 無題
映画「書を捨てよ町へ出よう」を見る。18歳ぐらいの田舎の少年が津軽弁で観客に語りかける。主人公の私、佐々木英明演ずる私は若い頃の寺山に似ている。グリコでバイトしていたけど一粒300メートルとは行かなかった、ボクサー志願も失敗し、人力飛行機で飛ぶのも挫折した…。ボクシングジムのリング、サンドバッグが映る。人力飛行機で飛ぼうとする映像。主人公の自己紹介。新宿区戸塚のアパート住まい。線路や人力飛行機やマヤコフスキーの詩の落書き。主人公は大学のサッカー部に出入りしている。昔は人間の頭蓋骨を蹴っていたという。アメリカの国旗を焼く映像。佐藤栄作のお面を被る道化。一服やるヒッピー。町にサンドバッグを吊るして殴ろうと呼びかける若者。娼館で筆おろし。般若心経が鳴り響く。シーツにお経が書いてある。場面代わって、自由の敵に自由を許すな、と石灰で校庭に書いてある。落書きが随所に出てくる。出会い掲示板で話す人が代わる代わる映る。サッカー部員がテープレコーダーで東北弁を聞く。アメコミが映る。母さん僕は帰らないという歌。うさぎと遊ぶ妹。うさぎを失っておかしくなる妹。サッカー部員の生贄になる妹。海辺でチャンバラの場面。高倉健への憧れ。吃音の悩みの語り。運命の動機も吃音ではないか?舞踏のシーンが入る。祖母を養老院に入れたがる父。家族の肖像写真。妹と洋食を食べに行く。サッカー部のОB、進歩的中年の退廃的暮らし。男娼美輪明宏の入浴。線路をコートで歩く場面多い。町は開かれた書物である、余白は無限にあるという落書き。親を自立させて親と手を切りたいと少年が言う。歩行者天国で通行人に絡む少年。妹が進歩的中年に遊ばれている。映画が終わると白いスクリーンだけが残る。俺には国がない、世界がない、故郷がない、俺にあるのは写真だけ。コーラの瓶から出てくることもできない日本よ。マッチ擦るつかのま海に霧深し身捨つるほどの祖国はありや。刑事に捕まって怒りで叫ぶ少年。これで映画は終わりだ、灯りがつけば映画は終わりだ。部屋に帰ると人力飛行機の夢を見てしまう。結局墜落してしまう。嘘の嘘の隙間から俺の青い空が見える。もう映画のなかには帰っていけないな。撮影時間が28日の世界。さよなら映画、さよなら…スタッフの顔の接写。完。
一言で言うと怒れる若者の叫びの映画、パンクである。

雑踏や線路で急に走り出す落ちるしかない夢の飛行機

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ヘブラーのピアノ他を味わう

2019-03-17 09:15:17 | 無題
この数日、イングリット・ヘブラーの晩年のモーツァルト・ピアノソナタ全集を何度も聞く。ヘブラーの良さがわかってきた。タッチが柔らかく、割と折り目正しく、速い曲はテンポよく、遅い曲は味わい深く弾く。思ったより、全体としては遅くない。アラウ爺さんと比べてみると、アラウは一音一音噛みしめるようにゆっくりと瞑想的に弾く。ヘブラーはリリカルだが可憐なところがあり、低音が弱い。割とさらりと弾く。その他最近のピアニストの廉価盤、ジャン・ミュラーのベートーヴェンのピアノソナタ・ライブ全集も聞く。ジャン・ミュラー、草食系で、親しみ易く、身軽な演奏で、心がこもっていて好演奏だった。拍手が入っているのもいいが、拍手もあっさりめ。渋谷のレコファンからナクソス社のワルター編曲四手のピアノ版マーラー復活届く。ピアノ版なのに78分もある。こんなに長いピアノ曲もそうそうない。78分間、手に汗握る迫力の充実演奏。復活の最期にちゃんと高揚して終わるから不思議。マーラーのピアノ版、いろいろ集めているが、4番5番8番、9番は見かけない。復活のピアノ版は小規模コーラス付きも感動だった。今はデッカのコレクターズ・エディションの、イングリット・ヘブラー演奏のシューベルト・ピアノソナタと即興曲と楽興の時の7枚組CDを聞いている。これもタッチが柔らかく、中庸のテンポで丁寧に弾いていて心地よい。数か月分のCDを東京のディスクユニオンめぐりとその拾遺(買えなかったのをそろえる)で買い尽くしてしまった。持っているCDを何度も聞いて、演奏の深みに繰り返し触れたい。
ゆったりと時間の奥に連れてゆくピアノソナタの指に漂う

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