映画「書を捨てよ町へ出よう」を見る。18歳ぐらいの田舎の少年が津軽弁で観客に語りかける。主人公の私、佐々木英明演ずる私は若い頃の寺山に似ている。グリコでバイトしていたけど一粒300メートルとは行かなかった、ボクサー志願も失敗し、人力飛行機で飛ぶのも挫折した…。ボクシングジムのリング、サンドバッグが映る。人力飛行機で飛ぼうとする映像。主人公の自己紹介。新宿区戸塚のアパート住まい。線路や人力飛行機やマヤコフスキーの詩の落書き。主人公は大学のサッカー部に出入りしている。昔は人間の頭蓋骨を蹴っていたという。アメリカの国旗を焼く映像。佐藤栄作のお面を被る道化。一服やるヒッピー。町にサンドバッグを吊るして殴ろうと呼びかける若者。娼館で筆おろし。般若心経が鳴り響く。シーツにお経が書いてある。場面代わって、自由の敵に自由を許すな、と石灰で校庭に書いてある。落書きが随所に出てくる。出会い掲示板で話す人が代わる代わる映る。サッカー部員がテープレコーダーで東北弁を聞く。アメコミが映る。母さん僕は帰らないという歌。うさぎと遊ぶ妹。うさぎを失っておかしくなる妹。サッカー部員の生贄になる妹。海辺でチャンバラの場面。高倉健への憧れ。吃音の悩みの語り。運命の動機も吃音ではないか?舞踏のシーンが入る。祖母を養老院に入れたがる父。家族の肖像写真。妹と洋食を食べに行く。サッカー部のОB、進歩的中年の退廃的暮らし。男娼美輪明宏の入浴。線路をコートで歩く場面多い。町は開かれた書物である、余白は無限にあるという落書き。親を自立させて親と手を切りたいと少年が言う。歩行者天国で通行人に絡む少年。妹が進歩的中年に遊ばれている。映画が終わると白いスクリーンだけが残る。俺には国がない、世界がない、故郷がない、俺にあるのは写真だけ。コーラの瓶から出てくることもできない日本よ。マッチ擦るつかのま海に霧深し身捨つるほどの祖国はありや。刑事に捕まって怒りで叫ぶ少年。これで映画は終わりだ、灯りがつけば映画は終わりだ。部屋に帰ると人力飛行機の夢を見てしまう。結局墜落してしまう。嘘の嘘の隙間から俺の青い空が見える。もう映画のなかには帰っていけないな。撮影時間が28日の世界。さよなら映画、さよなら…スタッフの顔の接写。完。
一言で言うと怒れる若者の叫びの映画、パンクである。
雑踏や線路で急に走り出す落ちるしかない夢の飛行機
一言で言うと怒れる若者の叫びの映画、パンクである。
雑踏や線路で急に走り出す落ちるしかない夢の飛行機