猫五郎の写真日記

なんか、写真よりも文章がメインになってます。しかも、くどい。要改善。でもなかなかねぇ。

痛みってどんな感じ?

2022-08-05 16:24:07 | 健康・身体

右足の小指をぶつけました。

 

アザが小指だけでなく、中指まで広がり、腫れあがりました。

現在、8日目です。

今まで足の指をそらせても、右足の足背の伸筋腱がまったく浮き上がりませんでしたが、本日、うっすらと伸筋腱を確認できるまで腫れが引いてきました(左右差はまだ明白ですが。。。)。

おかげですでに10日間以上ランニングできてません (T_T)

 

 

それはともかく、です。

足の小指をぶつけた瞬間、思い出した場面がありました。

最近みたNHKのヒューマニエンス「痛み」です。

足の小指をぶつけて痛がる場面が出てきました。

 

複数の人で、同じ刺激に対する脳の活動をfMRIで比較すると、触られた刺激に対する脳活動の個人差が認められないのに対して、痛み刺激では脳の活動に大きな個人差が認められるとのこと。

 

感覚は神経を介して電気信号として脳に伝わる。

つまり、脳が電気信号を受け取って、その感覚がなんであるかを解釈している。

同じ刺激であれば、脳に伝わる電気信号は大きく変わらないはずです。

にもかかわらず、痛みだけは、脳活動に大きな個人差が生じる。

これは面白い。

 

ヒューマニエンスの中で出てきた人は、足の小指をぶつけて悶絶してました。

 

今回、僕も足の小指をぶつけました。

瞬間、ヒューマニエンスのその場面を思い出しました。

観察好機!

小指の衝撃を認識してこれは痛いに違いないと思い、痛みの津波が襲い掛かってくるぞ、と思い、うずくまりました。

「イッッテぇー!」と叫ぼうかと思いましたが、「お?これは叫ぶほどではないな」、と思い直しました。

が、半分反射的に「痛ッ!」と言いました。

この瞬間までに脳で認識したのは、「右足の小指にとてつもない衝撃を受けた」ということであって、実は、それほど「痛み」は感じませんでした。

確かに「不快」な感覚ではあったし、「ただ事ではない」と感じたのですが「痛み」かどうかは確信が生まれてませんでした。

小指が外側に大きく過伸展したのを感じました。

皮膚が引き裂かれる過程の感覚が感じられましたが、引き裂かれるに至りませんでした。

ぶつけた後はジンジンした感触が伝わってきました。

 

指を観察すると、とりあえず変な方向を向いてませんでした。

指の曲げ伸ばしがなんとかできました。

荷重をかけると、通常は感じることがない不快なジンジンした感覚が増強しましたが、歩行ができそうでした。

なので、そのまま予定通り、子どもに半田付けを教えました。

が、1時間ほどで大きく腫れあがり、立っているのがつらくなりました。

そこから4日間、ほどんど足を軽く挙上して本を読んで過ごすことになったのでした。。。

 

 

痛みの定義(IASP国際疼痛学会 2020年定義)

組織損傷が実際に起こった時、あるいは起こりそうな時に付随する不快な感覚および情動体験、あるいはそれに似た不快な感覚および情動体験。

An unpleasant sensory and emotional experience associated with, or resembling that associated with, actual or potential tissue damage.

 

わかるような、わからないような。

今回改めて思ったのは、「痛み」ってどんな感じだろうか?ということです。

「痛み」という呼び名を与えて呼んでいるものの、痛みという客観的な感覚があるわけではなさそう。

ぶつけた痛みと、擦り傷の痛みは違う気がする。

皮膚を押される感覚は、例えば何ニュートンで押したらこんな感じとか、定量的に表現できるかもしれない。

温度についても、40℃はこんな感じ、-3℃はこんな感じ、と皮膚に当てて比較することができるし、人によって多少の違いはあれど、大筋、共通認識が得られるのではないでしょうか。

痛みについても、ダメージが同じなら、脳への入力は同じはずですが、痛みの程度や「痛がり方」が人によって違いが出るのはわかる。

「痛みに強い人」と「痛がりな人」がいるのは日常的に感じる。

 

 

ヒューマニエンスでは、痛みを「生命が最も早く獲得した感覚」であると紹介していました。

(以下、青文字はヒューマニエンスの番組から。正確ではないかも)

痛みのシステムは、ハエとヒトを比べても非常によく似ている。
なぜ変わっていないかというと、生き物にとって必要だから。
とても大事だから変える必要がない。

ショウジョウバエが痛いと感じているかはわからない。
しかし、危険なシグナルを脳に伝えるシステムはこの何億年 ほぼ完全に保存されている。

 

続いて先天性無痛症の患者が登場。

体の損傷やダメージを検出して脳に伝える神経が障害される病態

「私の中の信号(痛み)は赤と青しかない。黄色がない。赤信号に突然入ってしまう。他の人と比較して怪我の度合いが大きくなる。」

痛みはつらい経験。
でも、痛みを感じられないことは、もっとつらいこと。

痛みは大切な黄色信号。

命を守るための大切なメッセージ。

 

足の小指をぶつける。
痛みは小指にあると、私たちは思う。
しかし、それは正確ではない。
よくないことが起こった。
足の指で生まれるのは、痛みではなく、いわば、よくないことが起こった、という信号。
それを受け取った脳が緊急事態が発生した、と全身に警報を出す。
それが痛み、だ。

 

しかし、それだけではないような気もする。

痛みは、受けた肉体的ダメージの程度をも伝えていると思う。

全身麻酔中に手術侵襲に対して麻酔が足りていない場合、患者の意識はないが、心拍数が上がり、血圧が高くなるそうです。

これは意識がなくても痛みが脳に伝わっていることを意味するものだろう。

 

痛みは脳からのメッセージ

脳は、私たちに「体に良くないことが起こっている」と必死に伝えようとしている。

マウスの扁桃体を抑制すると、痛みを与えても反応しない。

扁桃体を活性化させると、体には傷1つ無いにもかかわらず、マウスは痛がるような動作を見せる。

センサーは反応している。
しかし、それは痛みではない。
痛みを発生させているのは脳

スポーツ中に怪我をしてもプレー中は痛みを感じない。
脳がどう理解したいかが1番大事

お腹が空いて、ご飯を食べている生き物は痛みを感じない
例え痛くても我慢して食べた方が生き残る確率が高くなると脳が判断

閾値があがっている
痛みの修飾が起きている

 

つまり、肉体にダメージを負って、痛みを感じる状況にあっても、それをどう感じるかはその人次第、という側面があるということ。

村上春樹の「走ることについて語るときに僕の語ること」に出てきた言葉を思い出しました。

Pain is inevitable. Suffering is optional.

痛みは不可避である。しかし、痛がるかどうかはあなた次第。(ちょっと意訳してます)

 

現在、右足の腫れがだいぶ引いてきました。

しかし、走れるレベルではない。

常に不快な感覚があり、足を地面について圧迫すると増強する。

受傷から時間が経っているにもかかわらず、不快な感覚が持続することには、腫れあがった足の組織の炎症が関与していると思います。

地面を踏み切るために足の指を伸展させてゆくと、不快な感覚が増強してゆく。

ランニングしているときと同じ伸展を目指して、足の指の伸展の度合いを増してゆくと不快な感覚が増強してゆき、耐えられなくなるところまでくる。

耐えられなくなるところ」というのは、「それを越すと怪我の状態が悪くなる」ということだと思います。

そのままランニングの際と同様の動きをすれば、痛めた組織を再び損傷して、足の指を楽な姿勢に戻してもランニング前の状態まで戻らなくなるでしょう。

 

不快な感覚が「耐えられなくなるところ」は、間違いなく「痛い」

でも、「耐えられなくなる」ほどではない不快な感覚については、痛いともいえるし、痛くないともいえる。

これを痛いと認識してしまうと、常時痛いわけで、つらいことだと思います。

 

意地悪なことを言うと、「耐えられなくなるところ」イコール「本当にけがの状態が悪くなる」とは限らない。

人によっては、組織の損傷が増悪するに至るにはもう少し余裕があるんだけど、「ここまでが限界!」「これ以上は耐えられない」と判断することもあるでしょう。

 

その境界を決めるのは、、、その人の性格であったり、過去の経験が影響するのでしょう。

何度も怪我を経験していながらなお、怪我のリスクを負った行為を続ける武道家であれば、骨折をする痛みをより正確に判断することができるでしょう。

熟練の武道家が「これ以上はやばい」と思うのであれば、それ以上は耐えてはいけない痛みなのでしょう。

 

骨折を経験したことがない人は、実際に骨折するよりも手前のダメージで音を上げても不思議ではない。

逆に、骨折を経験したことがない人が、実際に骨折するより手前で音を上げなければ、本当に骨折してしまうわけで。

 

つまり、経験とともに痛みの閾値が変わることがあり得る。

どんどん痛みに強くなる人もいるけど、逆に痛みに弱くなる人もいる。

 

痛みは思ったよりも奥が深そうだ。。。

コメント (2)
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