猫五郎の写真日記

なんか、写真よりも文章がメインになってます。しかも、くどい。要改善。でもなかなかねぇ。

2025/02/23 教訓「バーティノフマスクでピント合わせをする星は明る過ぎてはいけない」 NGC2683, NGC3184, M64

2025-03-07 16:10:32 | 天体観測
この夜は夕方に雨が降り、21時頃に晴れてくる予報でした。

光軸修正が不完全なまま、夜を迎えました。

それでも、完璧な光軸まであと一歩の状態なのです。
それに、光軸が少々ずれていても星が丸く写ることはすでに痛いほど身に染みて理解しています。
今夜も星は丸く写るに違いない!という確信のもと、撮影に臨みました。

最初から学びがありました。

西の空にあった木星でピント合わせをしようと考えました。
バーティノフマスクを装着して撮った木星がこれ。
一見、ピントが合っているように思いませんか?

木星のすぐ脇にある星を拡大したのがこれ
思いっきりピント、ズレてるやん!!!


この学びは大きい。
つまりバーティノフマスクでピント合わせをする星は、明る過ぎてはいけないということです。
ではどれくらいの明るさが良いのか?
うーむ。
念の為、1等星はやめておこう。
せいぜい明るくても2等星。
できたら3等星くらいがいいかもしれない。
それ以上暗いと、バーティノフマスクをつけた状態でライブビューをした時に、光条がぼやけて、光条の分離がわかりにくいかもしれない。
宿題です。

すっきりと晴れるまで時間があったので、子午線の東側、天の赤道付近でガイドアシスタントをかけることにしました。

最初のキャリブレーション。
悪くない。
でも、この時点でそこそこバックラッシュがあるであろうことが示唆されるグラフですね。


最初のオートガイド
悪くはない。
このまま撮影に向かっても悪くはないくらい。

ガイドアシスタントの結果
ガイドアシスタントはバックラッシュの大きさと最小移動検知量の初期値を得るために行なっています。
最小移動検知量(MnMo: minimal movement)はシンチレーションの状態によって変化します。
この夜のように雨上がりだとどんどん変化します。
でもまあ、時間がある夜だったので、とりあえず測定しました。

東の空のバックラッシュ。
大きいですね。
大きいときと、ものすごく小さい時があるのですが、その違いを何が生むのか、それが謎です。

22:26
北斗七星と双子座の間にあるやまねこ座にあるNGC2683に向けました。
オートガイド
オートガイドを始めた直後はそこそこバラツキますが、時間と共にPPEC(predictive PEC)が学習してオートガイドの精度が上がってきます。
ガイドアシスタントをかけるとやはりオートガイドの精度はそこそこ改善します。
絶対ではないですが。。。


やまねこ座のNGC2683
UFO銀河の呼び名もあるようです。
f=2475mm, F5
EOS Ra
ISO 6400, 150sec
9枚コンポジット合成+Photoshop

 トリミング

22:46
NGC2683が子午線を越えるまで追いました。
子午線を超えて、10度までは動作するようにOnstepを設定してあります。
子午線を超えて、望遠鏡がバランスウェイトよりも低い位置に来た状態(イナバウアー)だとオートガイドが暴れることが多いのです。
が、この夜はバランスウェイトの位置が良かったのか、あまり暴れず。

23:07
おおくま座の後ろ足の先にあるNGC3184に向けました。
4000万光年離れた銀河
オートガイド
頑張っている方だと思います。
が、赤緯DECの方が精度が良過ぎて、赤経RAがその精度についていけていない。

23:37
赤経RAの修正動作を見ると、東方向に修正動作が連打されたのに続いて、西方向への修正動作が連打されるのが繰り返されている。
修正幅ReactWtを大きくするか、修正頻度を増やしてやることで、修正回数を減らしてやれば、もう少しまとまりが良くなるはずです。
修正頻度を増やすために露出時間を1.5秒から1.0秒に減らしてみました。
(1.5秒に1度修正動作をしているところを、1.0秒に1度修正動作をするようにした)
それに加えて修正幅ReactWtを90%から100%にあげてみました。
が、むしろ動作のばらつきが大きくなってしまった。
が、DECとRAの修正動作の幅RMS ErrorはRA 0.67, DEC 0.66と均等に近い値になってきた。
星が丸く写るけど、大きくなるということですな。

23:42
修正幅ReactWtを大きくしたことがグラフの振幅を大きくしてしまった原因かもしれないと思い、ReactWtを70%に下げてみました。
すると、案の定、グラフの振幅が一気に小さくなりました。
が、RMS Errorが再びRA>DECとなってしまいました。
つまり、オートガイドの精度はよく、星像はシャープだけど、星の形が楕円だということです。

23:48
もう少しなんとかまとまらんかとReactWtを80にしてみたのがこれ。
劇的な改善は望めないよう。
これ以上はハードの改善を図らないとダメかも。

おおくま座のNGC3184
EOS Ra
ISO 6400, 150sec
7枚コンポジット合成+Photoshop

トリミング
写りにほぼ満足はしています。
が、小さな星をよく見ると、やはりオートガイドのターゲットグラフの通りの星の形をしていますね。。。


このあと、何を考えたか、西の空へ移動したNGC2683を追いかけました。
東の空での写りと西の空での写りを比較したかったのでしょうか。
東の空でのNGC2683の写りに満足していなかったわけではないはず。
やはり動作チェックの意味合いが大きかったのだと思います。
東の空で撮れたように、西の空でもちゃんと撮れるかどうかの確認。
我ながらしつこい性格だと思います。

am00:24
西の空のNGC2683のオートガイド
かなり頑張っている方。
でも、これだと星が楕円に写るよね。


ISO 6400, 150sec


am00:38
ReactWtを90%から100%に増量してみたら、今回はうまく行った。

オートガイドのターゲットグラフの通りの写りですね。

am00:52
西の空でのオートガイドが安定してくれて、良かったです。
こんなにいいオートガイドができる夜ばかりではないので。

ターゲットグラフの通り、まんまる。
光軸がほぼ合っていて、オートガイドも、ピントもバッチリ。
この3つが揃うようになってきたな、と。

am01:01
それも長続きはしません。
ほんと、デリケートです。
横長にバラけてきました。

星の写りは素直です。
長時間露光すると、少しだけ目立たなくなるのが救いです。

西の空で捉え直したNGC2683


トリミング
東の空で撮ったNGC2683と遜色ないと思います。


am01:41
続いて、乙女座の北隣の髪の毛座にあるM64 黒目銀河に望遠鏡を向けました。
オートガイドが若干まとまりを得なくなってきた。

写りはこんな感じ

am01:48
オートガイドが頑張ってても、なかなかまんまるにはならない。

おむすびの形
こういうのを重箱の隅をつつく、というのかもしれませんが。。。

am2:19

頑張ってるなぁ


この頃にはだいぶ冷え込み、気温計は零下6℃でした。


黒目銀河の構造を観察するには、最低でも口径30cm必要だとか。
こんな写真を撮れている自分の幸運を噛み締めないわけにはいきません。
ISO 6400, 150sec
8枚コンポジット合成+Photoshop

トリミング



さてさて。
光軸が少々ずれていても星はそこそこ丸く写ることがわかりました。
それでも修正できるものは修正しようじゃないですか。
それはまた次回の話ということで


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