駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

老兵は消えゆく

2012年11月01日 | 医療

   

 医療用機械にはいくつかの問題点がある。高価でしかも値引き幅が大きく不定。次々と機能がよくなってしかも安い製品が出てくる。アフターサービスが良いとは限らないなどなど。

 問題点ではないのだが、医療機械は確かに高価ではあるが、丈夫で長持ちする物が多い。開業以来20年以上使ってきた胃透視用のレントゲン装置が交換部品が無くなるので、来年4月以降は壊れても直せませんと、ついに引導を渡されてしまった。未だ十分使えるのだが、時々調子が悪くなり細かい修理はしていたので、半年後には引退させねばならない。この装置で三十数名の胃癌と百名以上の潰瘍を見付けることが出来た。早期癌の見逃しもあっただろうが、一般医としてはまずまずの成績だろう。

 補修の人が最後通告と一緒に新しいデジタル方式の製品カタログを置いていった。半年後には嫌も応も無くどれかを購入しなければならない。お値段はいかほどのものか、鬱陶しくて未だカタログを開いていない。

 いつか来る時が来たわけだが、機械と雖も御苦労であったとねぎらいたいところだ。

コメント (4)
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