駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

思わぬ余波

2017年12月02日 | 世の中

  

 患者さんの中には娘さんが国外に嫁いでいる人が居られる。いつかKさんのお宅へ往診に行った時、枕元に四、五歳と七、八歳くらいの女の子の写真が飾ってあった。二人ともお人形さんのように可愛いのだが、どう見ても日本人には見えず、白人の顔立ちだった。オランダへ嫁がれたお嬢さんのお子さんとのことだった。つまり孫なわけだ。ご主人はやや面長で目鼻立ちがはっきりして、侍系統の感じはするがまごうかたなき和顔だし、奥さんは丸い農家の主婦の顔立ちで、これも間違いない日本の顔だ。果たしてお嬢さんは、どんな容姿でなぜオランダ人と、と頭を掠めたが、勿論口には出さなかった。しばらくして幸い小康を得て、思い切ってと二人でオランダを訪れられた。「娘の所に行ってきました」と報告を聞いたことだ。

 それから一年ほどでKさんは亡くなられ、もう四、五年になる。その代わりにという訳ではないが、奥様が高血圧で通院されるようになった。昨日受診された時、詰まらなそうに「今年は、日本は物騒だから正月帰ってこないと連絡がありました」と言われた。

  それにしても憎っくき金正恩ではあるが、日本では一般人にそれほどの危機意識はないように感じる。ヨーロッパではどのように報じられ、どのような不穏な空気が漂よっているのだろうか。思わぬ余波か、まともな感覚か、考えさせられてしまう。とんだICBMのとばっちりで、孫に会えないKさんに同情する。

コメント
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