今の時期、午前中の診療は四分診療で三十秒の休憩が中々取れない。勿論、落ち着いて電話などしていられないのだが、そこに当院に受診したことのないW先生に掛かり付けの患者家族から、胸が苦しいと言っていると往診の要請があった。受付からどうしましょうと電話がある、電話を替わるとW医院は今日は休みで医師に連絡が取れないそうで、患者の年齢を聞くと87歳のお婆さんとのこと、どんな病気で通院しているのかも血圧が高いらしいと言うだけではっきりしない、申し訳ないけど様子がよく分からないので病院の救急外来へ行ってくれますかとお断りした。
その日の午後の往診は三軒で割り込ませることはできたが、高齢で胸が苦しいのは重い病気の可能性があり往診では手に負えないかもしれず、咄嗟に断ってしまった。もう少しゆっくり話を聞けばある程度病態が掴めたかもしれないが、外来が眼が回るように忙しかったので聞いていられなかった。まあ、妥当な判断と思うが、こういうのが後で往診に行ってあげてもよかったかなと尾を引いてしまうのだ。
それにしてもなぜW先生、彼の医院は5kmばかり離れており、お婆さんが通うのは不適当に思った。なんだかんだと不具合は重なるものだ、これでよかったんだろうか。