駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

年の瀬、忘年会の季節

2017年12月12日 | 身辺記

 

 この季節忘年会が多く、食いしん坊の私はすぐ太るので要注意だ。昨日は月曜日というのに、医師会の分科会の忘年会ですき焼きを食べた。割り下を使う関東方式なのだが地元の名店で流石に美味かった。誰が考え出したか薄く切ったさしの入った肉を美味しく食べるのに最適の料理法だと思う。

 相席の三人が呑み助ばかりで、「もっと食べてよ」と促し「今食べないと佃煮になってしまうよ」と注意するのだが、箸が出るのは私が圧倒的に多く半分近くの肉を私が平らげてしまった。隣のY先生は肉の焼き加減よりも酒の燗の方が気になるようで、徳利を付けたり出したり、これで丁度良いと大して飲めぬ私にお酌してくれる。確かに日本酒は燗をすると香りや味わいが際立ってくる。

 何を話したかよく覚えていないがいつの間にか大声でああでもないこうでもないと話していた。どうも私の入っている年嵩組の方は何だかいつか聞いた話を繰り返しているようだった。おしまいには、医者の集まりなのに誰が亡くなった誰が入院したと病気の話になり、お互いに飲んでいる薬を報告し合ったりした、やれやれ。

 美しかった女将も肌の艶は失われていないがちょっと背中が曲がってきて、三十五年の月日を感じた。なんでも土曜日は百組のお客があり天手古舞だったそうだ。忙しそうなのに「今日はほっと一息ですわ」とにっこりされた。飴色の廊下を渡り、下足番に15番の札を渡して冷たい通りに出た。冬の夜空に三日月が上がっており、今年も師走、否応のない年の瀬を感じた。タクシーの運ちゃんと世間話をして角で降り、二三十メートル夜道を歩き呼び鈴を押すと、パッと電気がついて古女房が玄関の戸を開けてくれた。

コメント
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