羽生棋聖が遂に永世七冠を達成した。将棋を覚えた頃は大山十五世名人が宮本武蔵と並ぶ不世出の勝負師と思っていたが、生きている間にそれを越える空前絶後最強の人を目の当たりにすることになった。
狙った獲物は必ず捕られる粘り強さというか恐るべき執念、まあそうした情念から遠い理知の人に見えるのだが、二度失したチャンスを三度目には必ず物にするのを目の当たりにすると、やはり情念と言ってもよい強い目標達成意欲をお持ちなのだろうと思う。
勝負師というやや泥臭い表現が似つかわしくないようでいて、やや苦手にしてきた渡辺棋王の棋風を見極めいつの間にか優勢になるところは、やはり理知だけではない勝負の極意を身に付けておられると推定する。
将棋には拡散と収斂の要素があると思うが、相手よりも先にどちらに向いているかを察知して駒を動かしておられるのだろうと推測する。これだけ強くなってもまだ将棋がどういうものかよく分からないと言われる。ヘボには想像もつかない世界だが、だからこそ前に進んでいけるのかもしれない。
羽生さんはAIにも造詣が深く、脳の働きなどの実験にも協力されてきた。知能というものに興味がおありのようで、知能の科学や思考教育などでは、専門家に貴重なアドバイスが出来るのではないかと思う。
二枚落ちでも勝てないのだが、ちょっと似ているところがあると嬉しいのが、奥様が買ってこられた洋服は気に入らないと絶対に着ないそうで、そこはヘボの私と一緒である。
二度ばかりお見かけしたことがあるが、眩いオーラを放っておられた。