夜勤務で死亡したのは労働災害ですと訴えて、2008年10月に名古屋地裁で労災認定を受けた内野さんのご遺族である博子さんから寄稿していただきましたので紹介します。
大企業トヨタが率先している夜間勤務は人間を壊す
トヨタ自動車過労死遺族 内野博子
私の夫はトヨタ自動車堤工場で働いていました。しかし、8年前の2002年2月9日土曜日の早朝、夜勤明け間近の職場で上司と仕事中に倒れ、心室細動によりそのまま亡くなりました。まだ30才でした。車体工場の品質管理部門でのストレスやプレッシャー、カイゼン活動を含む様々なサービス残業を含めた長時間勤務が、夫の体を限界に追い詰めました。5年半後になって、それが労働災害であることが名古屋地裁でも証明され、トヨタ自動車もQC活動は業務扱いに変更しました。
しかし、長年にわたり夜間勤務を続けた事による疲労の蓄積については、何も変わりません。夜間勤務は入社以来、亡くなるまでずっと一週間交代でありました。トヨタでは命が長らえている限り、夫の父親のように定年まで交代勤務が続きます。1995年から連続2交代という勤務形態になりましたが、これは、全く家族とのコミュニケーションを無視した勤務体系です。
まず、早番勤務週の定時は6:25~15:15です。朝4時には起きて朝ご飯を食べ、4時40分頃出掛けて行きました。夜は、夫が午後8時に子どもをお風呂に入れて8時半には寝る、という慌ただしい生活で、ゆっくりと団欒をする余裕などありませんでした。ましてや友人との約束など皆無でしたし、早番入りの日曜日の夜は次の日に備えて出掛けることもできません。
もう一方、遅番勤務週の定時は16:10~25:00(夜中の1時)です。更に、非人間的な生活時間となります。定時で帰宅しても夜中の2時半ごろ、そっとお風呂に入って汗を流し、午前3時ごろに冷たい夕食を1人で食べるのです。結婚していても家族とはすれ違いの生活になり、家族も日常生活で夫をあてにすることはできません。遅番あけの土曜日は睡眠にとられるので、結局この週も、まる1日とれる休日は週に1日しかないことになります。友人からの釣りの誘いも断っていました。
人間の健康は、1日の間に時間とともに変動する血圧や体温、また光からの反射によって保たれていることは最近の医学からも明らかです。トヨタ社員は不規則勤務の中、光で睡眠を妨げないように遮光カーテンの部屋で寝起きする人が大多数です。人間本来のリズムから外れることによって精神的なストレスも大きいはずです。
大企業がそんな異常な勤務体系を率先して行い、利益を上げることによって、生き残りをかけた多数の中小企業の社員もまた、同じような勤務をせざるを得ません。過労死だけでなく、うつによる自殺も増えています。将来の明るい日本を目指すのであれば、「大企業の夜間勤務を制限する法律」があるべきだと思っています。
大企業トヨタが率先している夜間勤務は人間を壊す
トヨタ自動車過労死遺族 内野博子
私の夫はトヨタ自動車堤工場で働いていました。しかし、8年前の2002年2月9日土曜日の早朝、夜勤明け間近の職場で上司と仕事中に倒れ、心室細動によりそのまま亡くなりました。まだ30才でした。車体工場の品質管理部門でのストレスやプレッシャー、カイゼン活動を含む様々なサービス残業を含めた長時間勤務が、夫の体を限界に追い詰めました。5年半後になって、それが労働災害であることが名古屋地裁でも証明され、トヨタ自動車もQC活動は業務扱いに変更しました。
しかし、長年にわたり夜間勤務を続けた事による疲労の蓄積については、何も変わりません。夜間勤務は入社以来、亡くなるまでずっと一週間交代でありました。トヨタでは命が長らえている限り、夫の父親のように定年まで交代勤務が続きます。1995年から連続2交代という勤務形態になりましたが、これは、全く家族とのコミュニケーションを無視した勤務体系です。
まず、早番勤務週の定時は6:25~15:15です。朝4時には起きて朝ご飯を食べ、4時40分頃出掛けて行きました。夜は、夫が午後8時に子どもをお風呂に入れて8時半には寝る、という慌ただしい生活で、ゆっくりと団欒をする余裕などありませんでした。ましてや友人との約束など皆無でしたし、早番入りの日曜日の夜は次の日に備えて出掛けることもできません。
もう一方、遅番勤務週の定時は16:10~25:00(夜中の1時)です。更に、非人間的な生活時間となります。定時で帰宅しても夜中の2時半ごろ、そっとお風呂に入って汗を流し、午前3時ごろに冷たい夕食を1人で食べるのです。結婚していても家族とはすれ違いの生活になり、家族も日常生活で夫をあてにすることはできません。遅番あけの土曜日は睡眠にとられるので、結局この週も、まる1日とれる休日は週に1日しかないことになります。友人からの釣りの誘いも断っていました。
人間の健康は、1日の間に時間とともに変動する血圧や体温、また光からの反射によって保たれていることは最近の医学からも明らかです。トヨタ社員は不規則勤務の中、光で睡眠を妨げないように遮光カーテンの部屋で寝起きする人が大多数です。人間本来のリズムから外れることによって精神的なストレスも大きいはずです。
大企業がそんな異常な勤務体系を率先して行い、利益を上げることによって、生き残りをかけた多数の中小企業の社員もまた、同じような勤務をせざるを得ません。過労死だけでなく、うつによる自殺も増えています。将来の明るい日本を目指すのであれば、「大企業の夜間勤務を制限する法律」があるべきだと思っています。