全トヨタ労働組合(ATU)

トヨタ自動車および関連企業で働く労働者の企業横断型労働組合です。一人でも加入できます。

労働紛争国際連帯活動

2015年02月23日 11時11分45秒 | Weblog
 トヨタよ何時までやっているんだ!
 14年目を迎えたフィリピントヨタ社における労働紛争の解決のために、東京、愛知でトヨタ自動車に対して一斉抗議行動を2月23日(月)に行いました。不屈に闘い続ける現地労働者と連帯をして、一日でも早く解決することを願って、連合加盟の全造船労組を中心に運動を広げています。私たち全トヨタ労働組合も2006年結成当時から支援運動に関わり、国際連帯行動として毎年9月にはトヨタ本社行動に参加するなどナショナルセンターを超えた連帯行動になっています。引き続き愛知での抗議宣伝行動を刈谷・ミッドランド前でもやる予定です。

トヨタ本社に争議解決のために「要請書」を提出
全文は以下です。

2015年2月20日
トヨタ自動車株式会社
代表取締役社長 豊田 章男 殿

フィリピントヨタ自動車労働組合(TMPCWA)委員長 エド・クベロ
フィリピントヨタ労組を支援する会    共同代表 山際 正道
フィリピントヨタ労組を支援する愛知の会 共同代表 田中 九思雄

フィリピントヨタ社における労働争議の解決に関する要請書
拝啓
ご存知のとおり、貴社には、フィリピン現地法人であるフィリピントヨタ社が従業員の労働組合の結成と団体交渉権の問題をめぐり2001年に233名もの大量解雇を強行し、さらに2010年にも4名の労働者を解雇した問題を14年近くもの長期間にわたって未解決のままに放置しているという、ただならぬ状態が存在しています。
この件に関しては、国際労働機関(ILO)から、「本件解雇は労働者の団結権と団体交渉権を公認している国際条約に違反しているから(解雇を撤回して解雇者を職場復帰させるか、それともその代わりとなるだけの適正な補償金を支払うか)、フィリピン政府の仲立ちのもとに労使間の交渉を尽して解決しなさい」という趣旨の勧告を何度も出されており、このことについても既に十分ご存知の筈です。
この間、解雇者とその家族達は、「会社側から誠意ある反省と償いの姿勢を示してもらえるまでは絶対に不当解雇を受け入れることはできない」と、血の滲むような苦労に耐えながら歯を食いしばって闘い続けています。
しかしながら、会社側は解雇者を塵芥のようにみなして相手にしないだけでなく、フィリピン政府を代表して解決のために尽力している労働雇用省の仲介努力さえも平然と無視しています。
一体全体、世界一流の多国籍企業かどうかは知りませんが、一国の政府の大臣が熟慮の上回答されたいと書簡で丁重に辞を低くしてお願いしているにもかかわらず、それに対して長期間にわたり回答をする素振りさえも示さず放置するという、政府の行政行為をも愚弄する傲慢な態度をあえて露骨に振舞える当該国の国内企業というものが存在するでしょうか。そういうことを行っているのが、貴社のフィリピンの現地法人フィリピントヨタ自動車株式会社なのです。
私達はアジアの発展途上国において現地法人にこのような蛮行を行わせていることに対して、その元締めである貴社、すなわち日本のトヨタ自動車株式会社およびその代表取締役社長である貴殿ご自身のガバナンス(管理運営)能力と責任を問わざるを得ません。
そしてまた、それにとどまらず、このようなフィリピン現地法人の態度は、貴社すなわち日本のトヨタ自動車株式会社とその代表取締役社長である貴殿ご自身の指示のもとになされているものであると、指摘せざるを得ません。なぜならば、貴社は本件解雇を強行した直後の当時は、「現地のことは現地で」などととぼけて、逃げの姿勢で本社責任をかわしていましたが、海外の投資家から「ILOから労働者の人権侵害を指弾されている企業には投資できない」と厳しく追及されるなかで「グローバルCSR(企業の社会的責任)ポリシー」なるものを制定して「地方、国、国際の法とその精神を尊重する」と表向き恰好の良いことを言って煙幕を張りながら、その実、労働者の団結権に関しては、「当該国の法律の範囲内に限って認める」という断り書きを入れて、真っ向から対決的姿勢を明らかにすることに転じているからです。企業の社会的責任ポリシーに関してこのように対決的姿勢を打ち出すようになったのは、幸便にもフィリピン最高裁から当該解雇有効の判決が得られたことに拠っています。この判決は全くの問題判決なのですが、要は進出先国の政府を意のままに動かせれば、「労働者の権利は当該国の法律の範囲内で認める」という言い方で労働者の権利を意のままに抑制することができるというわけです。貴社は、このような総論賛成各論反対ともいうべき、手の込んだ狡猾な「グローバルCSRポリシー」を制定し、それに従って労働者の組合結成や団交に対応せよと、世界の現地法人に号令をかけているではありませんか。
フィリピン現地法人の経営陣が「当社は、フィリピン最高裁から解雇は有効であるという判決を得ているからILO勧告に従わなければならない法的責任はない」と豪語していますが、それはまさに、そのように振舞うよう貴社が号令をかけているからではありませんか。
例えば発展途上国の政府が経済政策として外資誘致策を採らなければならないときに多国籍企業のご機嫌をそこねて投下資本を引き上げられないよう、労働者の権利を抑制したり、労働条件改善のため正当な団結権や団体行動権を行使したのに不当解雇されても裁判所に解雇有効の判決を出させて、多国籍企業を優遇したりすることもあります。貴社、そして貴殿ご自身にとっても、ほかならぬフィリピンでの本件に関して思い当たる節が多々ある筈です。しかしILOは、このような場合、「なるほど当該国の法律ではそうかもしれないが、それは国際労働基準の立場からは認められない」として、是正勧告を出しているのです。「労働者の権利は当該国の法律の範囲内で認める」という、貴社の一見ご立派そうに見えるポリシーのごまかし性がとっくに見透かされているのです。これがILOの立場であり、ILO勧告の意義です。そしてまたこれが今日国際社会にとうとうと流れる人権尊重の大きなうねりです。
貴社も貴殿ご自身もこのことはとっくに知悉し認識しておられる筈です。知らない筈はありません。もしも知らないということでしたら、そういう状態で一流多国籍企業の看板を張って事業を続けることは大いに問題であり、またもしそれを知っているのにそれに従わずそれに逆行する態度を取り続けるのでしたら、やがて国際社会から、悪質な故意犯であるとして大きな批判を浴びせられることは火を見るよりも明らかでしょう。
そのようなことにならないうちに、まず本件労働争議の解決に誠意ある反省と償いの態度を示すことによって、ILOからも社会からもそして投資家からも「さすがはトヨタだ!」と太鼓判を押してもらえるよう、今直ちに勇気ある決断をされることを、心から期待すると共に要請する次第です。                                          
敬具 
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