3月17日(木)名古屋市内にて、春闘共闘主催で決起集会の模様
エッ! たったの1500円……2016年トヨタの賃上げ
3月16日、トヨタ自動車は企業内労組の賃金改善分3000円要求に対して1500円を回答し、労組はこれを受けいれました。デンソーやアイシンなどトヨタグループの主要企業も同じ1500円で足並みをそろえました。また全トヨタ労連傘下の組合では、8労組がトヨタ越えの回答を得ましたが平均では1278円だそうです。これらは昨年を大きく下回っています。
トヨタ経営陣は、「新興国経済の減速などで経営環境の潮目が変わった」などと、この超低額回答の理由を上げています。だがトヨタは今年の3月期決算で2兆8000万円という史上空前の経常利益を予定しているではないですか。多少の賃上げでどれだけ懐が痛むというのでしょうか。他方、私たち労働者の実質賃金は4年連続低下させられ生活の苦しさは日々増しています。1000円少しの賃上げでどれほど生活が改善されるというのだ。しかもこの金額はトヨタや大手企業の正規労働者の数字であって中小企業で働く人や非正規で働く人々の賃金に波及するわけではありません。私たち労働者はこれからも生活の困窮を強いられます。
今年の春闘はおかしな転回をたどりました。安倍政権はアベノミックスを取り繕うために産業界に3パーセントの賃上げを要請しました。しかし日本最大の労組ナショナルセンターである「連合」は賃上げ基準で2パーセントしか要求しませんでした。ところが春闘の相場形成役を担っているトヨタ労組はそれをも下回る3000円(1パーセント以下)しか要求しなかったのです。このように今春闘では労組が自ら次々と要求を切り下げたのです。
彼らはこの超低額の要求を「底上げ」「格差是正」と正当化していました。確かに昨年までの春闘を通じてトヨタと下請け諸企業との賃金格差はますます拡大してきました。またトヨタ自動車は一時期停止していた下請けへの納入単価の切り下げを今年から再開し下請け中堅・中小企業から賃上げ余力を奪っています。このことによって極めて低水準になるだろう下請け企業の水準に合わせてトヨタ労組は自らの賃上げ要求額を押し下げたのです。これによってトヨタの「一人稼ぎ」への非難の矛先が少しでも和らぐと思ったのでしょうか。これがトヨタ労組の超低額3000円要求の真相です。やることが全く逆ではありませんか。確かに今年の賃上げの格差は小さくなりますが、それは低水準なところで団子になっているに過ぎません。いやむしろ全体としての賃上げ水準を押し下げる役割を果たしたと言えるでしょう。
またトヨタ自動車は期間従業員の日給を150円(月換算3000円)引き上げるとしています。一定の成果ではありますが、正規労働者との格差を無くすことが必要です。既存の企業内労組の幹部にお任せでは私たちの賃金や労働条件の改善は望めません。自分たち一人ひとりが声を上げていくことが大切ではないでしょうか。労働者の声をコメントしてください。
ATUは、デンソーとの第3回団交を申し出ていましたが、3月30日(水)に開催すると通知がありました。労働者の生活を良くすることこそ今必要であることを強調してたたかいます。