傍聴をお願いいたします
全トヨタ労働組合は、2015年7月10日 国を相手に名古屋地方裁判所へ労働災害認定請求を提訴した、トヨタ自動車社員の裁判を支援しています。「支援する会」を7月4日に立ち上げ、幅広く市民の皆さんにも呼び掛けて支援活動が進んでいます。
この裁判の性格ですが、2008年のリーマンショック後、トヨタも経営立て直しのために厳しい職場環境に変貌します。彼はトヨタ本社生産技術部に配属され生産設備の立ち上げ業務に携わっていました。職場では当時74名の要員から50名に24人も「要員を削減」しました。しかも、残業は月50時間ほどしていたものが「残業禁止」となり、減らない業務量と要員削減で過密・過重な業務に従事することになります。一方、上司からは仕事が遅れるなどで罵声を浴びせられ、「自分がダメな人間だと悲しく思うほど、ひどい言われ方をして自信喪失になる」などと訴えて自ら命を絶った事件です。
次回 裁判 予定
第7回口頭弁論
11月30日(水)午前11時から
名古屋地方裁判所 11階1103号法廷です
地下鉄名城線「名古屋市役所」下車5番出口から真直ぐ徒歩10分
トヨタ社員労災認定裁判の経緯
2010年1月 被災
2011年6月17日 豊田労働基準監督署へ申請
2012年10月31日 労災と認めない決定(不支給決定)
2012年12月25日 愛知労働者災害補償保険審査官に対し審査請求
2013年12月26日 審査請求を棄却
2014年1月23日 労働保険審査会に対し再審査請求
2015年1月27日 再審査請求棄却
提 訴(弁護団 梅村・加計・水野各弁護士)
2015年7月10日 国を相手に名古屋地方裁判所へ労働災害認定請求提訴
裁判経過
裁 判
2015年10月19日(月)第1回口頭弁論
2016年 1月13日(水)第2回口頭弁論
3月23日(水)第3回口頭弁論
5月16日(月)第4回口頭弁論 裁判官交代
7月4日 (月)第5回口頭弁論&支援する会結成
9月28日(水)第6回口頭弁論
第6回口頭弁論が9月28日に終わりました
6回口頭弁論では、準備書面2,準備書面3、証拠等を提出しました。
(1) 国側にKさんがどのように仕事をしていたのか求釈明をしていましたが、企業内秘密を盾に応じなかったために、原告側から書面2でKさんが関わった「2020年ビジョン」の業務と性格を解明したもの(以下要約)
『2020年ビジョンとは、将来ビジョンを作成することであり、具体的には、3年後、5年後、10年後のビジョンの検討を行った。
この取り組みは、2009年5月ころに始まり、当初は同年8月までに構想をまとめる予定であった。しかしながら、その進捗状況から、同年12月までに延長された。したがって、被災者は、当初、会社三好工場のプリウスのCVJラインの業務と併行して担当し、TFAPの担当をするようになった後も担当していた。そして、2009年12月に、これからは毎年見直していくということになった。
被告は、2020年ビジョンが被災者にとって新規の業務であったことは認めているが、それが緊急の業務でありかつ上司の指示に基づき作成するという裁量性が乏しい業務であったとの原告の主張は否認し、そのうえで、2020年ビジョンは、せいぜい一般的な付随業務に過ぎず、精神障害を発症するような過重なものとは認められないと主張している。
被災者が担当した時期は未曾有の経済危機の中で、会社がかつてない危機に直面した時期であり、急きょ社長が創業家に交代するなど幹部の変動があり将来の明確な方針が定まっていない時期であった。さらに、自動車産業のあり方そのものが、ガソリンからハイブリッド、電気へと変わろうとしている時期であり、加えて、会社は、危機への緊急の対処である収益改善を行っている時期でもあった。このような時期に、将来を見据えて、しかも、10年先の姿を描き出すということは、不可能である。また、最初から、被災者に全体の具体的な課題が与えられたのならともかく、指示が抽象的であったり、会議を行うたびに指示が変わったり、追加されたりしており、被災者は、一貫しない指示に翻弄されるなど、被災者にとって達成困難な課題であった。』として、被災者一人で行った業務であり、業務量と労働密度、質的過重性を明らかにしたものです。
(2)準備書面3は中国業務内容について解明
被災者は、2009年10月ころから、中国のTFAPに関する業務を担当した。この業務は、会社内の関係部署やTFAPの関係部署と連携を取りながら、TFAPの既存設備の生産準備や技術支援などを行うものであった。具体的には、被災者は、CVJ(ドライブシャフト)を構成する部品の一部変更のための「小変更プロジェクト」を担当していて、TFAPの既存ラインの設備について、改造が必要な部位の検討や調査を設備メーカーや関係部署と連携を取りながら進めていた。
被災者が担当していた中国業務の重要性について、中国市場の重要性と被災者の業務の重要性・責任の重さ、被災者にとって未経験の業務であったこと、単独担当になり支援もないこと、上司の支援の欠如などの問題点を解明しています。