アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ヤブジラミ - セリ科

2020-06-07 21:53:34 | みんなの花図鑑
セリ科のヤブジラミの花。

典型的な散形花序。




花弁は5個、白色~わずかに淡紅紫色、大きさは不揃いで、外側の花弁が大きい。(三河の植物観察「ヤブジラミ」)




雄しべ5個、葯は淡紅紫色~白色。(同上)



蜜らしきものは見えません。



このテントウムシは 何を食べているのかな?



果実は長さ2.5~4(4~5)㎜の卵状長楕円形、基部から湾曲した刺を密性し、短毛は少なく、熟すと淡褐色になり、2分果に分かれて落ちる。(同上)



散形花序の外側から果実に変化していくようです。



ヤブジラミという名前は「やぶに生え、果実にカギ状に曲がった刺があり、シラミのように衣類にくっつくことから」(同上)つけられたようです。



これは 時間的に 一番最初の状態、つぼみの状態です。



蕾のときには花弁が縦に外側に2つに折りたたまれ、花弁の先端のスリットの部分は内側に折たたまれている。(同上)



ひっつき虫、完成 (^^)/

ノアザミ - アザミ亜科

2020-06-07 11:49:57 | みんなの花図鑑
キク科のアザミ亜科のノアザミです。

キク科の花は、小さい花が多数集まって1つの花序をつくっています。大きな花をつくるもとになる小さな花を小花(しょうか)とよんでいます。 キク科の花序は散形花序といって、花軸(かじく)の上が平らになった花床(かしょう)の上に小花がびっしり並んでいます。


キク科の頭状花序をつくる小花には、筒状花(管状花)と舌状花の二種類があります。「ハハコグサは前者のみで花ができており、タンポポは後者のみで構成される。ヒマワリの花では、周囲を舌状花、中央を筒状花が占める。」(wiki「キク科」)
「アザミ属の花は虫媒花で、(中略)頭状花序は多数の筒状花からなり、多くの種で、一つの筒状花は中心に細長く伸びるめしべとそれを筒状にすっぽり包むおしべを備える。」(wiki 「アザミ属」)



ところで、 ノアザミの雄しべはいつも花粉を出してはいないという話があります。
訪れた虫が ハチなどの送粉昆虫だと、花粉を出し、それ以外だと 出さないというのです。(主に、ブログ身近な自然を撮る「ノアザミ(野薊) 訪れる虫たち」を編集)

wikiにも同様の記述があります。
「虫が花に止まるとおしべがひっこんでめしべと擦れ、花粉が外にかき出される。」(wiki 「アザミ属」)




「ノアザミの筒状花は、虫が乗ると重みで曲り、すぐに花粉が押し出されてきます。虫が来た時だけ確実に受粉できるようになっているのです。この時期の雌しべは未発達で自家受粉しないようになっています。」(MORI MORI KIDS「ノアザミ」)

アザミの筒状花の雄しべは5本ですが、その葯は合生して円筒(葯筒という)になっています。 雌しべの花柱はその中を通り抜けて上へ突き出しています。 虫が乗ったりすると、刺激で雄しべの花糸が運動をおこし、弓形に曲がるので葯の筒が下方に引き込まれ、その結果、雌しべが花粉を押し出すのです。(皿倉山ビジターセンター > >博士の自然講座 (トップ)>森の不思議 第8話 「アザミの花粉放出の巧妙な仕掛け」を編集)



ところで、 アザミには 小花に来る虫だけでなく、色んなものをとどめる力があるようです(^^

花序を全体で下から包んでいる萼片のようなものを「総苞片」と言います。 苞というのはつぼみを包む葉の変形した器官のことです。 キク科の場合、 たくさんの小花を一括して包むから「総苞」なのです (^^)/
秋咲きのノハラアザミに似ていますが、ノアザミは 総苞が粘ることで区別できます。




それにしても、なぜノアザミだけが総苞が粘るのでしょうか。 粘るのは腺体という細長い分泌組織があり粘液を出すからなのですが、ノアザミは食虫植物ではありません。 アリや小さな羽虫がついていることもあります。 (同上)




カメムシも来るし ...

「まさか、脚の長いザトウムシが花の上に跨がり、脚は総苞にからみついて逃げようと色々もがくうちに多くの筒状花の花粉が出るようになっている? そんなまさか。」 (同上)



こちらは 茎のほうですが、 アブラムシがいっぱいで... いやはや (´・ω・)






ボダイジュ(菩提樹) ‐ シナノキ属

2020-06-07 00:30:01 | みんなの花図鑑
シナノキ属のボダイジュです。 かつては シナノキ科シナノキ属でしたが、今は アオイ科シナノキ属に分類されています。

しかし アオイ科というと、大きくて派手なシベの花のイメージですが、シナノキ属の花はそんなイメージとは程遠いので、あえて「シナノキ属」のほうを強調するため属名を表示しました。
何はともあれ、つぼみのときのボダイジュの花から紹介していきましょう。
場所は 行福寺(豊田市)です。




ボダイジュの花はそもそも蕾が球形で、 花後に出来る果実そっくりです。 そして花は 苞葉とよばれるヘラ型の葉の中央から花柄を伸ばしてその先につきます。 こういう花の付き方は シナノキによく似ています。




蕾の中から一つだけ 開花しました。




そしてここからは、別の場所の ボダイジュです。上の行福寺のボダイジュを撮影した日、ここも行ってみたのですが 同じように蕾の状態だったので、 それからわずか2日後、こんなに一斉に咲くなんて、もうびっくりです。




苞葉の中央近くから集散花序を下垂し、花を3~12(20)個つける。 (三河の植物観察「ボダイジュ」)




雄しべ5個、仮雄しべ5個 (同上)
長い雄しべが突き出しています。



小花については こういう記述もあります。
「花は平開せず、萼片5個、花弁5個、雌しべ1、雄しべ多数。」(植物写真館「ボダイジュ」)




なお、いつも話題にすることですが、 日本の寺院によく植えられている菩提樹は、釈迦がその木の下で悟りを開いたとされる「菩提樹」とは全然別の木です。 「ゴータマ・ブッダの菩提樹」のほうは クワ科イチジク属の木で、 花もイチジク(無花果)の花そっくりです。ゴータマ・ブッダの菩提樹は寒さに弱いので、その代わりとして 中国から葉が似た木として 日本で「菩提樹」と呼んでいるシナノキ属のこの木が持ち込まれました。 「ゴータマ・ブッダの菩提樹」(クワ科イチジク属)は 日本では インドボダイジュ と呼ばれることになりました。
私はエーヤワディー川(旧称イラワジ川)の河畔で ゴータマ・ブッダの菩提樹をみたことがありますが、雰囲気が全然違います。 葉の先っぽが長く突き出しているのが特徴で、その時も 葉を一枚もらって日本へ持ち帰り仏壇に飾っておきました (^_-)-☆