アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

サザンカはなぜ山茶花なのか

2022-12-12 06:00:10 | みんなの花図鑑

きのうはサザンカとツバキの自生北限がそれぞれ弥生時代と縄文時代の遺跡と一致するトピックを取り上げました。
そして、サザンカの原種が一重咲きの白花だったということもお知らせしました。
でも、白いサザンカの画像はお見せできませんでした。




でもやはり原種の色として今日のトピックに白いサザンカが欲しい!
とりあえず撮ってきました、白いサザンカ。
ただし 一重でなく 八重のサザンカです。
そしてトピックは(受け売りですが…)
「サザンカはなぜ山茶花なのか?」
「山茶花」を普通に読んだら「サンサカ」じゃない?
どうして 「サンサカ」ならず「サザンカ」なの?というお話です。




古くは平安時代以前から、日本の野生植物に中国の書物に出てくる植物名を当てはめる作業が延々と行われてきました。
その過程で、サザンカに対し「山茶(または山茶花)」の漢字が当てられるようになったと考えられています。





実をいうと、中国の「山茶(または山茶花)」はサザンカよりツバキに近い花でした。しかしどちらかというとツバキのほうがなじみの深い日本では、春に花が咲く木という意味から「椿」という日本国産の漢字をツバキに対し割り当てていたのです。




こうして椿にではなくサザンカに「山茶(または山茶花)」という漢字が割り当てられたのですが、
ではなぜ「山茶(花)」がサザンカと呼ばれるようになったかというと、
江戸時代初期の園芸書に山と茶が逆さになった「茶山花」という記載があります。これは誤記ですが、これなら「サザンカ」と読めます。
以上より、「山茶花」と書く漢字名は、中国の植物名を日本の植物に当てはめる過程でツバキと混乱したことと、江戸時代の園芸家による誤記が重なったためだろうと考えられています。


出典:歴博 くらしの植物苑だより 「サザンカの名前とその変遷」 .pdf