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岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

サカキ と ヒサカキ と シキミ ‐ クイズ

2021-03-21 10:45:36 | みんなの花図鑑
JA産直に野菜を買いに行って生花コーナーに以下3つの生花がバケツに並んで置いてあったので、これは面白いと ケータイでスナップしてきました。
ということで クイズです。以下の生花は(ところによっては)神棚にお供えするものですが、何という樹でしょうか? (^^♪


答え: これは サカキ(榊)ではありません。ヒサカキです。少なくとも私の住んでいる地域(東海地方)では。

でも・・・
関東以北では このヒサカキを「サカキ」と称して神棚にお供えしているというのです!
理由は ほんとうのサカキが育って「無い」から!



では、ほんとうのサカキは? というとすぐ横のバケツにおいてあります、これ ↓ です。

(生産者の名前は消してあります; 「幸田町」は筆柿の産地で有名ですね^^)
1枚目のスナップのように 「ヒサカキ」は葉の縁がギザギザになってます(鋸歯の葉)。
ほんとの「サカキ」は このように 葉の縁はすべすべです、ハイ。

それに「ヒサカキ」のほうは 花が咲いてますけど、「サカキ」の花は 今は咲いてません。
私たちの感覚からすると 神棚にお供えする葉に花が咲いているというのは似合わない気がします (^_-)-☆


榊立てに立てたサカキ(Wikipedia Commons; サカキ より)


ところが先述のように、関東以北ではサカキを使おうにも生育していないのです。それで 同じ科(*)のヒサカキを「榊(さかき)」と称して使うようになりました。それどころか、地方によって「サカキ」は、ツバキであったり クスノキであったり、さらには杉である地域もあるようです。
このような事情があるため、本来のサカキを指すためにサカキの上に「本」とか「真」を付けて区別することになったようです。

一方、ヒサカキが「ヒサカキ」と呼ばれる由来は、榊にあらず(非榊)からとも、ほんとうの榊よりも葉っぱが小さいので、姫榊(ひさかき)といわれるなど、諸説あります。


(*) ヒサカキ、サカキは エングラー体系、クロンキスト体系ではツバキ科でしたが、新しいAPG分類体系では、Pentaphylacaceae(ペンタフィラクス)科の和名をモッコク科とする場合と、サカキ科とする場合があります。
私がヒサカキの雌花を教えてもらった「このきなんのき掲示板」所長さんの図鑑ではサカキ科を採用しています。
「 理由は単純で、モッコク属は日本に1種しか分布しないのに対し、サカキの名が付くサカキ属、ヒサカキ属、ナガエサカキ属は計10種前後が分布し、種数が多いためです」とのこと。





では、最後の 一枚。サカキによく似ていますが、これは何でしょう?

答え: これは シキミ です。値札には「シキビ」と書いてありましたが・・・
サカキ(榊 または 本榊)はサカキ科の常緑樹で 神棚にお供えしたり神社でしめ縄や玉串などにつけられもっぱら神事に用いられます。
シキミ(または シキビ、樒)はモクレン科の常緑広葉樹で もっぱら仏事に用いられます。
(「もっぱら仏事」といいましたが、和歌山(に限らないかも)ではヒサカキをビシャコと呼んで、仏花によく使うそうです。)


シキミは、現在、シキミ科に分類されていますが、昔はモクレン科に含まれていました。




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