2024/11/30 読売新聞オンライン
察官の格好をしたかかし(左)を紹介する井澗警部補(和歌山市で)
障害男性がアイデア
和歌山東署の1階総合案内近くに警察官の格好をした「かかし」(高さ約1・7メートル、幅約1・15メートル)が展示されている。障害を持つ男性のアイデアを基に作られたものだという。同署は年末まで飾り、犯罪被害者への支援や交通安全などを呼びかける。
和歌山東署 展示、交通安全など啓発
「事件などの暗いニュースが多い」
和歌山市のデイサービス施設「はっぴー&はーと3」の施設長、中出光男さん(75)は障害を抱え、寝たきり状態の長男(47)にかかしコンテストのことを伝えた際、視線入力装置でこう指摘され、ハッとした。
中出さんは「警察官のかかしを作って、和歌山を明るくしたい」と思った。はっぴー&はーと3の利用者やスタッフら15人でかかしを制作。10月に開催されたコンテストに出品した。
コンテストの終了後、「施設に置いておくのはもったいない」という声が上がり、中出さんが同署に展示を依頼した。
同署では、警務課の 井澗いたに 誉俊警部補(59)が対応した。「警察官のかかしで、地域を明るくしたい」と訴える中出さんの姿勢に共感した井澗警部補。かかしに本物の制服を着せたり、元々ついていた「ひげ」を取ったりして展示することにした。
同署は、左手に持っていた啓発メッセージを変更しながら飾る。12月1日までの「犯罪被害者週間」の期間は、被害者支援を呼びかけ、12月1~10日の「わかやま冬の交通安全運動」の期間には事故防止を訴えるという。
井澗警部補は「中出さんの思いと、警察としてやるべきことが合致した結果だ。かかしを生かした情報発信をしたい」と話している。