虚偽の電話などで金銭をだまし取る特殊詐欺の被害がロシアで激増し、社会問題化している。ウクライナ侵略後、「露社会は団結した」と繰り返してきたプーチン露大統領にとり、詐欺の横行は露社会で犯罪が跋扈(ばっこ)していることを示す都合の悪い事態だ。政権は犯行の巧妙化に追い付けておらず、「主な犯人はウクライナだ」と宣伝し、国民の不満をそらそうとしている。
「被害額がけた外れ」 国民の9割が過去1年間に詐欺に遭遇
露主要メディアが伝えた露中央銀の統計によると、ウクライナに全面侵攻した2022年、ロシアでの特殊詐欺の被害額は141億6000万ルーブル(約223億円)だったが、23年は158億ルーブル(約249億円)に増加。24年は1~9月だけで179億ルーブル(283億円)に上り、早くも前年を上回った。
23年に実施された世論調査では「過去1年間に詐欺の試みに遭遇した」と回答した露国民は91%に上り、22年の82%から9ポイント上昇した。また、「主な心配事の要因」に「詐欺」を挙げる国民が24年に急増したことも世論調査から明らかになっており、ロシアで詐欺行為が活発化していることが示唆された。