外苑茶房

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住宅専門金融会社

2010-05-12 18:12:24 | ビジネス
今日の日経朝刊に、旧・住専損失の最終処理を巡り、最大3600億円の追加負担を政府が金融機関に要請するという記事がありました。

久しぶりに『住専』という単語を目にしました。

住宅金融専門会社、いわゆる住専には、日本住宅金融、住総、地銀生保住宅ローン、日本ハウジングローンなど7社があって、出資銀行の別動隊として、あるいは住専自身の意思によって、大規模な不動産融資を都市部やリゾート地域で行なっていて、それらの経営悪化は、バブル崩壊による金融危機の象徴でした。

巨額の不動産融資の焦げ付き、金融機関同士の損失の押し付け合い、様々な金融スキャンダルの発生・・・
日経によれば、1991年10月から92年8月にかけて、母体行(=住専の株主である金融機関)を中心に第一次再建計画がまとまる、と書いてあります。

この再建計画を作成するための原資料を準備するために、1991年の4月から数ヶ月間、私は、ある住専の貸出債権洗い直し作業に銀行から派遣されて従事しました。
今朝の記事をみて、当時の記憶が鮮明に蘇ってきました。

まだ住専問題が社会問題となる前でした。
複数の銀行の融資審査担当者数名が極秘裏に召集されて、土日も、ゴールデンウィークも全て返上して、予約してあった家族旅行もキャンセルして、貸出債権一本ごとに、債務者の経営状況、返済履歴、担保の再評価などを行ないました。

私達の作業結果は、とてつもない金額の不良債権の存在を示しており、所属銀行の融資担当役員、あるいは銀行協会を通じて、逐次 大蔵省に報告されていました。

『これは世の中を揺るがす、未曾有の事件になる』
作業している私達の共通認識でした。

作業内容は、家族と言えども何も話せません。
また、心配して様子をうかがいにくる住専の社員にも話せません。

ですから、期間中、家族からも、住専の社員の人たちからも、かなり冷たい視線を浴びせられました。

今から考えると、なにか特別な手当が出るわけでもなく、唯一、タクシーチケットが使いたい放題であったことぐらいが役得であったような記憶しかありません。

あれから20年近くの年月が経過し、ありとあらゆる債権回収策を講じた結果、それでも処理すべき損失が数千億円規模で残っているというのですから、住専の破たんが、とてつもない規模の出来事だったのだなあと、改めて感じました。

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さて今夜は、ロンドンから来ているリスク管理担当のオフィサーと一緒に、飲みに行きます。

堅苦しいレストランでなく、いかにも日本っぽい雰囲気の居酒屋に行きたいとの本人の希望ですから、こういう来客は大歓迎です。
Comments (2)
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