2014年7月1日は、日本の歴史に大きな衝撃を与え、きっと世界史の中での記念日になるだろう。
第二次大戦の総括を日本国としてなすことなく、その場その場で、うじゃうじゃと対応してきた日本の、明快な右への大転換の日として記憶されるだろう。
日本の三権分立はどうなっているのかといぶかる現象だ。平和憲法9条を行政府の判断で変更し、戦争が出来る国にしてしまったのだから…。
僕自身はもう年寄りだから、直接の影響は受けないだろう。しかし、今の40代から下の若い世代は、まさにこの変換の大波を受けることになるだろう。
アメリカは、自分で日本に勧めた日本国憲法を変えたいと、ここ30年くらいは考えてきたのは明白だ。日本の政府にとっては、プレッシャーになっていただろう。
これからの世界の展望をしてみると、すでにアメリカと中国は、二大国で地球を治めようと合意している。
日本は、おんぶに抱っこのつもりで、今後もアメリカの抑止力の下にあると錯覚しているのではないだろうか。甘い、甘い。
アメリカは、いやアメリカ国民は、アジアでアメリカのプレゼンスを保持することに対する疑問を持ち始めて10年は経つ。
本音では、アメリカは、アラスカ、アリューシャン列島、グアム、ハワイを結ぶ線上で、自分の防衛線を保持すればいいと思っていると思う。つまり、中国との関係では、そこまでは引いても仕方がない、アメリカの若者の血をアジアではもう流させたくはないと考えている。
日本は、いつまでもアメリカは中國に対峙すると考えているようだけれど、それは甘い見込みだろう。
中国はこれから、世界の二大大国として、太平洋に強い影響力を持とうと進出して行くだろう。それが、習主席が声高に叫んでいる中華思想だ。アヘン戦争以前の中国を世界に復活させることだ。
中国の本音は、魚釣島(尖閣)とかのちっちゃの島が関心事ではなく、北朝鮮、韓国、日本、台湾、できればヴェトナムのラインで、自己の覇権を確立したいと思っているように見える。
安倍さんは、単独でも中国と戦おうと考えているのだろうか。安倍さんの血の中に流れるお爺ちゃんの思い、つまり第二次大戦の敗北はなかったものにしようという家の系譜的な考え方の延長線上に、今回の決断はあるのでは…。
これから5年後、10年後に、この憲法解釈変更の本当の結果を、日本人は見ることになるだろう。自衛隊員の、そして少子化下の日本では、他に選択肢の無い徴兵制度のもと、若人たちの血が流される普通の国の現実を知ることになるのでは…。
本当は、こうした世界を泳ぎ切るには、憲法9条は大きな外交の武器になるはずだ。しかし、日本人はそれに気がついていない。
2014.7.1が、そんな記念日にならないように願っている。
僕はその頃には、くたばっているだろうから、そんな辛酸は舐めないだろうけど…。