花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

心の中でガッツポーズ

2016年05月07日 | 研究
種差海岸のサクラソウの多くは種子繁殖できず
栄養繁殖、つまりクローンで増えています。
クローンは寿命がくると一斉に姿を消すため
いくら数が増えても危うい群落なのです。
そこで考えのが自生地内の群落間での人工授粉。
種子繁殖による新しい個体を誕生させることで
自生地の長期存続を図ろうというのが目的です。
しかしそう簡単に増えるはずがありません。
自然界での発芽率は研究されていないらしいのですが
相当低いと考えられます。
昨年の調査では残念ながら1株も確認できませんでした。
しかしチームの経験から発芽して2年ぐらいしないと
開花しないことを知っています!
今年はその2年目となるため、注意深く調査に望みました。
群落のどこの場所で人工授粉をしたか、
その集団はどんな個体が集まっていたかなどの
先輩方が残した貴重な情報をもとに
ひとつひとつ調べていきますがまったく見つかりません。
あきらめかけたその時、人工受粉した株の周辺を観察するとありました。
わずか2株だけですが、長花柱花の集団の中に
短花柱花という違う形質を持ったものが咲いているのです。
あきらかに種子から誕生した株に間違いありません。
また場所からいっても人工授粉によってできた可能性が高いといえます。
一昨年、この群落に人工授粉によって
播かれたと思われる種子の数は約2000粒以上。
そう考えると花を咲かせた確率はわずか1000分の1以下となります!
飛び上がって喜びたいところですが、ここは国立公園の自生地。
心の中でガッツボーズをして、帰路につきました。
なおこの結果を人工授粉にあたった卒業生に連絡したところ
地味な活動が実を結んだと喜んでくれました。
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サクラソウ!!

2016年05月07日 | 研究
昨日、2年生とともに種差海岸のサクラソウ自生地にやってきました!
2011年、津波被害を受けたサクラソウの救出から始まった
チームのサクラソウ自生地保全活動。
一昨年は専門家のアドバイスを受けながら
遺伝的多様性の維持を目的に群落間の人工授粉を行い、
新聞やテレビで大いに話題となりました。
さらにこの取り組みは他から植物を持ち込めない国立公園における
優れた保全策として昨年、環境省主催の活動発表会で表彰されました。
この活動でチームが目指しているのは人工授粉による種子繁殖の促進。
クローン繁殖している危うい自生地の存続を図るには
種子繁殖による新しい個体の誕生が絶対必要だからです。
人工授粉をしてから2年、うまくいけば
そろそろ新しい個体が顔を出すはずです。
そんな淡い期待を持って今年も調査を行いました。
種差海岸に向かうその日の午前、地元のNHKから
そろそろサクラソウ調査をする頃ではないかとの問い合わせがありました。
偶然ですが午後に調査を行うと告げたところ
なんと現地に行くと取材班が来ているではありませんか。
現在はひっそりとあまり知られないように活動をしていることから
あまり取材を受けたくなかったのですが、応援している方々もまだまだいます。
そこで短時間ですが、調査を行いながら取材を受けました。
2年生にとっては初めてのサクラソウ。
戸惑いながらも調査を進めていました。
その様子が本日、12:30頃と夕方6:45頃に地域の話題として放映されるとのこと。
もし機会がありましたらご覧ください。



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