花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

アップルガールズ

2019年12月29日 | 学校
これは校長室にある大型液晶テレビ。
画面の下の部分にこのようなシールが貼ってあります。
これを見ると京都大学で開催される科学アイデアコンテスト
「テクノ愛」でいただいたことがわかります。
ここで注目したいのが年号。「09」とあります。
つまり2009年にテクノ愛でいただいた副賞なのです。
2009年といえばフローラ結成の年。
ということは初代メンバーが受賞したのでしょうか。
人に問われると面倒なので「そのとおり」と話しますが本当は違います。
2009年、本校に赴任して園芸科学科の所属となったので
園芸科学科2年の男子5名と課題研究でチームフローラフォト二クスを結成します。
しかし課題研究は3年生にもあります。
そこで今はなき生活科学科の女子5名の面倒もみることになりました、
彼女たちは2010年3月に卒業するため、わずか1年だけのおつきあい。
そこでみんなで考えたのがあの「白いリンゴ」。
袋を最後まで被せたまま収穫するという常識破りの栽培法でした。
アップルガールズと名乗った彼女たちはその年のテクノ愛に
初代フローラとともに応募し、嬉しいことに2チームとも決勝に残りました。
フローラは忘れもしない最初の研究である「ミニナデシコ」。
ナデシコに強い光を照射することで伸長を抑制させる草花班らしいアイデアで
フローラフォトニクスと名乗るきっかけとなった研究です。
確かテクノ愛で優秀賞を受賞したはずです。
それに対してアップルガールズは絶好調。「白いリンゴ」はなんとグランプリを受賞し
その後、朝日新聞の天声人語やNHK、民放のテレビ番組に引っ張りだことなります。
このテレビはそんなアップルガールズがテクノ愛でいただいた副賞。
現物支給だったため、分けることもできず今も校長室に置かれているのです。
なお生活科学科は彼女たちの卒業と同時に学科改編により閉科。
そのため白いリンゴの研究はその後、園芸科学科のフローラが継承しました。
そして姉貴分である彼女たちの活躍に刺激を受けたフローラは
翌年のテクノ愛決勝に3テーマも送り込み、ワンツーフィニッシュしています。
超新星爆発のように生活科学科の最後の一瞬、
大活躍したアップルガールズの足跡が学校に今も残されています。
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柿の話?

2019年12月28日 | 学校
どこの町にも町の話題やお知らせを掲載する広報誌があるものです。
ここ南部町にもあり、毎月発行されています。
もちろんこの広報誌を読めるのは、南部町に住む町民の皆さん。
本屋さんで売っているものではありません。
したがって名農生や職員といえども読める人は多くありません。
先日、学校でピンク色のラインマーカーがひかれている広報誌を見つけました。
見出しを見ると地域特産の妙丹柿の記事です。
取材を受けているのは地元の農産物加工メーカー。
干し柿などをスライしてチョコディップするなど
人気のお菓子に加工して販売されている会社です。
読んで見ると名久井農業高校の研究をベースにして
商品開発されたことなどが書かれています。
もちろん技術のベースになったのはチームフローラが
2011年に開発した紫外線による妙丹柿の渋抜き法と
その数年後にフローラと生物工学班が開発した真空による渋抜き法です。
メーカーのご相談を受け、技術開発してからもう何年も経っています。
また高校生のアイデアを実用化するためにメーカーさんは相当の努力をされたはず。
それなのに、このようにまだ名農の名前を出してくれるとは嬉しい限りです。
渋抜きに最初に取り組んだのは自分たちの研究をすべて休止し
東日本大震災による塩害を受けたサクラソウの救出に立ち上がった女子メンバー。
被災した山田町でマイクロバブルを駆使して除塩活動した彼女たちの
残した数少ない研究成果のひとつです。
翌年、後輩たちが除塩活動を引き継ぎ大活躍していますが
そのベースはすべて彼女たちが築いてくれたものです。
もし彼女たちがこの広報誌を家で読んでいるとしたら
きっと当時を懐かしく思い出しているに違いありません。
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元祖甘!

2019年12月28日 | 
ここに珍しい柿があります。
名前は「御所柿」。奈良や鳥取で栽培されている甘柿です。
富有柿のような大きく平らな柿ですが、少しお尻が飛び出ています。
青森県ではこのような姿の柿はどこのお店を探しても見ることはできません。
この柿の売りは濃厚な甘さ。甘柿なのでいつ食べてもいいのですが
少し柔らかくなってきたところを
手で割って食べるのが産地の食べ方だと紹介されています。
食べてみましたが、妙丹柿をはるかに超えたねっとりとした甘さです。
さてこの柿がすごいのは歴史です。
なんと室町時代に渋柿が突然変異を起こしたもので
日本に初めて誕生した甘柿だというのです。
つまり今、流通している甘柿のルーツ。
そう考えるとなんだかありがたくなってきます。
ビジネス類型のある環境システム科では
ビジネスの基礎や起業などについても学びます。
また生物生産科では地域の特産品を考える商品開発という授業もあります。
そこで学ぶのが商品のストーリー性。
商品の背景にある歴史や苦労を紹介することで売り上げが向上するのです。
この御所柿も知らずに食べるとただの柿ですが
歴史を知ることで貴重性を感じられて面白いものです。
渋柿の妙丹柿しかない青森県と違い
暖かな西日本にはまだまだ見たこともない柿がきっとあるはず。
歴史を学びながら食べてみたいものです。
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戦力外通告

2019年12月27日 | 学校
名久井農業高校2学期最後の行事は研究発表会。
寒い体育館をストーブであたためて行われました。
最初はポスター発表会。3年生の各研究チームが
2年間取り組んできた成果を自信満々で披露しています。
その数、20チーム弱。さまざまな農業分野がターゲットになっています。
農業クラブでは大きく研究分野を3つに分類しています。
1類は生産・流通・経営、2類は開発・保全・創造、
そして最後の3類がヒューマンサービスです。
どうしても南部太ネギなど地域の特産物を扱う学科が多い名農では、
約60〜70%が1類に該当。ポスター発表でも激戦区となります。
次に多いのが2類。実はこの分野、イメージ的に環境保全や土木という
イメージがありますが、食品製造も含まれるからです。
本校生物生産科の人気類型が食品製造。
地域の加工品開発などに取り組むため女子にも人気で、どうしても多くなります。
しかし大会では美味しいバンを作る研究と地域の自然保護活動を比較して
優劣つけることになるので、なんともスッキリしない分野でもあります。
今回少なかったのは3類。農業高校でいうヒューマンサービスとは
動植物や地域資源の活用をいい、セラピーから町おこしまで多種多様です。
かつては地域に密着したダイナミックな活動をしている名農の得意分野でしたが
今年の3年生は思ったより取り組んだ人は少なかったようです。
かつてフローラはサクラソウの保護などに取り組んでいたため2類に出場していましたが
最近はちょっと苦戦しています。なぜなら農業クラブのポイントは「地域」。
つまり私たちの住む地元農業に目を向けて、課題解決を図ることが重要なのです。
ところが最近の環境班の研究は遠くアフリカを想定したものばかり。
確かに意義ある取り組みですが、農業クラブでは的外れ。
したがって最近は名農農業クラブに貢献しにくくなっています。
年が明けると来年の県大会代表を決める2年生の研究発表会が行われます。
頑張りたいのですが戦力にならない環境班。
戦力外通告を受けるかもしれません。
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椿と山茶花

2019年12月27日 | 学校
かたそうな蕾がついています。
これは椿。来春、赤い花を咲かせます。
ところでみなさんはツバキとサザンカ(山茶花)の違いがわかりますか。
サザンカは暖かな西日本に自生するツバキの仲間です。
そのため私たち北国に住む者にとっては
歌の歌詞で耳にするぐらいで、あまり馴染みがありません。
かつて農業クラブの全国大会で島根県に行った際、
先輩の先生からこの庭で咲いている花がサザンカだと
教えてもらって見たのが最初で最後です。
したがってツバキとの違いはよくわかりませんでした。
しかし2つの花にはいくつか違いがありました。
そのひとつが散り方。ツバキは花首から落ちることで有名ですが、
サザンカは花びらを散らします。散り際がまったく違うようです。
お近くにどちらの花も見ることができる方は、ぜひ確かめてください。
ところで今、5・7・5の定型俳句が人気です。
確か松山で開催される高校生俳句甲子園は今年青森県の高校が優勝したはずです。
その5・7・5の定型にとらわれない俳句が自由律。
有名なのが山頭火です。山頭火に有名な椿の句があります。
「笠にぽっとり 椿だった」
旅人の笠に落ちてきたツバキをうたった句ですが
定型には収まらない3・4・6の余韻が
なんともいえない空気感を感じさせます。
さて名農は本日仕事納め。仕事初めは新年6日からです。
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