あも&サチアキの交換日記

どうやら交換日記が続いているようです(祝何年目?

ヴェニスの商人を読んだよ

2021-05-02 | from:amo
教養がないって嘆いていてても仕方ないので
少しずつ古典を読むようにしているsachiakiです。

というわけで、齢40歳を超えてやっと
「ヴェニスの商人」を読み終えたところなのです。
お芝居でも映画でも見たことのない話だったので
まっさらな知識で挑んだわけなのですけれど
いやぁさすが400年以上も読み継がれてきただけあります
間違いなく名作ですわ……。
お芝居用の台本仕立ての本なので戯曲と呼ばれるものですが
ほぼセリフだけで進んでいくので
漫画を読むようなイメージで読み進められるから
とても読みやすいんですけれど、
文庫本にて140ページ程度の内容なのに
どうしてこんなに深い内容が込められるのかと
ただただため息しか出てこなくてね……。

内容的には高利貸しのユダヤ人ことシャイロックと
キリスト教徒であり、聖人として名高いアントーニオの
二人の人生観を含んだお金の貸し借りの話なんだけれど、
見方としては「走れメロス」のような熱烈な友情の話でもあり、
「大岡裁き」のような名裁き(とんち)で人を救う話でもあり、
国を超えた恋人たちのロマンスの話でもあります。
ね、これだけでも濃厚な予感がするでしょ?

これね。
まず時代背景として中世のヨーロッパって
キリスト教徒が多くを占めているんだけど
彼らは金貸しを汚い職業だということで禁止されているような感じなのよ。
でもユダヤ人は金貸しを職業とすることができるので
結果的にお金が足りない人はお金を借りることをしたいんだけど
同じキリスト教徒から借りることができない…みたいなものなのね。
だからユダヤ人から借りるんだけど、ユダヤ人っていうのは
キリスト教が生まれた時からずっとキリスト教徒の敵なわけなんですけれど
それはもうご存知の通り、キリストを迫害したのがユダヤ人だからなんだけど
そういったキリスト教ににとっての敵から金を借りるってことは
とてつもない屈辱であるわけなんですね。
だからユダヤ人からお金を借りることしかできないくせに
ことあるごとに汚い言葉で金貸しのユダヤ人(シャイロック)を追い詰めるわけなんです。

そんな時代に聖人と描かれているアントーニオという人は
彼はヴェニス中探してもこんなに誠実な人間はいない!
という美徳の塊のような商人で
貿易をするための船を何艘も持っている豪商として
そのため彼はたくさんの人々に慕われているため
時にお金で困っている人に施したりしているので
シャイロックにとっての商売敵になっています。
そしてこんな聖人であってもシャイロックに対しては辛辣な言葉を投げ
金貸しという汚さについてこれでもかというほど罵ったりします。
単純に言えば差別を公然としているってことになります。
差別する人なのに聖人だなんて笑っちゃいますよねw

そしてこのアントーニオの親友バサーニオが恋をした
隣国の美姫へプロポーズするためにめちゃくちゃお金が必要だって
ところから話が始まります。
この美姫への求婚者たちもたくさんいるんだけど、
彼女は以下のわけがあって自分で結婚する人を選べません。
それは父の遺言で
「3つの箱を求婚者に選ばせて正しいものを選んだ者と結婚せよ」
という内容だったからなのです。
彼女は求婚してくる男たち(大公だったり王様だったり)が
欲深くロクデモナイことを見切っているので
彼らが箱を選ばないようにと願っていますし
その願いはずっと叶い続けてきたわけですが
彼女も実はその求婚者のお供として従事してきた騎士
バサーニオに恋心を抱いたのであります。
なのでこの二人を結ばせるために周りは動くのですけれど
アントーニオでさえ簡単には作れない大金だということで
アントーニオは自分を保証人として
シャイロックからお金を借りろと言い出すわけです。
シャイロックはそんな大金はおいそれとは出せないと渋りながらも
もし借金を返済期日に返せなかった時は
アントーニオの体の肉を1ポンドよこせという証書を作ります。
彼はバサーニオがきちんとお金を返してくれることを信じているし
バサーニオも結婚を勝ち取ってくるつもりでいるので
その心意気に応じています。

中略の間に他の恋人たちの話も入るけれど割愛してー

バサーニオは難問である箱選びをクリアし
美姫ことポーシャと晴れて結婚できるようになりましたが
それと同時に不吉な手紙が届きます。
それはアントーニオの商船がことごとく嵐に飲まれ沈没してしまい
彼の財産はほとんどなくなってしまったこと、
そしてそれとともにシャイロックへの返済日が過ぎてしまうことで
彼の命の期限がほとんどないということだったのです。
顔色がみるみる変わっていくバサーニオの表情を見て
ただごとではないと気づいたポーシャはわけを聞きます。

そしてわけを聞いた彼女はバサーニオの親友でもあり、
この求婚の立役者でもあるアントーニオは恩人であるとし
借りたお金の3倍を持たせて彼を故郷へと返します。

ポーシャの賢いところはこれだけじゃありません。
彼女はアントーニオがシャイロックによって法に訴えられており、
法律では証文を覆すわけにはいかないので
アントーニオがシャイロックによって傷つけられることを
止めることができないと知り、彼女は法律の博士にすぐさま手紙を出し
なんと侍女とともにその博士から紹介状をもらって
法律を扱う大家として法廷に出没します。
もちろん若い男性の変装をして。

彼女は最初いかなる時も法を破ることはできないとし、
結ばれた約束は果たされなくてはならないと
シャイロックの方に歩み寄っているかのように見せかけます。
そして彼に
3倍の利子を受け取って、アントーニオに恩情を出すことはできないか?」
と聞きます。
すると彼は
「これまでの恨みつらみを忘れることはできない
 今こそ復讐の時だから利子などいらない
 違反としてもらうアントーニオの肉だけが欲しい」
と申したてました。
それを聞いて今度は
「では切り取られよ。ただし肉1ポンドのみだ。血の一滴も流してはならぬ」
と驚くような返しをするのです。
驚いたのはシャイロックで、
「そんなことはできません。それではせめて利子だけでも取り立てたい」
と申すものの「先ほどいらぬと拒否したではないか」と取りつく島もありません。
さらに「このヴェネチアの法律では外国人がヴェニス市民に殺人を企てた時は
命を狙われたものは狙ったものの財産を半分取得し、もう半分は国に納めるものとする」
と告げるのです。

シャイロックはその出自による同情を寄せられる身でありながらも
自らの復讐心で全てを奪われ
アントーニオたちは差別をしながらも果報を得るという
現代を生きる人間にとってシンドイ内容となっておりました。

シェイクスピアのすごいところの一つとして
セリフの人物を表す名の部分に「シャイロック」とする時と
「ユダヤ人」とする時があって、
「ユダヤ人」としている時はシャイロックという一人の人物に
ユダヤ人の代表としてものごとが采配されているという図式になっているんですよね。
公演をする際にどのぐらいシャイロックに思いを寄せられるかで
だいぶ印象が変わるお芝居になるそうです。
たしかにユダヤ人可哀想!ってだけでお芝居作ると
ちょっと薄っぺらくなるよねぇ。
彼は可哀想な人ではあるけれど、やっぱり悪党だし
非人情な人間性にて嫌われてしまうこともさもありなんなのですよね。
彼の娘さんは情のある子なので、アントーニオの別の友人と結婚しますし。

あとはこの本を読んで気になったのは
バサーニオが熱烈にポーシャを口説いて
あなたがいないなら自分は死ぬ!ってぐらいの勢いでプロポーズした舌で
法廷にポーシャが変装しているのに気づいていないとはいえ
アントーニオのいない人生など考えられぬ
アントーニオが死ぬぐらいなら、もともと自分の借金だから自分を殺せ
残してきた妻もきっと許してくれるだろう
って言うところですわね。
おま!どの口がそれを言うんか…ってなりましたわw
お前らの愛ってずいぶんと軽く移り変わるんだな…とw
まぁこのうっかり失言のせいで、
事件解決後のポーシャに意地悪をされるんですけれど
そりゃそういう意地悪もされるよね〜って内容だったので
ぜひお芝居を再確認してもらったら面白いかと思います。

次は「夏の夜の夢」を読む…というか途中になっていたので再開します。
妖精の王様と女王がケンカをすると人間はドエライとばっちりを食うのだな〜
なんてのんきなことを考えてしまう、恋愛ものの基礎のような話です。
シェイクスピアを読むと、ほとんどの小説霞んでしまうわね。
あなおそろしや。
まぁ日本には「源氏物語」がありますけどね。
こちらも未読なので早く読まないとなぁ。
とくに物語論考があるという「蛍の巻」は早く取り入れたいものです。

さて、お仕事にもどらねばなのでこの辺にて。
大型連休なんてどこにもなかった……なsachiakiですが適当にやるよ。
そんじゃまたね。モイモイ。
コメント
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