岐阜の画廊 文錦堂

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雨漏り・・・。

2012-10-27 14:57:03 | 工芸
皆さん、こんにちは。

今日も岐阜は、秋晴れの気持ちの良い土曜日となっています。

さて、午前中、ご常連のお客様と酒器談議に花を咲かせたのですが、その中で陶器の世界でよく使われる「器が育つ」という言葉について盛り上がりました。

これは、愛陶家ならではの呼び方で、使い込むうちに陶磁器の器肌に染みが出たり、艶を帯びたり、土味が柔らかになったりすることを意味しています。

取分け酒器などは、長年の使用によって器全体に酒が染み込むことで、器肌もしっとりと艶やかになることから、古来より酒徒はこれを「とろとろになる」と表現し、使い込んだ酒器が見せる様々な変化を喜んだそうです。

こうした美意識は、侘び寂びの精神を重んじる茶の湯の世界によって形成されたものなのでしょうが、世界に例を見ない、日本人固有の美意識と言えるのでしょう・・・。

酒器談議の中で、ご常連のお客様が、「器が育つよりも先に自分の肝臓の方が育つわ」と笑われながらも、「器が育つという実感がない」と申されたので、これは「論より証拠」ということで、父が育てた粉引のぐい呑をご覧になって頂きました。



茨城県笠間の地で粉引一筋に作陶されている吉村 昌也先生の酒器。 すでにとろとろに育っていますが・・・、

 先ずは、真っ白な見込み。

 酒(今回は水を使用)を注ぐと・・・、

 パッ、パッと雨漏りの景色が所々現れてきました。

 まるで花が咲いたかのような淡く紫色に生じた「雨漏り」。

 しばらくすると、全体に広がりました。

ご常連のお客様もこれには驚かれていました。(笑)

古来より酒徒に人気が高く珍重される「粉引」
白化粧土を前面にズブ掛けし透明釉をかけただけの作風は、柔らかな土味が特徴で、使い込むたびにその白い釉肌に酒が染み込み、長い年月を経て雨が滲み出たような景色を生じさせます。酒徒は、これを「雨漏り」と呼び賞玩したそうです。



左から、村山 健太郎「粉引ぐい呑」 / 川上 清美「粉引ぐい呑」 / 矢野 直人「粉引ぐい呑」

これら3作品もどのように育つか楽しみです・・・。

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