*7月29日(日) 晴れ
今日は荒川山(前岳・中岳・東岳=悪沢岳)と千枚岳を経て枚小屋まで下る。
登り標高差530m、下り標高差530m、約7kmの歩程。
この山は国土地理院の地図には東岳となっているで、その呼称が普及しつつあるようだが、
私たち古い登山者にとっては、どうあっても悪沢岳であらねばならぬ。
悪沢という名はそれほど深く私たちの頭に刻みつけられている。
とは言え、この名はそれほど由緒のある歴史的なものではない。
萩野音松氏が明治39年9月初旬、大井川上流西股左岸の中腹から悪沢岳を眺め、
山案内の猟師晃平に問へば、
「この山より出づる渓流の西股に注ぐもの甚だ険悪なれば
これを悪沢と呼び、この山即ち悪沢岳と言うなりと答えしは、
すこぶる出任せの言葉に似たり。」
甲州の一猟師が、さりげなく言った悪沢岳という名が、やがて確定的なものになった。
(日本百名山:悪沢岳より抜粋)
山の命名は、そんなに厳密ではないことがこの文章からうかがえる。
5:00 朝食、6:00スタートだ。
昨日小赤石岳肩から俯瞰した道を進む。
昨日下った道、荒川小屋も見える。
お花畑が始まる、鹿の食害からフェンスで保護されている。
凄~~~い夥しい花の数
:ハクサンイチゲ :クロユリ :トリカブト :イワウメ
:ミヤマコゴメグサ :テガタチドリ :イワベンケイ :ハクサンシャクナゲ
(もちろんこれだけではない、赤石岳で紹介した花は載せていない)
:荒川前岳(3068m)
7:45 稜線に出た、コルにリュックをデポし前岳山頂へ。
山の崩壊が激しい、「時間の力」は恐ろしい。
この稜線でチョウノスケソウ(チングルマの親戚)を発見!! (これ以降の登山道で多く見かけた)
:荒川中岳(3083m)
8:10 稜線の”空中散歩”で中岳へ。
塩見岳(3052m)が、(来年行くよ!!!)
中岳周辺で見た珍客です。
中岳から悪沢岳へは、一旦鞍部に降りて岩場を登り返します。
今日一番の登り、シコタンソウとシコタンハコベが元気づけてくれます。
:悪沢岳(東岳)3141m
10:11 悪沢岳山頂、大きな岩がゴロゴロしている。
振り返れば中岳、前岳が。
岩がゴロゴロする足場の定まらない道を下る、雨がふればいやな場所だ。
:”赤石のオブジェ”
自然は時に「アーチスト」でもある。
赤石岳(山脈)の由来となった、赤い石をここで見つけた。
この赤色の岩石は南アルプスの大部分を占める、砂や泥が厚く堆積した所が深く沈降した時に、
地下のマグマから火山活動によってあふれ出した火山灰などが海水で冷やされて出来た凝灰岩や、
珪質の殻を持つ微生物(放散虫=ラジオラリア)の遺体が堆積してできた赤色チャート。
:丸山から見た千枚岳
丸山まで下り、さらに千枚岳の鞍部まで下り、ここから今日最後の千枚岳への登りとなる。
:タカネナデシコ :イワオウギ :ミヤマムラサキ :タカネビランジ
:コラボレーション :タカネヨモギ
この岩場にも花が、タカネビランジも咲いている、開までとはいかないが。
:千枚岳(2880m)
12:00 千枚岳山頂、雲が出てきた、昼食。
千枚岳この名前についても少し調べた。何かの数とは推測したが、林業関連ではわからない。
千枚の語源は、木材の伐採時、山から木を出すための木馬道(ソリ道)と修羅(傾斜地で丸太を
おろすための滑走路)を必要とする。この木馬修羅を千枚取り付けたことに由来するという。
(出典:谷有二著 山名の不思議より)
:ニリンソウ :オオサクラソウ :トゲブキ :タケシマラン
12:30 約20分下って、普請中の千枚小屋へ。
今日は”ユッタリ”のスペースを確保できた。
夕食:ハンバーグとサラダ 朝食:洋食バナナ付き
*7月30日(月) 晴れ
山小屋の朝は早い、4:00起床、5:00朝食がベース。
今朝は4:00スタートしたパーティがいたので、早く起こされた。
小屋の正面には富士山が、夜明けの富士山をじっくり撮った。
:笊が岳(中央)
今日の歩程は、標高差1500m、約9.6kmを椹島ロッジまで下る。
6:00スタート、長~~~い樹林帯を下る、(退屈だろうな)
:楽しい看板
6:30 駒鳥池というよりも沼、駒鳥も休みで不在。
:コイチヨウラン :イチヤクソウ
7:50 蕨段 8:15 清水平(水場) 通過
10:00 岩頭の見晴らし台へ、ここから大きな岩を越えて行く。
トラバースルートはない!文字通り最後の登り、下りに慣れた足には負担になった。
11:00 吊り橋へ
岩を登りきると、今度は油断のならないザレ場を下る、足を滑らせれば沢へ落ちる。
気は抜けない、沢の音が大きくなる。
11:10 千古の滝・・・涼しい~ゼ ヨ。
:大倉喜八郎さんです
11:30 椹島ロッジへ戻ってきた。
泊日、「ゆるゆる」の行程ながら最大標高差000m、約kmを歩いた。
意外と疲労がないのは、日時間程度の行動時間、標高差も00~00mぐらいなら、
”乳酸”も溜まる余地がないのかもしれない。
ロッジで昼食とビールで打ち上げし、13:00の送迎車で帰途に着いた。
:ネジバナ :シナノナデシコ :白旗史郎記念館 :そしてピーカンの空
*****
行程 (標高差約2000m、約28km)
7月27日(金) 6:00 椹島ロッジ ⇒(大倉尾根) ⇒8:00 樺段 ⇒12:05 赤石小屋
28日(土) 5:50 赤石小屋 ⇒6:40 富士見平 ⇒9:15 稜線(コル) ⇒赤石岳山頂(昼食)
10:50 コル ⇒11:00 小赤石岳 ⇒12:25 大聖寺平 ⇒13:05 荒川小屋
29日(日) 6:00 荒川小屋 ⇒(お花畑) ⇒稜線 ⇒7:40 前岳 ⇒稜線 ⇒8:10 中岳
10:10 悪沢岳 ⇒12:00 千枚岳(昼食) ⇒12:30 千枚小屋
30日(月) 6:00 千枚小屋 ⇒6:30 駒鳥池 ⇒7:50 蕨段 ⇒8:10 清水平
10:00 岩頭見晴らし台 ⇒11:00 吊り橋 ⇒11:10 千古の滝 ⇒椹島ロッジ
*****
南アルプス(赤石山脈)は、北アルプス(飛騨山脈)と比較すると、山容が大きく、高低差が大きい。
南に位置するため森林が深く、岩場や雪渓が比較的少ないなどのことから、近代登山は遅れて発達した。
山小屋などの施設も少ない。日本でも最も、原生林がよく残されており、南部は原生自然環境保全地域に
指定され、一部の人工物を排して保護が行われている。
(コンサイス日本山名辞典:赤石山脈より抜粋)
******
南アルプスの良さはこの文章に集約されている。
自然が残っている、花が多いのには正直驚いた。
自然の最大の天敵は我々登山者、
「自然にそして自分に」負担をかけないように歩きたいものだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます