なかなか面白い。昨今はアニメーションといえば“猫も杓子も3D”みたいな感があるが(特にハリウッド製)、通常の2Dでもここまでやれることを示してくれただけでもアッパレだ。やはりマッドハウスの作品は何を置いてもチェックしなければならない。

異星間の交流が当たり前になった遠い未来。とっくの昔にクルマはエアカーに置き換わっているが、そんな中で非合法の従来型自動車レースに熱中する連中がいた。イエローラインと呼ばれる地区大会で名を挙げた者は、銀河系チャンピオンを決めるレッドライン選手権に出場することができる。主人公のJPはイエローラインでは常に上位に入る実力者だが、トップを取ったことはほとんどない。それもそのはずで、彼はエンジニアである相棒のフリスビーと共に八百長レースを仕組み、ゴール前では他選手に勝ちを譲ってしまうのだ。
ところがその年のレッドラインの開催地が軍事独裁体制を敷き周囲の星々から顰蹙を買っているロボワールド星系に決まり、何人かが出場を辞退したことでJPにエントリーの権利が回ってくる。めったに出られない大舞台で、彼はいつもの出来レースをやるのを潔しとせず、ガチンコの勝負に臨む。
とにかく、レースシーンの迫力に圧倒させられる。アクセルペダルをひょいと踏み込むと、キャラクターの造型はもちろんメカのデザインも周囲の風景もデフォルメされた異形の世界へと突入。超絶的なスピードを味わうということは、まさにこういうことなのかと、大いに納得させられる。少なくとも、ヘタな3D映画に大差を付ける独走ぶりだ。
レッドラインは“何でもあり”のレースで、勝つためならば武器の使用もオッケーだ。もちろん、重武装にすると車体が重くなってスピード競争には不利なので、そのへんの按分も各ドライバーの腕の見せ所である。賑やかな大道具・小道具を搭載したマシンの数々も面白いが、JPは武器類はいっさい使用せず、重量を抑えることによる小回りの良さと自身のテクニックで勝負する。

今回はこれにレースを潰そうとするロボワールド軍が加わり、さらには暴走した“大量破壊兵器”も乱入して、三つ巴・四つ巴の様相を呈してくる。残念ながら脚本はそのあたりの交通整理は上手くいっておらず、大風呂敷を広げすぎた感がある。ただし、ジェットコースター式に展開するアクションの釣瓶打ちに些細なことは気にならないのも事実だ。
原作・脚本・音響監督は「鮫肌男と桃尻女」などの石井克人。監督は石井と「PARTY7」を共同製作した小池健。深みはないが、小気味良い演出テンポは見上げたものだ。声の出演には木村拓哉、蒼井優、浅野忠信という豪華な顔ぶれを揃えている。
木村は声だけでも気取った“キムタク臭さ”が前面に出ているところが御愛敬だが(笑)、感心したのは「鉄コン筋クリート」に続いて声優に挑戦した蒼井で、キャラクターをフッと浮かび上がらせるような存在感を見せる。やはり彼女の実力は大したものだ。とにかく、3Dの氾濫に辟易している向きは必見の映画だと言える。

異星間の交流が当たり前になった遠い未来。とっくの昔にクルマはエアカーに置き換わっているが、そんな中で非合法の従来型自動車レースに熱中する連中がいた。イエローラインと呼ばれる地区大会で名を挙げた者は、銀河系チャンピオンを決めるレッドライン選手権に出場することができる。主人公のJPはイエローラインでは常に上位に入る実力者だが、トップを取ったことはほとんどない。それもそのはずで、彼はエンジニアである相棒のフリスビーと共に八百長レースを仕組み、ゴール前では他選手に勝ちを譲ってしまうのだ。
ところがその年のレッドラインの開催地が軍事独裁体制を敷き周囲の星々から顰蹙を買っているロボワールド星系に決まり、何人かが出場を辞退したことでJPにエントリーの権利が回ってくる。めったに出られない大舞台で、彼はいつもの出来レースをやるのを潔しとせず、ガチンコの勝負に臨む。
とにかく、レースシーンの迫力に圧倒させられる。アクセルペダルをひょいと踏み込むと、キャラクターの造型はもちろんメカのデザインも周囲の風景もデフォルメされた異形の世界へと突入。超絶的なスピードを味わうということは、まさにこういうことなのかと、大いに納得させられる。少なくとも、ヘタな3D映画に大差を付ける独走ぶりだ。
レッドラインは“何でもあり”のレースで、勝つためならば武器の使用もオッケーだ。もちろん、重武装にすると車体が重くなってスピード競争には不利なので、そのへんの按分も各ドライバーの腕の見せ所である。賑やかな大道具・小道具を搭載したマシンの数々も面白いが、JPは武器類はいっさい使用せず、重量を抑えることによる小回りの良さと自身のテクニックで勝負する。

今回はこれにレースを潰そうとするロボワールド軍が加わり、さらには暴走した“大量破壊兵器”も乱入して、三つ巴・四つ巴の様相を呈してくる。残念ながら脚本はそのあたりの交通整理は上手くいっておらず、大風呂敷を広げすぎた感がある。ただし、ジェットコースター式に展開するアクションの釣瓶打ちに些細なことは気にならないのも事実だ。
原作・脚本・音響監督は「鮫肌男と桃尻女」などの石井克人。監督は石井と「PARTY7」を共同製作した小池健。深みはないが、小気味良い演出テンポは見上げたものだ。声の出演には木村拓哉、蒼井優、浅野忠信という豪華な顔ぶれを揃えている。
木村は声だけでも気取った“キムタク臭さ”が前面に出ているところが御愛敬だが(笑)、感心したのは「鉄コン筋クリート」に続いて声優に挑戦した蒼井で、キャラクターをフッと浮かび上がらせるような存在感を見せる。やはり彼女の実力は大したものだ。とにかく、3Dの氾濫に辟易している向きは必見の映画だと言える。