(原題:Une Liaison Pornographique)99年作品。何と切なく抑制の利いた大人のドラマになっていることか。中盤以降の展開には“うんうん、そうなんだよな”と心の中で納得しまくりだった。ラストの処理なんて泣きたくなる(さすがフランス映画だ)。
パリのカフェで知り合った中年男女。互いの名も知らず語り合い、やがてホテルに向かう。どこに住んでいるのか、どういう人生を送っていたのか、そんなことは関知せずに、ただ肉体だけの関係と割り切り逢瀬を重ねる。しかし、やがて二人の間に恋愛めいた感情が通い始める。
二人が別々にインタビューを受け、相手に対する思いを打ち明けるという、いわばドキュメンタリー・タッチで進むが、このあたりのリアリティには感心する。何しろ、同じように行動しているにもかかわらず、微妙に心情にズレがあるのだ。これがまた凡百の映画のように“頭の中で考えただけ”というレベルを遙かに超え、作者が本当にこういう場を経験したかのごとく(笑)きめ細かいところまでカバーしてくる。
ただセックスのみを目的とした割り切った男女関係(フーゾクを除く)など存在しないのではないか。そんな、考えてみればアタリマエの命題を、いいトシしたオッサンとオバサンを素材にここまで訴求力のある作品に仕上げた監督フレデリック・フォンテーヌの力量は大したものだ。
主演のナタリー・バイとセルジ・ロペスのパフォーマンスは素晴らしい。特にナタリー・バイは第56回ヴェネツィア国際映画祭で主演女優賞に輝いている。80分という尺も良く、そして冬のパリの点描はステキだ。
パリのカフェで知り合った中年男女。互いの名も知らず語り合い、やがてホテルに向かう。どこに住んでいるのか、どういう人生を送っていたのか、そんなことは関知せずに、ただ肉体だけの関係と割り切り逢瀬を重ねる。しかし、やがて二人の間に恋愛めいた感情が通い始める。
二人が別々にインタビューを受け、相手に対する思いを打ち明けるという、いわばドキュメンタリー・タッチで進むが、このあたりのリアリティには感心する。何しろ、同じように行動しているにもかかわらず、微妙に心情にズレがあるのだ。これがまた凡百の映画のように“頭の中で考えただけ”というレベルを遙かに超え、作者が本当にこういう場を経験したかのごとく(笑)きめ細かいところまでカバーしてくる。
ただセックスのみを目的とした割り切った男女関係(フーゾクを除く)など存在しないのではないか。そんな、考えてみればアタリマエの命題を、いいトシしたオッサンとオバサンを素材にここまで訴求力のある作品に仕上げた監督フレデリック・フォンテーヌの力量は大したものだ。
主演のナタリー・バイとセルジ・ロペスのパフォーマンスは素晴らしい。特にナタリー・バイは第56回ヴェネツィア国際映画祭で主演女優賞に輝いている。80分という尺も良く、そして冬のパリの点描はステキだ。