猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア

2018-03-20 22:33:14 | 日記
2017年のアイルランド・イギリス合作映画「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・ 
セイクリッド・ディア」を観にいった。

心臓外科医のスティーブン(コリン・ファレル)は、眼科医の妻アナ(ニコール・キッ
ドマン)、娘キム(ラフィー・キャシディ)、息子ボブ(サニー・スリッチ)と共に豪邸
に暮らしていた。スティーブンはマーティン(バリー・コーガン)という少年と家族
には秘密で時々会っており、プレゼントを贈ったりと気にかけていた。ある日マーテ
ィンを家に招くことになり、家族はマーティンに好印象を持つ。だが、マーティンが
来て以来、家族の中に奇妙なことが起こり始める。子供たちは突然歩けなくなり、這
って移動しなければならなくなる。そしてマーティンはスティーブンに、家族の1人
を殺さなければスティーブン以外の3人は死ぬことになると言う。スティーブンは容
赦ない究極の選択を迫られる。

ホラー映画になるのだろうか?とても不気味な映画だった。心臓外科医のスティーブ
ンは妻子と幸せに暮らしていたが、1つだけ、マーティンという16歳の少年のことが
気掛かりで、時々会っては話をしたりカフェに行ったりプレゼントをあげたりしてい
た。そのうちマーティンはスティーブンの家に行きたいと言い出した。マーティンが
自分の生活の中に入ってこようとしているのは明らかで、スティーブンは困惑する。
ある日マーティンを家に招くが、マーティンはキムやボブとも気が合い、アナにもい
い子だと言われる。しかしその後、突然ボブは脚が麻痺して歩けなくなり、緊急入院
をすることになる。いろんな検査をしても原因がわからず、やがてボブは食べ物を受
け付けなくなる。そしてキムも倒れる。
全編に不穏な雰囲気と緊張感が漂い、とてもおもしろかった。不安を煽るような音楽
もいい。マーティンのしていることは、スティーブンに対する復讐である。もちろん
それはわかるのだが、何故マーティンにそんなことができるのか。スティーブンの子
供たちは歩けなくなり、食べ物を拒絶するようになり、目から血を流すようになる。
マーティンが予言した通りのことが起こるのだ。そして家族の誰かをスティーブンが
1人選んで殺さないと、スティーブン以外の3人は死ぬと言う。アナ、キム、ボブの自
分だけは助かりたいという気持ちが交錯し、人間の醜さが露呈する。特にアナの発言
はショッキングである。こうしてこの家族を振り回し、スティーブンを苦悩させるこ
とがマーティンの狙いだったのだろう。
マーティンとは何者なのか。何か特殊な能力を持っているのか?彼の狙いはわかるが
一体どうやって?本当に不気味なストーリーである。スティーブンの娘キムも何だか
気味が悪い。そして何も解決しないまま映画は終わる。マーティンとは何だったのか。
タイトルの「聖なる鹿殺し」はギリシャ神話から来ているらしい。こういう奇妙で不
条理な映画はとても私の好みである。




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