猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

泣くな赤鬼

2019-06-22 18:47:57 | 日記
2019年の日本映画「泣くな赤鬼」を観にいった。

元・城南工業高校野球部監督・小渕隆(堤真一)は、日に焼けた赤い顔と、鬼のような
熱血指導で"赤鬼先生"と呼ばれ恐れられていた。だが、甲子園出場を目前にしながら
も夢に破れ、10年の月日が流れた今は、野球への情熱をすっかり失っていた。ある
日、小渕はかつての教え子・ゴルゴこと斎藤智之(柳楽優弥)と偶然再会する。ゴルゴ
は野球の才能は持ちながらも、挫折して高校を中退した生徒だった。しかし、今では
結婚して妻・雪乃(川栄李奈)と長男との幸せな家庭を持つ立派な大人に成長。ところ
が、そんな再会も束の間、小渕は雪乃からゴルゴが末期癌で余命半年であることを知
らされる。辛い現実を突きつけられた小渕の脳裏に、あの頃の記憶が甦った。

重松清氏の短編小説の映画化。かつて野球の強豪校で監督をしていた教師の小渕は、
今はバリバリの進学校に勤務し、野球部は弱く、野球への情熱を失っていた。そんな
時に前の高校の教え子・ゴルゴと病院で再会する。小渕は胃の調子が悪く受診してい
たのだが、ゴルゴは会社の健康診断で引っかかったと言う。嬉しそうに小渕と話をす
るゴルゴ。その時はそれで別れたが、後日、ゴルゴの妻・雪乃が小渕の元を訪ねてき
て、夫が死んでしまうと泣き崩れる。
青春時代を振り返る切ない物語。ゴルゴは野球の素質は持ちながらも、努力すること
が苦手で、挫折して野球部をやめ、高校までもやめてしまった生徒だった。けれども
何故学校まで中退するに至ったのか、その心情が今ひとつわからなかった。野球をや
めたらやることが見つからなくなってしまったのだろうか。その辺りをもう少し丁寧
に描いて欲しかった。それにゴルゴのライバルだった和田(竜星涼)はもう10年も経
っているのに先生を恨み過ぎではないかと思った。グラウンドのシーンで和田が現れ
たのは偶然ではないだろう。あの時小渕に「来てくれたのか」という表情をさせて欲
しかったと思う。
色々と粗は目立つのだが、いい映画だった。原作は未読なので、原作の描写がどうな
っているのかわからないが、俳優たちの演技は皆素晴らしかった。特に堤真一と柳楽
優弥は本当に熱演だった。ラストシーンの堤真一の顔を上げた時の表情がとても良か
った。あの表情に全てが集約された物語だな、と思った。




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コメント (2)
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