猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

家へ帰ろう

2021-06-22 22:41:24 | 日記
2017年のスペイン・アルゼンチン合作映画「家(うち)へ帰ろう」。

アルゼンチン・ブエノスアイレスに住む88歳の仕立て屋のアブラハム(ミゲル・
アンヘル・ソラ)は足を悪くし、娘たちに老人ホームに入れられることになる。
しかしアブラハムはそれを嫌がり、最後のスーツを70年以上会っていないポー
ランド人の親友に渡す旅に出る。ユダヤ人であるアブラハムは、ホロコーストの
際に親友に命を助けられていた。途中様々な困難にぶつかるが、色んな人との出
会いにより助けられながら旅を続ける。しかしアブラハムの病状は悪化していく。

ホロコーストを生き抜いたユダヤ人の老人が、70年の時を経て、友人との約束
を果たすためにアルゼンチンから故郷ポーランドへ旅する姿を描いたロードムー
ビー。88歳のユダヤ人の仕立て屋アブラハムは、娘たちや孫たちに囲まれ、家
族の集合写真を撮っても浮かない顔をしていた。住み慣れた自宅兼仕立て屋を引
き払い、老人ホームに入ることになっていたのだ。親友に最後に仕立てたスーツ
を見てアブラハムはあることを決意する。家族が皆帰ったその日の深夜、家を抜
け出しマドリッド行きの航空券を手配、故郷ポーランドに向けて飛行機に乗り込
む。
ポーランドに住む親友は、アブラハムがホロコーストから逃れた時に助け、匿っ
てくれた(友人の両親は反対したが)命の恩人だった。だがもう88歳だし、生きて
いるとは限らない。それでもアブラハムは彼のために縫ったスーツを渡したかっ
たのだ。マドリッド、パリを経由してポーランドに向かうが、アブラハムは絶対
にドイツの地に降りたくなかった。何とかしてドイツを経由せずにポーランドに
行きたいと思っているのだが、それは不可能なことだった。ワガママなじいさん
だなあと思ったが、恐ろしい思いを経験したユダヤ人はそう思っても仕方ないの
かもしれない。
フランス語が話せず苦労したりするが、知り合った人たちがアブラハムの旅を支
えようと協力してくれ、偏屈なアブラハムも心を開いていく。ある女性が考えた
「ドイツの地に降り立たずにポーランドへ行く方法」は感心したが笑えた。その
旅の過程でアブラハムの足は悪化し、病院へ搬送され、危うく切断を逃れる。そ
の後は看護婦が車椅子を押してくれてアブラハムは友人を捜す。人の情けが身に
沁みるというのはこういうことを言うのだろう。知り合った人たちの助けなくし
てはアブラハムはポーランドに辿り着くことはできなかっただろう。
ところでアブラハムが疎遠になっていた末娘と再会するシーンがあるのだが、こ
れは「リア王」っぽいエピソードである。仲違いをして(というかアブラハムが
怒って)疎遠になっていた末娘が他の娘たちよりもアブラハムのことを大事に思
っていた、とわかるシーンがある。アブラハムもそのことに気づき、何とも言え
ない表情をしていた。このシーンは感動的だった。ラストは涙が出た。観て良か
った、と思えるとてもいい映画だった。


ノエル少しやせてくれないかな~。抱っこすると重たいんだけど。

コメント (6)
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