2017年のアメリカ映画「サラブレッド」。
しばらく疎遠だったが再会した幼なじみの少女アマンダ(オリヴィア・クック)
とリリー(アニャ・テイラー=ジョイ)。個性的すぎるために周囲からのけ者に
されているアマンダと、名門校に通い一流企業でのインターンも経験するなど
上流階級の暮らしを送るリリーは、全くの正反対に思えた。しかし、リリーが
抑圧的な継父を憎んでいることがわかったことから、2人は心を通わせ、友情
を深めていく。そして、次第に自身の中の狂暴性をあらわにしていく2人は、
ドラッグの売人であるティム(アントン・イェルチン)を雇い、リリーの継父の
殺害を企てる。
女子高生たちが主人公の心理サスペンス。お金持ちの家に生まれ育ち、名門校
に通うリリーは、幼なじみのアマンダの母親から相談され密かに報酬をもらい、
アマンダに勉強を教えている。アマンダは分析力には長けているが他者に共感
できず、感情や表情が薄いという性格で、人とうまく付き合えない。リリーに
勉強を教わっても、「スティーブ・ジョブズみたいに起業したい」と言って真
面目に勉強せず、リリーは呆れていた。アマンダがリリーの家を訪れている時、
リリーと継父とのやり取りを見てアマンダはリリーが継父を嫌っていることを
察した。
リリーは一見お金持ちのお嬢様だが、結構わがままである。一方アマンダは見
るからに風変りで、人から好かれるタイプではない。アマンダは自宅で飼って
いる馬がケガをしたため安楽死させようとするが、薬が少なかったため効かず、
馬が苦しんでいるのを見てナイフで殺しており、動物虐待で訴えられていた。
馬の写真はネットで出回っており、地元の少年少女たちはアマンダを異常だと
思っている。ある少年は「自分の馬によくあんなことができるよな」と言った。
そしてリリーの方も問題を抱えていた。継父がリリーを転校させ寄宿舎に入れ
ようとしていると知ったのだ。そこは問題児が通う学校だった。そして「高校
を卒業したら無一文で放り出す」と言い、母親に相談しても母親は夫の言いな
りだった。
アマンダが自分の馬を惨殺した(本人が言うには安楽死させた)というところが
大きなポイントになっている。アマンダは本当に感情が薄いのだ。こういう人
っていると思う。リリーの方は感情的なタイプで、2人は正反対に見えるが案
外呼吸が合うものである。こういう人たちがタッグを組んだら怖いものなしな
のではないだろうか。2人は麻薬の売人であり未成年を強姦した前科のあるテ
ィムに、強盗に見せかけて継父を殺して欲しいと依頼するが、ティムは引き受
けたものの怖じ気づいて結局実行しなかった。
なかなかおもしろかったのだが、リリーもアマンダもどちらも好きになれず共
感できなかった。殺人を計画する彼女たちに共感すること自体難しいのかもし
れないが。でもアマンダ役のオリヴィア・クックとリリー役のアニャ・テイラ
ー=ジョイの演技が秀逸で、少女たちの移ろい迷う心や憎しみがよく描写され
ていると思った。彼女たちに比べるとまだティムの方がまともに見えてしまう。
ラストがすっきりしないというか、その後をもっと観てみたいと思った。アマ
ンダとリリーがそれぞれ何を考えているのか、一応描かれてはいるがもう少し
踏み込んで欲しかった。彼女たちはあれからどう生きていくのだろう。
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しばらく疎遠だったが再会した幼なじみの少女アマンダ(オリヴィア・クック)
とリリー(アニャ・テイラー=ジョイ)。個性的すぎるために周囲からのけ者に
されているアマンダと、名門校に通い一流企業でのインターンも経験するなど
上流階級の暮らしを送るリリーは、全くの正反対に思えた。しかし、リリーが
抑圧的な継父を憎んでいることがわかったことから、2人は心を通わせ、友情
を深めていく。そして、次第に自身の中の狂暴性をあらわにしていく2人は、
ドラッグの売人であるティム(アントン・イェルチン)を雇い、リリーの継父の
殺害を企てる。
女子高生たちが主人公の心理サスペンス。お金持ちの家に生まれ育ち、名門校
に通うリリーは、幼なじみのアマンダの母親から相談され密かに報酬をもらい、
アマンダに勉強を教えている。アマンダは分析力には長けているが他者に共感
できず、感情や表情が薄いという性格で、人とうまく付き合えない。リリーに
勉強を教わっても、「スティーブ・ジョブズみたいに起業したい」と言って真
面目に勉強せず、リリーは呆れていた。アマンダがリリーの家を訪れている時、
リリーと継父とのやり取りを見てアマンダはリリーが継父を嫌っていることを
察した。
リリーは一見お金持ちのお嬢様だが、結構わがままである。一方アマンダは見
るからに風変りで、人から好かれるタイプではない。アマンダは自宅で飼って
いる馬がケガをしたため安楽死させようとするが、薬が少なかったため効かず、
馬が苦しんでいるのを見てナイフで殺しており、動物虐待で訴えられていた。
馬の写真はネットで出回っており、地元の少年少女たちはアマンダを異常だと
思っている。ある少年は「自分の馬によくあんなことができるよな」と言った。
そしてリリーの方も問題を抱えていた。継父がリリーを転校させ寄宿舎に入れ
ようとしていると知ったのだ。そこは問題児が通う学校だった。そして「高校
を卒業したら無一文で放り出す」と言い、母親に相談しても母親は夫の言いな
りだった。
アマンダが自分の馬を惨殺した(本人が言うには安楽死させた)というところが
大きなポイントになっている。アマンダは本当に感情が薄いのだ。こういう人
っていると思う。リリーの方は感情的なタイプで、2人は正反対に見えるが案
外呼吸が合うものである。こういう人たちがタッグを組んだら怖いものなしな
のではないだろうか。2人は麻薬の売人であり未成年を強姦した前科のあるテ
ィムに、強盗に見せかけて継父を殺して欲しいと依頼するが、ティムは引き受
けたものの怖じ気づいて結局実行しなかった。
なかなかおもしろかったのだが、リリーもアマンダもどちらも好きになれず共
感できなかった。殺人を計画する彼女たちに共感すること自体難しいのかもし
れないが。でもアマンダ役のオリヴィア・クックとリリー役のアニャ・テイラ
ー=ジョイの演技が秀逸で、少女たちの移ろい迷う心や憎しみがよく描写され
ていると思った。彼女たちに比べるとまだティムの方がまともに見えてしまう。
ラストがすっきりしないというか、その後をもっと観てみたいと思った。アマ
ンダとリリーがそれぞれ何を考えているのか、一応描かれてはいるがもう少し
踏み込んで欲しかった。彼女たちはあれからどう生きていくのだろう。
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