1999年のフランス・ドイツ・スイス・日本合作映画「ポーラX」。
ノルマンディーの美しい自然に囲まれた城館で、仮面作家のピエール(ギヨーム・
ドパルデュー)は外交官だった父の亡き後、「姉、弟」と呼び合う仲の良い母マリ
ー(カトリーヌ・ドヌーヴ)と何不自由なく暮らしていた。婚約者リュシー(デルフ
ィーヌ・シェイヨー)との結婚も間近に控えていた。そんなピエールの前に突然、
異母姉と名乗るイザベル(カテリーナ・ゴルベワ)が現れる。彼女の出現で、以前か
ら渇望していた"この世を越える"きっかけを得たと感じたピエールは母もリュシー
も捨て、イザベルにいざなわれるようにパリへ出る。
レオス・カラックス監督作品。「フランス映画だな~」と思える映画だった。ピエ
ールは「アラジン」というペンネームで表に顔を出さず作家活動をしている。更に
外交官だった父が遺した城館と遺産で美しい母マリーと裕福な暮らしをしている。
婚約者のリュシーは結婚式のためにドレスを作る準備をしていた。順風満帆なピエ
ールの人生だったが、ある日浮浪者のような女が度々自分を見ていることに気づく。
カフェにいたピエールだったが女を追いかける。女は話し出す。自分の名前はイザ
ベルで、彼の異母姉なのだと。父が他の国の女性に産ませたのだと言う。
不思議な映画である。ピエールはイザベルの言うことをあっさりと信じ、姉だと思
うようになる。そして薄汚れた格好のイザベルに服を買い与えたりする。元々美し
いイザベルは身ぎれいになった。イザベルに何か特別な絆を感じ取ったピエールは、
母も婚約者も捨てて彼女とパリへ行き、廃墟の倉庫に住み着く。しかしピエールは
小説がなかなか書けず、生活はたちまち困窮していく。やがて母がバイクの事故で
死んだことと、リュシーがショックで病気になっていることを知る。
イザベルが本当にピエールの異母姉なのかどうかは物語の中で明らかにされないま
まだ。観ていて「多分本当なんだろうな」という感じ。ピエールもそれを信じてい
る様子なのに、何故か2人は関係を持ってしまう。この2人の関係性もよくわから
ない。カラックスの映画を観るのは5本目だがやっぱりよくわからない。おもしろ
いけど。そんなに深く理解しなくてもいいのかもしれない。やがてリュシーはピエ
ールを追ってきて、イザベルはリュシーがピエールの婚約者だと知らないまま3人
は一緒に暮らし始める。不思議な共同生活である。
ピエールが抱いていた「この世を越えたい」というのはどういう気持ちなのだろう。
人間ではない何かになりたかったのだろうか。ピエールは何不自由なく育った恵ま
れた青年なので、一応作家という仕事をしていても、地に足がついていない気がし
た。完璧すぎる生活に自分でも疑問を持っていたのだろうか。そんなふうには見え
なかったのだが。とにかくよくわからないところが多い物語だ。ピエールが望んだ
ものは何だったのか。ラストは思いがけない悲劇へと向かっていく。しかしそれで
も、ピエールにとっては安息の場所を得たことになるのかもしれないと思った。
良かったらこちらもどうぞ。レオス・カラックス監督作品です。
「ポンヌフの恋人」
「ホーリー・モーターズ」
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ノルマンディーの美しい自然に囲まれた城館で、仮面作家のピエール(ギヨーム・
ドパルデュー)は外交官だった父の亡き後、「姉、弟」と呼び合う仲の良い母マリ
ー(カトリーヌ・ドヌーヴ)と何不自由なく暮らしていた。婚約者リュシー(デルフ
ィーヌ・シェイヨー)との結婚も間近に控えていた。そんなピエールの前に突然、
異母姉と名乗るイザベル(カテリーナ・ゴルベワ)が現れる。彼女の出現で、以前か
ら渇望していた"この世を越える"きっかけを得たと感じたピエールは母もリュシー
も捨て、イザベルにいざなわれるようにパリへ出る。
レオス・カラックス監督作品。「フランス映画だな~」と思える映画だった。ピエ
ールは「アラジン」というペンネームで表に顔を出さず作家活動をしている。更に
外交官だった父が遺した城館と遺産で美しい母マリーと裕福な暮らしをしている。
婚約者のリュシーは結婚式のためにドレスを作る準備をしていた。順風満帆なピエ
ールの人生だったが、ある日浮浪者のような女が度々自分を見ていることに気づく。
カフェにいたピエールだったが女を追いかける。女は話し出す。自分の名前はイザ
ベルで、彼の異母姉なのだと。父が他の国の女性に産ませたのだと言う。
不思議な映画である。ピエールはイザベルの言うことをあっさりと信じ、姉だと思
うようになる。そして薄汚れた格好のイザベルに服を買い与えたりする。元々美し
いイザベルは身ぎれいになった。イザベルに何か特別な絆を感じ取ったピエールは、
母も婚約者も捨てて彼女とパリへ行き、廃墟の倉庫に住み着く。しかしピエールは
小説がなかなか書けず、生活はたちまち困窮していく。やがて母がバイクの事故で
死んだことと、リュシーがショックで病気になっていることを知る。
イザベルが本当にピエールの異母姉なのかどうかは物語の中で明らかにされないま
まだ。観ていて「多分本当なんだろうな」という感じ。ピエールもそれを信じてい
る様子なのに、何故か2人は関係を持ってしまう。この2人の関係性もよくわから
ない。カラックスの映画を観るのは5本目だがやっぱりよくわからない。おもしろ
いけど。そんなに深く理解しなくてもいいのかもしれない。やがてリュシーはピエ
ールを追ってきて、イザベルはリュシーがピエールの婚約者だと知らないまま3人
は一緒に暮らし始める。不思議な共同生活である。
ピエールが抱いていた「この世を越えたい」というのはどういう気持ちなのだろう。
人間ではない何かになりたかったのだろうか。ピエールは何不自由なく育った恵ま
れた青年なので、一応作家という仕事をしていても、地に足がついていない気がし
た。完璧すぎる生活に自分でも疑問を持っていたのだろうか。そんなふうには見え
なかったのだが。とにかくよくわからないところが多い物語だ。ピエールが望んだ
ものは何だったのか。ラストは思いがけない悲劇へと向かっていく。しかしそれで
も、ピエールにとっては安息の場所を得たことになるのかもしれないと思った。
良かったらこちらもどうぞ。レオス・カラックス監督作品です。
「ポンヌフの恋人」
「ホーリー・モーターズ」
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