1998年のアメリカ映画「プライベート・ライアン」。
1944年。連合軍はフランスのノルマンディー海岸に上陸するが、多くの
兵士たちが命を落とした。激戦を生き延びたミラー大尉(トム・ハンクス)
は、最前線で行方不明になった落下傘兵ジェームズ・ライアン二等兵(マ
ット・デイモン)の救出を命じられる。ライアン家は4人の息子のうち3人
が相次いで戦死しており、軍上層部は末っ子のジェームズだけでも故郷の
母親の元へ帰還させようと考えたのだ。ミラー大尉と彼が選んだ7人の兵
士たちは、1人を救うために8人の命が危険にさらされることに疑問を抱
きながらも戦場へと向かう。
スティーヴン・スピルバーグ監督が、第2次世界大戦時のノルマンディー
上陸作戦を題材に、極限状況に置かれた兵士たちの絆と生き様を描いた戦
争ドラマ。とても有名な映画だが観たことがなくて、この度初鑑賞した。
タイトルの「プライベート」というのはアメリカ陸軍の階級名称で、原題
の「Siving Private Ryan」は「兵卒ライアンの救出」という意味。
壮絶な戦闘の後、ノルマンディー上陸作戦を成功させたアメリカ軍だった
が、ドイツ国防軍の激しい迎撃にさらされ多くの戦死者を出してしまう。
そんな中、アメリカ陸軍参謀総長ジョージ・マーシャル(ハーヴ・プレスネ
ル)の元に、ある兵士の戦死報告が届く。それは出征したライアン家4兄弟
のうち3人が戦死したというものだった。残る末子ジェームズ・ライアン
も「敵地で行方不明になった」という報告が入り、マーシャルはライアン
を保護して本国に帰還させるように命令する。
とてもおもしろかったのだが、170分という長さや衝撃的なシーンの多さ
から、観て非常に疲れる映画だった。戦争映画は割と観ている気がするが、
ここまで戦争のリアルさを描いた作品はそうないかもしれない。もちろん
私は戦争のリアルを知らないのだが。ノルマンディー上陸作戦も名前だけ
は知っていたがどういうものかは知らなかったので、調べた。最初の方で
腕を吹き飛ばされた兵士が、もう片方の手でその腕を拾うシーンや、内臓
がほぼ出てしまっている兵士が「ママ…」と言っているシーンはグロテス
クで悲惨だった。
ミラー大尉役のトム・ハンクスの演技が素晴らしい。ミラー大尉は以前の
経歴を公表しておらず、謎多き人物なのだが(兵士たちの賭けのネタにさ
れるほど)、次第に告白していく過程がおもしろく、特にジェームズ・ラ
イアンとの会話は胸に残る。この作品の当時20代だったマット・デイモ
ンもかわいく見える。ミラー大尉が選んだ救出メンバーも戦死していき、
どうしてこんな犠牲を出してまでライアン二等兵を助け出さなければなら
ないのだろう、と思って観ていたのだが、当時のアメリカ陸軍には「兵役
により戦闘任務に参加している家族が複数人戦死した場合、最後に生存す
る息子を保護する」という「ソウル・サバイバー・ポリシー」制度があっ
たのだという。だから3人の兄が戦死しているジェームズは、絶対に助け
なければならなかった。
そんな制度のことは知らなかった。でも息子4人が出征して、3人も戦死
してしまった両親の悲しみはいかばかりだったろうかと思う。そしてど
この国にもそんな親たちはいたのだろう。冒頭で老人になったジェーム
ズが墓参りをして涙を流すシーンがあり、それはラストシーンからつな
がっているのだ。その流れはとても感動的だった。この世から戦争がな
くなることを心から願う。
映画評論・レビューランキング
人気ブログランキング
1944年。連合軍はフランスのノルマンディー海岸に上陸するが、多くの
兵士たちが命を落とした。激戦を生き延びたミラー大尉(トム・ハンクス)
は、最前線で行方不明になった落下傘兵ジェームズ・ライアン二等兵(マ
ット・デイモン)の救出を命じられる。ライアン家は4人の息子のうち3人
が相次いで戦死しており、軍上層部は末っ子のジェームズだけでも故郷の
母親の元へ帰還させようと考えたのだ。ミラー大尉と彼が選んだ7人の兵
士たちは、1人を救うために8人の命が危険にさらされることに疑問を抱
きながらも戦場へと向かう。
スティーヴン・スピルバーグ監督が、第2次世界大戦時のノルマンディー
上陸作戦を題材に、極限状況に置かれた兵士たちの絆と生き様を描いた戦
争ドラマ。とても有名な映画だが観たことがなくて、この度初鑑賞した。
タイトルの「プライベート」というのはアメリカ陸軍の階級名称で、原題
の「Siving Private Ryan」は「兵卒ライアンの救出」という意味。
壮絶な戦闘の後、ノルマンディー上陸作戦を成功させたアメリカ軍だった
が、ドイツ国防軍の激しい迎撃にさらされ多くの戦死者を出してしまう。
そんな中、アメリカ陸軍参謀総長ジョージ・マーシャル(ハーヴ・プレスネ
ル)の元に、ある兵士の戦死報告が届く。それは出征したライアン家4兄弟
のうち3人が戦死したというものだった。残る末子ジェームズ・ライアン
も「敵地で行方不明になった」という報告が入り、マーシャルはライアン
を保護して本国に帰還させるように命令する。
とてもおもしろかったのだが、170分という長さや衝撃的なシーンの多さ
から、観て非常に疲れる映画だった。戦争映画は割と観ている気がするが、
ここまで戦争のリアルさを描いた作品はそうないかもしれない。もちろん
私は戦争のリアルを知らないのだが。ノルマンディー上陸作戦も名前だけ
は知っていたがどういうものかは知らなかったので、調べた。最初の方で
腕を吹き飛ばされた兵士が、もう片方の手でその腕を拾うシーンや、内臓
がほぼ出てしまっている兵士が「ママ…」と言っているシーンはグロテス
クで悲惨だった。
ミラー大尉役のトム・ハンクスの演技が素晴らしい。ミラー大尉は以前の
経歴を公表しておらず、謎多き人物なのだが(兵士たちの賭けのネタにさ
れるほど)、次第に告白していく過程がおもしろく、特にジェームズ・ラ
イアンとの会話は胸に残る。この作品の当時20代だったマット・デイモ
ンもかわいく見える。ミラー大尉が選んだ救出メンバーも戦死していき、
どうしてこんな犠牲を出してまでライアン二等兵を助け出さなければなら
ないのだろう、と思って観ていたのだが、当時のアメリカ陸軍には「兵役
により戦闘任務に参加している家族が複数人戦死した場合、最後に生存す
る息子を保護する」という「ソウル・サバイバー・ポリシー」制度があっ
たのだという。だから3人の兄が戦死しているジェームズは、絶対に助け
なければならなかった。
そんな制度のことは知らなかった。でも息子4人が出征して、3人も戦死
してしまった両親の悲しみはいかばかりだったろうかと思う。そしてど
この国にもそんな親たちはいたのだろう。冒頭で老人になったジェーム
ズが墓参りをして涙を流すシーンがあり、それはラストシーンからつな
がっているのだ。その流れはとても感動的だった。この世から戦争がな
くなることを心から願う。
映画評論・レビューランキング
人気ブログランキング