2021年のフランス映画「ジェーンとシャルロット」を観に行った。
2018年、東京・茅ヶ崎・京都。シャルロット・ゲンズブールは、
母であるジェーン・バーキンを見つめる撮影を開始した。伝説的
歌手セルジュ・ゲンズブールのパートナーと娘であり、それぞれ
の時代をセンセーショナルに彩るフレンチアイコンでもあったジ
ェーンとシャルロット。特異な環境下で家族の形を築いてきた母
娘の間には、他者を前にした時につきまとう遠慮のような感情が
あり、2人は自分たちの意志とは関係のないところで距離を感じ
てきた。両親が別れた後、父セルジュの元で成長したシャルロッ
トには、ジェーンに聞いておきたいことがあった。異父姉妹のこ
と、次女である自分よりも亡き長女ケイトを愛していたのではな
いかという疑念、公人で母であり女である彼女の半生とは一体ど
んなものだったのか。
フランスの女優シャルロット・ゲンズブールが初監督を務め、母
ジェーン・バーキンの真実に迫ったドキュメンタリー。誰もがよ
く知るようにジェーン・バーキンもシャルロット・ゲンズブール
も有名な女優で歌手、そしてジェーンはセルジュ・ゲンズブール
(作曲家、歌手、音楽プロデューサー、監督、俳優、とマルチに
活躍した)のパートナーであり、シャルロットはセルジュが溺愛
した娘である。母娘2代に亘ってフレンチアイコンだったという
のはすごいことだと思う。
映画は日本から始まる。ジェーンの日本公演のシーンだ。リハー
サルのシーン、ジェーンがファンの人たちに丁寧にサインをして
いるシーンが映し出される。ジェーンの顔のしわや手のしみもシ
ャルロットはしっかり撮っている。ジェーンとシャルロットがテ
ーブルを挟んで向かい合って話している。ジェーンはシャルロッ
トに対して「私はあなたに気後れしているところがあったの」と
言う。何となくわかる。
ジェーンは続ける。「あなたはかなり早い時期から秘密主義で、
友達やボーイフレンドのことも話してくれなかった」。シャルロ
ットはとてもシャイで、20歳くらいまで彼女にインタビューを
するのは至難の技だったとフランスのリポーターが言っているの
を聞いたことがある。それは母親のジェーンに対しても同じだっ
たのだと思うと、シャルロットらしい。舞台はパリのジェーンの
自宅、ブルターニュの別荘、ニューヨークのシャルロットの自宅、
と移っていきながら、2人の赤裸々な様子が映し出される。
笑顔やファッションがそっくりな2人。シャルロットの顔はセル
ジュ似だが、スリムなプロポーションやささやくような声はジェ
ーン似だと思う。撮影にはシャルロットの次女ジョーも同行して
いるが、ジョーもシャルロットそっくり。シャルロットのパート
ナー、イヴァン・アタルや異父妹ルー・ドワイヨン(ジェーンと
ジャック・ドワイヨン監督の間の娘で、女優で歌手)の名前は出
てくるが、映像には登場しない。これはあくまでもジェーンとシ
ャルロットの映画なのである。
映画パンフレットにシャルロットと内田也哉子の対談が載ってい
て、私はとても違和感を抱いた。どうしてこの2人なのか、別の
対談相手はいなかったのか、と。内田也哉子は有名女優・樹木希
林と有名ミュージシャン・内田裕也との間の娘で、立場が似てい
ると書いてあった。いやいくら有名人、セレブ夫婦の間の娘とは
いえ、立場が似ているとは思えない。夫婦の知名度や偉大さがま
るで違うし、娘同士のスケールも違う。これ誰が編集したの?と
思ったし、誰とでも対談すればいいってもんじゃないだろう、と
とても不満に思った。
ジェーン・バーキンは今年の7月16日に76歳で亡くなった。私
はジェーンはもっと長生きすると思っていた。90代とか。ジェ
ーンの出演映画は多分4作くらいしか観ていないと思うが、この
「ジェーンとシャルロット」が遺作になった。シャルロット、
この映画を撮ってくれてありがとう。
暑くて床でグタッとしているベル










2018年、東京・茅ヶ崎・京都。シャルロット・ゲンズブールは、
母であるジェーン・バーキンを見つめる撮影を開始した。伝説的
歌手セルジュ・ゲンズブールのパートナーと娘であり、それぞれ
の時代をセンセーショナルに彩るフレンチアイコンでもあったジ
ェーンとシャルロット。特異な環境下で家族の形を築いてきた母
娘の間には、他者を前にした時につきまとう遠慮のような感情が
あり、2人は自分たちの意志とは関係のないところで距離を感じ
てきた。両親が別れた後、父セルジュの元で成長したシャルロッ
トには、ジェーンに聞いておきたいことがあった。異父姉妹のこ
と、次女である自分よりも亡き長女ケイトを愛していたのではな
いかという疑念、公人で母であり女である彼女の半生とは一体ど
んなものだったのか。
フランスの女優シャルロット・ゲンズブールが初監督を務め、母
ジェーン・バーキンの真実に迫ったドキュメンタリー。誰もがよ
く知るようにジェーン・バーキンもシャルロット・ゲンズブール
も有名な女優で歌手、そしてジェーンはセルジュ・ゲンズブール
(作曲家、歌手、音楽プロデューサー、監督、俳優、とマルチに
活躍した)のパートナーであり、シャルロットはセルジュが溺愛
した娘である。母娘2代に亘ってフレンチアイコンだったという
のはすごいことだと思う。
映画は日本から始まる。ジェーンの日本公演のシーンだ。リハー
サルのシーン、ジェーンがファンの人たちに丁寧にサインをして
いるシーンが映し出される。ジェーンの顔のしわや手のしみもシ
ャルロットはしっかり撮っている。ジェーンとシャルロットがテ
ーブルを挟んで向かい合って話している。ジェーンはシャルロッ
トに対して「私はあなたに気後れしているところがあったの」と
言う。何となくわかる。
ジェーンは続ける。「あなたはかなり早い時期から秘密主義で、
友達やボーイフレンドのことも話してくれなかった」。シャルロ
ットはとてもシャイで、20歳くらいまで彼女にインタビューを
するのは至難の技だったとフランスのリポーターが言っているの
を聞いたことがある。それは母親のジェーンに対しても同じだっ
たのだと思うと、シャルロットらしい。舞台はパリのジェーンの
自宅、ブルターニュの別荘、ニューヨークのシャルロットの自宅、
と移っていきながら、2人の赤裸々な様子が映し出される。
笑顔やファッションがそっくりな2人。シャルロットの顔はセル
ジュ似だが、スリムなプロポーションやささやくような声はジェ
ーン似だと思う。撮影にはシャルロットの次女ジョーも同行して
いるが、ジョーもシャルロットそっくり。シャルロットのパート
ナー、イヴァン・アタルや異父妹ルー・ドワイヨン(ジェーンと
ジャック・ドワイヨン監督の間の娘で、女優で歌手)の名前は出
てくるが、映像には登場しない。これはあくまでもジェーンとシ
ャルロットの映画なのである。
映画パンフレットにシャルロットと内田也哉子の対談が載ってい
て、私はとても違和感を抱いた。どうしてこの2人なのか、別の
対談相手はいなかったのか、と。内田也哉子は有名女優・樹木希
林と有名ミュージシャン・内田裕也との間の娘で、立場が似てい
ると書いてあった。いやいくら有名人、セレブ夫婦の間の娘とは
いえ、立場が似ているとは思えない。夫婦の知名度や偉大さがま
るで違うし、娘同士のスケールも違う。これ誰が編集したの?と
思ったし、誰とでも対談すればいいってもんじゃないだろう、と
とても不満に思った。
ジェーン・バーキンは今年の7月16日に76歳で亡くなった。私
はジェーンはもっと長生きすると思っていた。90代とか。ジェ
ーンの出演映画は多分4作くらいしか観ていないと思うが、この
「ジェーンとシャルロット」が遺作になった。シャルロット、
この映画を撮ってくれてありがとう。
暑くて床でグタッとしているベル










