チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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第81話 まめだんご

2007年06月19日 | チエちゃん
 蚕を飼っている期間には、桑の葉を摘む農作業があります。
作業をするお父さんとお母さんについて、チエちゃんも桑畑へと出かけることがありました。

 一応はお手伝いが目的ですが、桑の葉摘みにはすぐに飽きてしまい、黒紫色に熟した桑の実をさがして頬張ることになります。

 しばらくして、チエちゃんはおもしろい物を見つけました。
山を切り崩して開墾した桑畑の山側斜面は、切り立った砂地でした。
そこに、すり鉢状の窪みがいくつも出来ています。

アリジゴクです。

チエちゃんは蟻を捕まえて、砂のすり鉢の中に落としてみます。
必死に這い上がろうとする蟻が、空しくすり鉢の底に転げ落ちたその時、突然ハサミが現れ、一瞬のうちに砂の中へ引きずり込まれてしまいました。
子どもの頃には、残酷とも思わず、こんな遊びをしていたのでした。


 また、この砂地の斜面にはもうひとつのお楽しみがありました。

それは、「まめだんご」です。(注)

 まめだんごは、ちょうど、梅雨のこの時期に採れる不思議なきのこです。
正しくは「ツチグリ」と言うそうですが、10~20cmぐらい土を掘っていくと、中に直径1~3cmのまん丸とした芋状のきのこがたくさん採れたものです。
梅雨の晴れ間の暑い日差しの中、お父さんとお母さんが桑摘みをしている間、このまめだんごを掘る事がチエちゃんの遊び兼仕事でした。
チエちゃんの家では味噌汁の実として食べていましたが、コリコリとした食感が大好きでした。

 この「ツチグリ」は、秋になると、ヘタ付きの黒い柿の実のような姿を地上に現し、人や動物が誤って踏むとブホッと胞子をまき散らすのです。
これが有る所で、まめだんごが採れるというわけです。

注:まめだんごの画像をお気に入り -美味しいプレミアムビール(ベルギービール、ドイツビール、地ビール等)、野生きのこ、山菜 」さんで見つけましたのでリンクさせていただきました。